“むちゃ振り上司”にこういわれたら【第1回】
「最近の会計ルールって何がどう変わったの?」と質問されたら
変化の激しい経理、会計分野では常に新しい情報の勉強が必要。新連載では上司から「これ、どうなっているの?」と聞かれた際の回答や情報の探し方を紹介する。
経理部や経営企画部門を取り巻く環境が変化する中で、各スタッフは常に新しい情報を入手し、勉強することが求められる。それはスタッフの上長も同じ。しかし、その上長には「スタッフにたずねる」という有力な解決法がある。「これ、どうなっているの?」と頻繁に聞いてくる上司にどう答えるか。本連載では上司からのよくある質問への回答や情報の探し方を示す。今回の上司からの質問は「最近の会計ルールって何がどう変わったの?」。
決算書を作るためのルールは「会計基準」と呼ばれ、その内容は日々進化している。IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)への対応も見据えつつ、国内の会計基準に基づいた決算書を当面は作り続けなければならない。会計基準の内容を押さえておくことは業務上の要請となり、経理担当者の頭痛の種となっている。会計基準の最新動向はどうやって押さえておけばいいのか?
会計基準の体系
会社が帳簿記録に基づいて決算書を作るための原理・原則のことを「企業会計原則」と呼ぶ。これは過去の慣習や実務で「最大公約数的に採用されてきた処理」を取りまとめたもので、「一般に公正妥当と認められた会計の原則及び手続」として明文化されている。会計ルールの「原理・原則」と呼ばれるものなので、この内容は実務担当者としてまず押さえておきたいところだ。
企業会計原則は勘定科目ごと、または特定の業務処理について具体的なルールが設けられている。これは「会計基準」と呼ばれ、日本では会計基準策定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)がその内容を策定している。
さらに会計基準を実務に適用した場合の留意点やさらに詳細な処理ルールについて規定した文書があり、「適用指針」として明文化されている。これも企業会計基準委員会(ASBJ)が策定している。
それぞれの文書は無料で入手可能だ。担当者としては、会計基準や適用指針のうち、管轄業務に関連するものを把握しておけばよい。
この他、企業が獲得した所得を基に納付するべき税額を計算するための法体系として「法人税法」(一般的に「税法」と呼ばれる)がある。この会計ルールは会計基準、実務指針、適用指針と異なる扱いが多いので注意だ。
会計基準の最近の改正動向
企業がビジネスを進める上で、今まで存在しなかった商習慣や取引ルールが出てきた場合、または今までの商習慣や取引ルールを変更するような局面が出てきた場合に会計ルールが作られ、変更されていく。
また、会計基準は作られてから実際の実務に適用されるまでのタイムラグがある。日本の会計基準は多くの大企業の決算期が3月末日であることを考慮して、
「平成 XX年4月1日以後開始する事業年度から適用する」
と表現されることが多い。
例えば「平成25年4月1日以後開始する事業年度」は、具体的には「平成25年4月1日から平成26年3月31日まで」の会計期間のことを指している。多くの3月決算の会社が最初の決算期を迎えるときに適用できるタイミングになるよう配慮されているのだ。
最近変更された会計基準でいえば「退職給付に係る会計基準」などがあり、2013年4月1日以後開始する事業年度の年度末(3月決算でいえば2014年3月31日)にかかる連結財務諸表から適用されることが決まっている(参考記事:改正会計基準「退職給付会計」を理解する(前編)、改正会計基準「退職給付会計」を理解する(後編))。
最近の改正はIFRSの改訂に合わせた国内基準の改正という動きが中心で、「退職給付」「連結財務諸表」「包括利益の表示」といった会計基準が公開されている。「研究開発費」の改正も近い将来に実施される見込みとなっている。
会計基準の動向を知るには
会計基準や適用指針はその量も膨大なため、内容を把握するだけでも大変だ。効率的に情報収集するには、ASBJや監査法人の
- Webサイトでの告知を確認する
- メールマガジンを購読する
- セミナーに参加する
などの方法で多方面にアンテナを張ることが肝要だ。これらを定期的にチェックする習慣を付けておくことで、情報感度を高めて最新動向に追随しやすくなる。特にお勧めなのは、更新された会計基準の内容を人に説明してみることだ。社内勉強会などの形式をとってもよいだろう。自分がきちんと理解できていなければ人に説明するのは難しいし、また上司との質疑応答に対応するためにも内容を深く理解している必要がある。理解した会計基準の内容を「再発信」してみることで、より理解を深められるだろう。
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原 幹(はら かん)
株式会社クレタ・アソシエイツ 代表取締役
公認会計士・公認情報システム監査人(CISA)
大手監査法人にて会計監査や連結会計業務のコンサルティングに従事。ITコンサルティング会社を経て、2007年に会計/ITコンサルティング会社のクレタ・アソシエイツを設立。「経営に貢献するITとは?」というテーマをそのキャリアの中で一貫して追求し、公認会計士としての専門的知識と会計/IT領域の豊富な経験を生かしたコンサルティングに多数従事する。著書「IFRSのきほんがわかる本」をはじめ、翻訳書やメディア連載実績多数。
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