手術中に医療機器を遠隔制御
Google Glassで手術――医療も変える「ウェアラブル端末」の衝撃
ウェアラブル端末の恩恵を受けるのはコンシューマーだけではない。医療現場では、米Googleの「Google Glass」を手術現場に生かす取り組みが進みつつある。
米Googleが製品化を進めている「Google Glass」が、iPadやiPodのようにコンシューマーの間で大ヒットするかどうかは分からない。だが医療・ヘルスケア分野では、開発段階のモデルを使って、Google Glassを実務に活用しようとする試みが徐々に広がりつつある。Google Glassを教育や作業のツールとして使う外科医がけん引役だ。ウェアラブル端末に拡張現実(AR)を組み合わせた革新的な技術は、情報を取得、操作する新しい方法を提供している。
Google Glassの試みに触発されたハードウェアベンダーは、Google Glassに対抗する独自端末の投入に動いている。アプリ開発者は、無線LAN接続されたメガネ型端末の価値を押し上げるクリエイティブなアプリを生み出そうと模索している。ヘルスケア分野でも、Google Glassのような端末への注目度はそれほど高いわけではない。それでも、こうした端末は将来的に、大きなインパクトをもたらす可能性がある。
Google Glassを医療現場で活用しようとする取り組みを先導するのは、外科医だ。米オハイオ州のある外科医は、Google Glassを使い、外科手術の模様を同僚の端末へライブストリーミングした。この例では、Google Glassは主に、その外科医の視界にあるものの映像を同僚へ提供する手段として使われた。
同様に、米ベスイスラエルディーコネス医療センターの麻酔専門医、デビッド・ファインスタイン氏は、オランダのKoninklijke Philips(Royal Philips)との協力により、Google Glassを利用して以下の作業を行った。
- データクエリを実行。ファインスタイン氏は、Google Glassで音声コマンドを使い、ベスイスラエル医療センターの電子カルテ(EHR:電子健康記録・生涯医療記録)に保存されている患者データを引き出せることを確認
- 音声コマンドで医療機器を制御
- 手術中に、Google Glassの視界の右上に、患者の生命兆候を随時表示
- ハンズフリーで情報を取得し、最終的に患者のデジタル記録として保存
上記の作業が可能であることは、Google Glassのような端末が、医療のデジタル化に役立つ重要な機能を既に提供できることを示している。ただし、こうした進化はエキサイティングではあるが、実務に活用されるまでにはまだ長い道のりがある。これらの端末は、セキュリティ、信頼性、安定性の確保に向けた業界のステークホルダー(および、恐らく規制当局)によるさらなる調査・検討を受けなければならないだろう。
Google Glassのようなガジェットは、コンシューマー市場への登場が待たれている。ただし、こうしたガジェットが持つ機能性や、医師による可能性の創造的な探求についても、これからも目が離せない。
本稿筆者のレダ・シュファーニ氏は、医療業界向けのソフトウェア開発・導入サービスを手掛けるBiz Technology Solutionsの開発担当副社長。
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