聖域ない仮想化を目指して
全てのアプリケーションに仮想化を ミッションクリティカル対応が強化された「VMware vSphere 5.5」
VMworld 2013で発表された「VMware vSphere 5.5」は何が新しくなったのか。スケーラビリティとパフォーマンスの向上、高可用性機能など、注目のバージョンアップ箇所をまとめた。
米VMwareはVMworld 2013で、「VMware vSphere 6.0」を披露して来場者を魅了することはなかった。だが、同社が発表した「VMware vSphere 5.5」における漸進的な改良は既存の問題に対処するものであり、IT部門はこの製品を使って、より多様なワークロードを仮想化できそうだ。
vSphere 5.5のスケーラビリティとパフォーマンスの向上を受け、「多くの企業が仮想化の最後のフロンティアであるミッションクリティカルアプリケーションやビッグデータアプリケーションの仮想化に乗り出すだろう」と、VMwareのパット・ゲルシンガーCEOは、2013年8月最終週に開催されたVMworld 2013の基調講演で語った。
「われわれは、全てのアプリケーションに仮想化を適用したい。『全ての』を強調したい」とゲルシンガー氏。「データセンターにおける100%の仮想化が実現されるまで、コンピューティングの仮想化を引き続き推進していく」
vSphere 5.5では、多くの重要なスケーラビリティの上限が2倍に拡張され、ホスト1台当たり最大4TバイトのRAM、320個の物理CPU、4096個の仮想CPUなどがサポート可能になった。このニュースは、来場した2万人のIT担当者の大喝采を浴びた。
仮想マシンディスク(VMDK)ファイルの上限も、vSphere 5.1の2TバイトからvSphere 5.5では62Tバイトへと大幅に増えている。こうしたスケーラビリティは、ほとんどの組織では必要ないが、将来のプロジェクトを支える前提として、企業に対し「vSphereがミッションクリティカルおよびビッグデータワークロードに対応しきれなくなることはない」と保証する。
VMwareは、vSphere 5.5の新機能であるvSphere Flash Read Cacheも紹介した。前年のVMworld 2012でvFlashとして初めてプレビューされたものだ。Flash Read Cacheによって、ホストがローカルSSDを仮想マシン(VM)のキャッシングレイヤーとして使い、I/OロードをSANからローカルSSDに移すことで、パフォーマンスを高めることが可能になる。
管理者はFlash Read Cacheを使っているVMを、vMotionによって物理ホスト間で移動することもできる。vSphere 5.5のスケーラビリティ向上の「2倍」というテーマに沿って、ゲルシンガー氏は、「Flash Read Cacheは、仮想化されたミッションクリティカルワークロードのパフォーマンスを倍増させることができる」と述べた。
vSphere 5.5の新しい高可用性機能
VMwareは、vSphereの新しい高可用性機能も披露した。
vSphereの従来のバージョンで提供されてきた高可用性機能であるvSphere High Availability(HA)は、ホストまたはVMが応答を停止すると検知し、それらを自動的に再起動できる(関連記事:VMware vSphere 4の価値を最大化する管理ツール「vSphere Client/vCenter Server」)。vSphere 5.5で追加された新機能であるvSphere App HAは、VMware vFabric Hypericを利用して、こうしたVM内のサポートされているアプリケーションを監視し、VMが動作を継続していてもアプリケーション障害を検知する。
vSphere App HAはアプリケーション障害を検知すると、自動的にアプリケーションを再起動でき、アプリケーションが起動に失敗するとVMをリセットする。App HAとそれが利用するHypericコンポーネントは、「VMware vSphere with Operations Management 5.5」のEnterprise Plusエディションに含まれる。
また、vSphere HAでは、VM間の非アフィニティ機能が導入されている。この機能は、管理者が特定のVMを同一ホストで再起動できないルールを設定するものだ。こうしたルールを設定することで、例えば、1台のホストで障害が発生した場合に、インフラから2つの重要なアプリケーションが失われるのを防げる。
「これは大きな問題だが、ほとんどの人が考慮していない」と、クラウドアプリケーションサービスプロバイダーの米Velocity Technology SolutionsのVMware専門家であるスコット・ゴッテスマン氏は語った。「われわれの会社の場合のように、ネットワークに多くの変更を加えていくと通信量が増えていく。手作業に頼らずにこれに対処できる方法が必要だ」
改善されたシングルサインオン機能
vSphere 5.5での他のさまざまな機能強化と比べると地味だが、vSphereのシングルサインオン(SSO)機能の改善も、一部のIT担当者の注目を集めた。この改善によって、vSphere 5.1ユーザーによるvSphere 5.5の導入に弾みがつくかもしれない。vSphere 5.1でSSO機能が導入された後、この機能の問題はVMwareを利用する組織の多くにとって悩みの種になっていた。
「この機能は少し重く使いづらかった。彼らが問題をどう克服したか、vSphere 5.5で実際の動作がどう改善されたかをもっとよく知りたい」と、米Cancer Treatment Centers of Americaでサーバエンジニアを務めるブライアン・ベッカー氏は語った。
vSphere 5.5のライセンス体系と価格は、vSphere 5.1と変わらない。
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