コストと機能を解説
クラウドデスクトップ「Amazon WorkSpaces」は本当に安い? 他社と比較する
Amazonは、同社のDaaS「Amazon WorkSpaces」の総所有コストについて、オンプレミス型VDIの半額と主張している。では、他のDaaSとのコスト比較では、どの程度の優位性があるのか?
米Amazon.comは2013年11月中旬、米VMwareや米Citrix Systemsの技術とは異なるアプローチに基づくクラウド型仮想デスクトップ(DaaS:Desktop as a Service)サービス「Amazon WorkSpaces」を発表した。
Amazon WorkSpacesは、Amazonのクラウドサービス群「Amazon Web Services」(以下、AWS)に追加された新サービス。IT部門がデスクトップイメージを中央から管理、提供することを可能にし、オンプレミス型のVDI(仮想デスクトップインフラ)で必要になるハードウェア、ソフトウェア、インフラのコストは掛からない。
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「このAmazonのDaaSのリリースは、DaaSへの強力な支持といえる。これをきっかけに、いよいよDaaSが物理デスクトップやVDIに代わる有力な選択肢として、注目されるかもしれない」と、米Gartnerのアナリスト、グンナー・バーガー氏は指摘する。
今のところ、DaaSの顧客ベースは小さいが、拡大しつつある。米TechTargetの2013年版Cloud Pulse調査では、1200人の回答者のうち、DaaSを現在使っているのは6%程度にとどまる。しかし、年内に使う可能性があると答えた回答者は15%に達している。
Amazon WorkSpacesへのVMwareとCitrixの反応
DaaSサービスの多くと同様に、Amazon WorkSpacesが提供する仮想デスクトップのOSは、WindowsデスクトップOSではなくWindows Server 2008であり(※)、これは米Microsoftが許可している方式だと、AWSのデータサイエンス担当ゼネラルマネジャー、マット・ウッド氏は説明する。
※ Amazon WorkSpacesは、Windows Server 2008 R2とリモートデスクトップサービス(RDS)の組み合わせにより、Windows 7相当のデスクトップ環境を提供するとされている
さらに、Amazon WorkSpacesは永続セッションをサポートするため、「ユーザーは、あるデバイスで行っていた作業の続きを別のデバイスで再開できる」と、Amazonは説明する。
これは目新しいことではなく、他のDaaSプロバイダーでもできることだ。だが、Amazon WorkSpacesは長期契約の必要がなく、月額料金のみで利用できる。そのコストはVDIの半分だとAmazonは強調している。IT部門はAWSマネジメントコンソールを数回クリックすれば、多数のエンドユーザーにデスクトップをプロビジョニングできる。この使いやすさから、Amazon WorkSpacesを試してみようとするIT幹部も出てきそうだ。
米大手教科書出版社のIT技術ディレクター、グラント・ヤング氏もその1人。同氏は、当社はインドのコンテンツ開発者に業務を委託しているため、AWSのグローバルデータセンターの1つでホストされるDaaSを利用すれば、データを彼らに近いところに置くことで、ネットワークトラフィックを削減できると説明する。
「AWSのDaaSは成功するだろう。彼らは新サービスを大規模に展開できるからだ」とヤング氏。「われわれは彼らがこのサービスを始めるのを待っていた」
VMwareも2013年10月に、DaaSプロバイダー向けのマルチテナント型デスクトップ仮想化プラットフォームを以前から手掛けている米Desktoneの買収を発表したばかり。VMwareは電子メールで、「市場への新規参入は歓迎する。DaaSが従来のデスクトップの変革に役立つ重要な戦略であることのさらなる証明になるからだ」と述べていた。さらにVMwareは、同社の顧客はWindows Serverベースのデスクトップよりも、Desktoneの技術で提供されるフルVDIデスクトップ(顧客はWindows 7、8、XP、またはLinuxを選択できる)を好むとしていた。
Amazon WorkSpacesは、発表される前からうわさが飛び交っていた。既存のDaaSベンダーらが、自社が強みを持つ領域をアピールしようとしたのは明らかだった。
Citrixも、Amazon WorkSpacesが発表される少し前の取材に対して、「Citrixは過去3年以上の間に、Citrix技術をベースにしたDaaSサービスを自社ブランドで展開するプロバイダーや、そうしたサービスの受託業者とのチャンネルを着々と整備してきた」と強調した。Citrixの広報担当者によると、Citrixの技術は他のDaaS技術とは異なり、特定の仮想化技術やクラウドサービスに依存しないマルチテナントDaaSリファレンスアーキテクチャを採用し、サービスプロバイダーのスケーラビリティや管理上のニーズをサポートするとされている。
Amazon WorkSpacesのコスト
Amazonは、「永続セッションをサポートするAmazon WorkSpacesの総所有コストは、VDI環境の半額に抑えられる」と主張しているが、企業がこの新サービスのコストを比較すべき対象は、VDIではなく他のDaaSサービスだ。
Amazon WorkSpacesの「Standard」プランは、1個の仮想CPU、3.75Gバイトのメモリ、50Gバイトのユーザーディスク領域、ユーティリティ(Adobe Reader、Internet Explorer 9、Firefox、Adobe Flashなど)を含み、料金は1ユーザー当たり月額35ドル。
「Performance」プランは、2個の仮想CPU、7.5Gバイトのメモリ、100Gバイトのユーザーディスク領域、Standardプランと同じユーティリティを含み、料金は1ユーザー当たり月額60ドル。
Standard、Performanceの各プランにアプリケーション(Microsoft Office Professional 2010、Trend Micro Worry-Free Business Security Services)を追加した「Standard Plus」「Performance Plus」というプランも用意されている(料金はそれぞれ1ユーザー当たり月額50ドル、同月額75ドル)。
Standard Plus、Performance Plusに含まれるアプリケーションのライセンスを持っている企業は、StandardまたはPerformanceプランを契約し、これらのアプリケーションを利用できる。
これらは、永続的な仮想デスクトップを提供する他のDaaSサービスと比べて競争力のある料金設定だ。しかし、非永続的な仮想デスクトップを提供するDaaSサービスには、米tuCloudなどのサービスのように、1ユーザー当たり月額20ドルを切る料金のものもある。
一方で、Citrix技術を採用したプロバイダーが手掛けている、高度にカスタマイズされた仮想デスクトップを提供するサービスは、はるかに高額な料金設定になっている。「CitrixベースのDaaSのプロバイダーは、Citrix XenDesktopを利用して、永続的な仮想デスクトップに特定業種向けアプリ、ユニファイドコミュニケーション、ユニファイドストレージなどのサービスをバンドルし、シート当たり200ドル以上の料金で提供している」とCitrixは述べている。
その他のDaaSとしては、例えば、VMware傘下のDesktoneのプラットフォームを使った仮想Windowsデスクトップサービスが、1ユーザー当たり月額35~40ドルの料金で提供されている。
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