クラウド時代の開発製品紹介:テラスカイ編
Salesforceを快適に、マウス操作だけの画面開発ツール「SkyVisualEditor」
標準機能だけを使う分には生産性が高いSalesforce製品だが、画面開発には困難がつきまとう。簡単なマウス操作だけでVisualforceを自動生成するツールを紹介する。
本連載では、クラウドサービスやクラウドサービスに関する機能を開発するための製品を紹介する。今回は、Salesforceの画面開発ツールを扱う。
読者であるIT部門の皆さんは、Salesforce CRMやForce.comを使っている事業部門から「標準機能だけでは足りないので、機能を追加してほしい」という依頼を受けることはないだろうか。開発者はSalesforceの機能である「Visualforce」を使って開発することになる。しかし、忙しいIT部門としては「急に依頼されても、ルーティン作業と予定されている開発案件だけで手いっぱい。対応はするけど、すぐにはできないかもしれない」という悩みにぶつかるだろう。一方、事業部門にとっても、「急にお願いするとIT部門に嫌な顔をされるし、外部の開発会社に頼めば高くつく。もし自分たちでできるなら、その方が早くて気が楽」となるのが本音かもしれない。
そのような課題に対応するのが、テラスカイが開発・販売するSaaS型画面開発ツール「SkyVisualEditor」である。ユーザーは、VisualforceやApexを使わなくてもSalesforceの標準機能を簡単に拡張できる。2013年5月に開催されたイベント「Salesforce Customer Company Tour 東京」での講演やその後の個別取材を基に、SkyVisualEditorの特徴を紹介する。2012年、セールスフォース・ドットコムのパートナーアワードで「Best AppExchange Application Partner」(※)を受賞した製品だ。
※ AppExchangeにおいて販売実績、ユーザーの評価などが最も高かったパートナーに贈られる賞。
製品の概要:Salesforceの画面開発ツール
SkyVisualEditorはVisualforceを自動生成するツールである。簡単なマウス操作だけで、紙やMicrosoft Excel、独自システムなどと同様のフォームを再現できる。通常、Salesforceの標準画面をカスタマイズする場合、Visualforceを使って画面を設計し、Apexでロジックを組み、最後にテストコードも書かなければならない。SkyVisualEditorは、これら3つのプログラムを自動生成する。つまりユーザーは、Salesforce CRMおよびForce.com上で、コーディングすることなく、Salesforceの機能を拡張したレイアウト、もしくは自由なレイアウトで画面を開発できる。
SkyVisualEditorでは、Visualforceで開発のニーズが高い画面をウィザード形式で作成できるテンプレートを用意している。テンプレートには、検索条件を画面上で自由に変更し、検索結果画面で閲覧、編集、新規作成する「検索テンプレート」、親子関係のオブジェクトを同時に入力することができる「親子オブジェクトテンプレート」などがある。
テラスカイの代表取締役社長 佐藤秀哉氏は開発の経緯を次のように話す。「テラスカイはSIerとして長年Salesforce製品を導入し、多数のノウハウを蓄積してきた。また、Force.comにはプラットフォームとして必要な開発環境や開発ツール、モジュールがまだ足りていない。こうした理由から、多くの企業が求める要件を基にSkyVisualEditorを開発した」。ちなみに、テラスカイでSalesforceの導入・開発を行った企業100社のうち、画面開発をした企業は61社に上るといい、画面開発のニーズの高さがうかがえる。
| 項目 | 説明 | |
|---|---|---|
| 1 | ヘッダ、メニューエリア | Studioで使用する処理のメニューやユーザー情報が表示されている |
| 2 | 配置項目種別 | 項目を配慮する際の情報を選択できる |
| 3 | オブジェクトペイン | Salesforceのオブジェクト、項目情報を表示、配置状況なども確認できる |
| 4 | コンポーネントペイン | ページデザインに使用できるコンポーネントを表示する |
| 5 | デザインキャンパス | 項目やデザインコンポーネントを配置してページデザインをする |
| 6 | ページプロパティ | 作成するVisualforceページ名など、ページ全体に関係する項目を設定できる |
| 7 | コンポーネントプロパティ | デザインキャンパスで選択されたオブジェクト項目またはコンポーネントの詳細設定ができる |
| 8 | フッターエリア | エラーが発生した場合、この部分にエラー情報が表示される |
Salesforceでよくある課題
上述の通り、Visualforceで画面開発をする際には、コーディングとテストをしなければならない。「標準機能だけを使う分には生産性が高いSalesforce製品だが、独自開発をしようとすると途端に生産性が落ちる」(佐藤氏)
SkyVisualEditorは、Salesforceの標準画面によくある3つの課題を解決する。
課題1:入力画面が多い
Salesforceの標準画面の場合、レコード単位に画面ができるため、幾つもの画面を何度も閉じたり開いたりすることになる。SkyVisualEditorでは、複数のレコードを一画面で入力できる。
課題2:項目配置が2列しかない
Salesforceの標準では項目が2列しか並ばない。そのため、多くの項目を配置すればスクロールが長くなる。コールセンターのようなオペレーター業務で使うには不便。SkyVisualEditorでは、最大30列まで表示可能。
課題3:入力した瞬間にエラーが分からない
入力フォームに入力した際、すぐにエラーかどうかが分からない。例えば、数値用の入力フォームに文字を入れたとき、一度「保存」をしないとエラーかどうかを教えてくれない。SkyVisualEditorでは、保存前でもカーソルを移動するとエラーが表示される。
事例:大規模事例も多数
損保ジャパン
損害保険ジャパン(損保ジャパン)は2010年、代理店を含め合計35万人以上の事務員や販売員などが利用する、販売代理店向け顧客業務システムにSalesforceを導入。2012年8月、このシステムの可用性を高めるためにSkyVisualEditorの導入を決定した。
日本郵便
日本郵便は2013年、約15万人の配達員が使うiPadの画面開発ツールにSkyVisualEditorを採用。
TJMデザイン
1909年創業の老舗建築工具メーカーTJMデザインは、カスタムメイドキッチン事業を手掛けるキッチンハウス事業部でSkyVisualEditorを導入。商談画面や施工事例検索画面、見積もり作成画面の開発で使用している。
製品価格:ユーザー数ごとの月額課金
SkyVisualEditorの課金体系はユーザー数ごとの月額課金だ。50ユーザーまでは1ユーザー当たり月額2000円。例えば、Salesforceを100ユーザーで利用していても、SkyVsualEditorで作成したVisualforceページを利用する人が30ユーザーの場合は、30ユーザーが課金対象となる。
SkyeVisualEditorでページをデザインするところまでは無料で、デプロイ後から有料となる。デプロイ後は、Salesforce側のサーバで運用される。
利用の流れ
SkyVsualEditorは、テラスカイのWebサイトから利用するSaaS型のサービスパッケージである。利用の流れとしては、次のようになる。
- SkyVsualEditorのWebサイトでユーザー登録をする(無料)
- AppExchangeからSkyVisualEditorを自社のSalesforceにインストールする(無料)
- テンプレートを選択、画面開発をする(無料)
- デプロイする(有料)
なお、Salesforce組織へインストール後30日間はSalesforceへのデプロイも含めて無料で利用できるという。
新バージョン:V3.2
2013年6月30日にはSkyVisualEditor V3.2が登場する。複数ページに入力項目を分けて画面を表示し、最後に確認画面で入力値を確認した後にデータを保存するようなウィザード形式の画面を作成する機能や、開発環境の画面をローカル端末に保存できる機能が追加される。他には、検索テンプレートの強化、ToDoオブジェクトの入力対応などが実現するという。
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