必要なときに必要なだけPC環境を利用
Windows 7と相性が悪いDaaS、ライセンス問題の解決は可能か
保守が難しく費用が掛かるVDIと比べ、クラウド型仮想デスクトップサービスのDaaSはあらゆる面で魅力的なサービスだ。だが、DaaSにはOSに絡む重要な問題がある。
クラウド型仮想デスクトップサービス「DaaS(Desktop as a Service)」のブームは突如として訪れたのだろうか? いや、DaaSは決して新しい概念ではなく、米IBMは数年前からデスクトップサービス製品を提供している。実際にはDaaSは数年の間、完全に忘れ去られたアプローチだった。しかし、ここ数カ月の市場の動向は無視しがたい。
2013年10月に米VMwareがDaaSを手掛ける米Desktoneを買収し、その1カ月後には米Amazon Web Services(AWS)が独自のDaaSソリューション「Amazon Workspaces」のβ版を公開した。オンプレミス技術で、DaaSの祖に当たるVDI(仮想デスクトップインフラ)は、ここまで来るのに随分時間がかかったものだ。実は、筆者は少なくともこの3年間、「201x年はVDIの年」と書いてきたが、ほとんどジョークになっている。しかし、VMwareとAmazonが取った動きを踏まえると、この辺りで検証が必要かもしれない。「VMwareとAmazonは、DaaSの課題を克服したのだろうか?」
必要なときに、必要なだけ
AWSのウリの1つは、サービスの利用規模を柔軟に調整できる点で、中堅・中小企業にも大企業にもうれしいメリットだ。また、ユーザーと、アプリケーションおよびデータセンター間の距離が近くなることも、AWSを含めパブリッククラウド型VDIの大きな魅力の1つだ。一方で、VDIは保守が難しく、費用が掛かるとみられている。VMwareやAmazonなどのプロバイダーがこういった障害を取り除いてデスクトップをデータの近くに置くことができれば、仮想デスクトップサービスの大きな魅力になる。
VDIの魅力的な機能はDaaSにも全て当てはまる。例えば、DaaSでは、ノートPC、タブレット、スマートフォンなどのコンシューマーデバイスに会社のデスクトップ環境を提供できるので、BYOD(私物端末の業務利用)を実現できる。また、VDIでは分散型ワークフォースや仮想ワークフォースが可能になり、企業は従業員のコンピュータなどのハードウェアを更新するのに必要な経費を削減できる。ハードウェアの入れ替え費用が浮くからだ。
このようなVDIの機能は全てDaaSで提供できる。となると、DaaSはパーフェクトなクラウドサービスにも思えるが、いまだにぱっとしないのはなぜか?
ライセンスがDaaSプロバイダーの行く手を阻む大きな障害に
DaaSの前に立ちはだかる大きな課題の1つは、Windows 7のライセンスだ。要するに、米Microsoftは、共有パブリッククラウドでWindows 7を実行することを認めていない。それでプロバイダーも利用者もコストの面からDaaSに手が出しにくくなっている。対応策として、DaaSプロバイダーはWindows Serverライセンスを利用している。AWSもDesktoneも、Windows Serverを実行する「デスクトップ」をホストするオプションを用意している。しかし、それぞれのデスクトップでフル機能のWindows Serverを実行した場合にどんなことになるか想像してみよう。例えば、会社のセキュリティポリシーで、管理者権限でのデスクトップの利用が認められている場合、十分な知識を備えたパワーユーザーが1人いれば済むが、ネットワークには未承認の膨大な数のサービスが押し寄せ、大混乱に陥るだろう。
Desktoneの製品マネジャー、デイブ・グラント氏は、最近のポッドキャストの中で、クラウド型仮想デスクトップを提供する上での課題について語っている。最大の課題は、Windowsのライセンスだ。Amazon Workspacesのデスクトップを「少しだけ」、例えば10台ほど利用する場合、事実上、仮想デスクトップでWindows Serverを使う以外の選択肢はない。グラント氏によると、DaaSでWindows 7を使う場合、一般的に採算がとれるラインは約50台だという。
ライセンスの問題が克服されるまでは、DaaSによってVDIの利用率が上がるとは思わない。VMwareやAmazonがこの市場で何をもくろんでいるのかよく分からないが、興味深く見守っていきたい。
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