AppHAやFlash Read Cacheを紹介
これだけ読めばOK! VMware vSphere 5.5の注目すべき変更ポイント
スケーラビリティやパフォーマンスの向上、高可用性機能など、各種機能が改良・追加された「VMware vSphere 5.5」。変更点の中から、注目すべき点に絞って解説する。
ヴイエムウェアは2013年9月24日、クラウドインフラおよび管理ソフトウェアパッケージ「VMware vCloud Suite 5.5」の提供開始を発表した。vCloud Suite 5.5には、仮想化プラットフォーム「VMware vSphere 5.5」も含まれる。VMware vSphereはバージョンが5.1から5.5へと変わるマイナーバージョンアップのため、各種機能が改良、追加されたバージョンとなっている。VMware vSphere 5.5の変更点の中から、注目すべき点について解説する。
vCenter Single Sign On(SSO)
「vCenter Server 5.1」から導入されたシングルサインオン(SSO)機能には、以下の変更が加わった。
外部データベースが不要となった
5.1では、「vCenter Single Sign On」(SSO)とMicrosoft SQL Serverなどの外部データベースを同時にインストール・セットアップしていたが、「vCenter Server 5.5」からは内部でデータを管理するアーキテクチャに変更となった。サイト間のデータ同期などもSSO単独で行えるようになった。
5.1リリース時には大きな混乱(?)を招くことになったSSO(関連記事:【製品紹介】共有ストレージが不要、VMware vSphere 5.1の進化を追う)。5.0まではvCenter Serverが動作するWindows Server側のOS認証情報を利用したり、必要に応じてActive Directory(AD)との連携を行っていたのに対して、5.1では独自の認証基盤を導入したため、vCenter Serverのインストールが複雑になってしまったのが難点だった。5.5の変更によって、この複雑さが多少なりとも改善されるのであれば歓迎すべきことかもしれないが、独自の認証基盤よりもADのような汎用的な認証基盤との統合をしっかりと行ってくれた方が良いようにも思える。
vCenter Server Appliance(vCSA)
「vCenter Server Appliance」(vCSA)では、アプライアンスで管理可能なホスト数、仮想マシン(VM)数が増加した。
| 5.1 | 5ホスト | 50VM |
|---|---|---|
| 5.5 | 100ホスト | 3000VM |
vCenter Serverでは逐一動作ログを収集しデータベースに保存するため、管理対象として設定できるホスト数、VM数が制限されていた。vCSAは仮想マシンアプライアンスとして提供されているため設定が容易であり、小規模環境では使用されていたが、今回の拡張で中規模環境でも利用可能になりそうだ。ただし、vCSAはLinux版のvCenter Serverで構築されており、Windows版に比べるとバージョンアップが遅いこともあったため、利用を敬遠する向きもあった。Windows版同様の迅速なバージョンアップを期待したいところである。
vSphere Data Protection(VDP)
標準で利用できる簡易なバックアップソリューションとして利用されてきていた「vSphere Data Protection」(VDP)だが、以下の点が変更になった。
バックアップ領域の容量を柔軟に設定できる
5.1では仮想アプライアンスをデプロイする際に、500Gバイト、1Tバイト、2Tバイトといったバックアップ領域の容量を選択する必要があったが、5.5からはセットアップ時に容量を選択して設定できるようになった。また、仮想ディスクの配置先データストアも自由に選択できるようになった。
バックアップスケジュールを設定できる
5.1では、バックアップを行ってもよい時間帯と行わない時間帯を設定しておくと、バックアップ可能な時間帯に自動的にバックアップを行うという仕様だった。5.5ではバックアップスケジュールを設定できるようになった。
どちらの機能も、5.1ではできるだけ簡単にバックアップが行えることを意識して決められていた仕様だったが、運用管理者からすると逆に使いにくい仕様になっていた。サードパーティーのバックアップツールを追加で投資できないような小規模な環境では、活用の幅は広がりそうである。
vSphere AppHA
「vSphere HA」はVMを保護するフェイルオーバークラスタとして機能するが、VM上で動作しているサービスについては別途クラスタソフトウェアなどを利用して死活監視および保護を行う必要があった。「vSphere AppHA」では、「vFablic Hyperic Server」と連動して、以下のソフトウェアのサービスを監視し、障害などで反応しない場合にはサービスの再起動など処理を行う。
- Microsoft SQL Server 2005
- Microsoft SQL Server 2008
- Microsoft SQL Server 2008 R2
- Microsoft SQL Server 2012
- Microsoft Internet Information Services 6.0
- Microsoft Internet Information Services 7.0
- Microsoft Internet Information Services 8.0
- VMware vFabric tc Server6
- VMware vFabric tc Server7
- Apache Tomcat 6.0
- Apache Tomcat 7.0
- Apache HTTP Server 1.3
- Apache HTTP Server 2.0
- Apache HTTP Server 2.2
今のところ、監視対象として対応しているソフトウェアが少ないため、本格的な利用はこれからだろう。特に需要の高そうな「Oracle Database」や「Microsoft Exchange Server」などの対応が必要になると思われる。
vSphere Flash Read Cache(vFRC)
「vSphere Flash Read Cache」(vFRC)は、ローカルのSSDを仮想ディスクのリードキャッシュとして利用可能にする機能だ。SSDはvFlash File System(VFFS)として初期化され、キャッシュ領域として利用される。キャッシュ利用の有無とキャッシュ容量は、仮想ディスクごとに設定できる。
「vSphere vMotion」を使ったライブマイグレーションやvSphere HAもサポートしているが、移行先でもvFRCが設定されており、VFFSの空き領域が必要などの制約がある。
キャッシュ容量はVMの起動時に確保されるので、VFFS空き領域が不足しているとVMが起動できない。キャッシュ領域はvSphere vMotion時に移行させることも破棄することもできる。
なお、vFRCのキャッシュはリードキャッシュで、書き込みはライトスルー、つまりキャッシュには書き込まれず、直接ストレージに書き込まれる。性能としては、読み込み性能が高くなり、ストレージに対する読み込みが少なくなるので、その分I/O性能を書き込み処理にまわすことができる。そのため書き込み性能も向上させることが可能だ。
特に検索が多いデータベースや、利用者の多いメールサーバなどではリードキャッシュの効果は大きいので性能向上が期待できるが、上記の通り制約事項も多いので、構成設計時に注意が必要だろう。
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