iPad活用授業を紹介
中高生はiPadでどう勉強するか? 広尾学園が授業を公開
iPadを授業に生かす広尾学園 中学校・高等学校が公開授業を開催した。同校の生徒や教員は、iPadをどう活用しているのか。公開授業から明らかにする。
生徒1人1台がiPadを活用する私立の中間一貫校、広尾学園 中学校・高等学校(広尾学園)。同校はiPadを授業にどう生かしているのか。こうした声に応えるべく、広尾学園は2013年7月に開催したイベント「『広尾学園×iPad×ICT教育』カンファレンス2013」で公開授業を実施。会場には、iPad利用授業の実態を探ろうと、約230人の教育関連事業者やベンダーなどの担当者が詰めかけた。
公開授業の内容は、今回のイベントに合わせて各教員が準備してはいるが、iPadの活用方法は日常の授業とほとんど変わらない。以下、公開授業の概要をかいつまんで紹介する。なお、広尾学園のiPad導入の経緯や具体的な導入効果は、「私物iPadで学力を伸ばした中高一貫校、『タブレットは新たな文具』」にまとめた。
中学1年社会(地理):Google Earthで世界一周
広尾学園は、iPadとオンラインサービスを組み合わせ、教師と生徒、生徒同士がディスカッションする授業を数多く取り入れている。その一例が、中学校1年生向けの地理の授業だ。中学1年生の地理の授業では、iPadと米Googleの「Google Earth」を利用(写真1)。生徒は、世界の各地域をGoogle Earthで巡って地理的な位置を視覚的に理解した後、月別の気温と降水量のデータで気候を分類する「ケッペンの気候区分」を基に、各地域の気候や植生を調査した。
気候分類の作業やプレゼンテーションには、手書きノートアプリケーション「GoodNote」を利用。生徒は、iPadに表示した気温や降水量の資料に直接書き込みながら班内で議論し、その結果を基にクラス全体へのプレゼンテーションをしていた(写真2)。
中には、米Appleの動画編集ソフト「iMovie」を使い、動画を組み込んだプレゼンテーション資料を作成するなど、自発的にiPadの機能や表現力を生かす生徒もいたのが印象的だ(写真3)。
中学2年社会(歴史):アナログとデジタルで歴史の転換点を議論
中学2年生の歴史の授業でもオンラインツールを積極的に活用していた。利用していたのはGoogleのオンラインオフィスツール「Google ドライブ」やWebサイト作成ツール「Google サイト」。生徒は、1学期に学習した古代史から中世までの出来事のうち、日本史のターニングポイントだと考える出来事とその理由をGoogleサイト内のアンケートフォームで事前に回答。教員は、各生徒の回答内容をホワイトボードに投影し、クラス内で共有した(写真4)。
オンラインツールに加え、プリントやホワイトボードといったアナログの手段も組み合わせて活用していた。生徒は、共有した回答内容を基に、ターニングポイントをあらためて考え、プリントに書き込むことで思考を整理していた(写真5)。iPadを入力デバイスとして難なく活用できる生徒も中にはいるが、教員の判断でデジタル、アナログの手段を使い分けている。
中学1年英語:ドリル形式で英文法を習得
授業内で知識を定着させる工夫として、ドリル形式の学習にiPadを取り入れていたのが、中学校1年生の英語の授業だ。同授業では、期末試験の文法問題で正答率が低かったという「人称代名詞」に関するドリル形式の復習授業を実施していた。教員がホワイトボードに3択問題を投影した後、生徒は制限時間内に回答を考え、選んだ選択肢をiPadに表示。制限時間になると生徒は一斉に回答を教員側に提示し、先生が回答の説明や解説をする、といった流れで授業を進めていた(写真6)。
中学2年英語:映像作成で英会話を習得
中学2年生の英語の授業では、生徒が映像作成を通じて英語のリーディングを学んでいた。生徒は、学習したスキットの内容を他の生徒と一緒に実演し、その様子を動画として撮影。iMovieで編集して共有フォルダに提出するまでの一連の流れを学習していた(写真7)。映像作成の作業の中で、他の生徒との英会話やリーディングの学習を自然にこなせる仕組みだ。
中学2年理科:調査結果のプレゼン実践
中学校2年生の理科の授業では、医学やサイエンス分野に関するプレゼンテーションを中心とした授業を進めていた。生徒は、興味のある医学・サイエンスの分野について事前調査し、自分の考えをプレゼンテーション資料にまとめて3~5分程度で発表した(写真8)。
高校2年医進・サイエンスコース:学術論文を基に議論、プレゼン
広尾学園で初めてiPadを導入した医学・理系進学コースである「医進・サイエンスコース」は、授業ではなく研究内容の発表や研究活動の様子を公開していた。同コースは、生徒が国内外の学術論文を読み込み、医学や生物学といった科学技術分野の研究を進めている。
研究活動では、iPadに加えてノートPCも利用。iPadで電子版の論文を読みながら、ノートPCでプレゼンテーション資料を作成したり、iPadの画面を見ながら生徒同士で議論をしたりしていた(写真9)。
以上、公開授業の内容を駆け足で紹介した。授業の内容を基にプレゼンテーション資料を作成したり、生徒同士でディスカッションをしたり、生徒と教員間のインタラクティブな授業を進めたりする上で、生徒も教員もiPadをごく普通に使いこなしているのが印象的だった。同校はiPadの利用方法を教員に任せており、各教員は、担当教科や学年、学習内容に沿った使い方を模索しているようだ。
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