徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services【第1回】
AWSでできることって? AWSを導入する上で知っておきたい基礎知識
国内外のクラウドサービスの中でも仮想マシン以外のサービスが特に多いAmazon Web Services(AWS)。今回はAWSの導入を検討するために必要な前提知識や操作方法を解説する。
Amazon Web Services(AWS)を使ったWebサービスの公開事例が後を絶たない。最近ではバーチャルプライベートクラウドというサービスも登場し、業務で使用するようなミッションクリティカルなシステムもAWSに移行しやすくなった。しかし同時に機能やサービスが豊富なAWSがよく分からない、難しそうだ、という声も耳にする。
このような背景を踏まえ、本連載では全6回にわたってAWSの用語や考え方、各サービスの機能と設計指標について解説する。第1回の本稿ではAWSの基本的な部分を解説する。
連載インデックス
- 第1回:AWSを導入する上で知っておきたい基礎知識
- 第2回:AWSの仮想サーバ「Amazon EC2」と、使える周辺サービス
- 第3回:AWSのストレージサービス「Amazon S3」と、その周辺のサービス
- 第4回:AWSの3大ネットワーク機能を理解する
連載インデックス:徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services
AWSとは
AWSとは、Amazon.comという巨大なECサイトで培われたノウハウと、コンピューティングリソースを一般ユーザーにサービスとして解放したサービス群のことを指す。「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」をはじめとするコンピューティングサービスやストレージサービスの「Amazon Simple Storage Service(S3)」、RDBMS(Relational Data Base Management System)サービスの「Amazon Relational Database Service(RDS)」など、他のクラウドベンダーと比べサービスの数が多いのが特徴だ。ユーザーはそのリソースを使いたいときにすぐに利用でき、使った分の費用をAWSに支払うという、オンデマンドのコンピューティングサービスである。
AWSでできること/できないこと
AWSを使うことで、ほぼ無限のコンピュータリソースを必要なときに必要なだけ利用できる。また、システムに必要なデータベースやSMTPサーバなどはAWSから専用サービスとして提供されているので、ユーザーはAWSの各サービスをレゴブロックのように組み合わせることで非常に少ない労力でシステムを構築できる。さらに「Amazon Virtual Private Cloud(VPC)」を利用することで、VPNで接続する自社専用のクラウド環境を作ることも可能だ。
逆に、AWSには自社で購入したサーバやルータ、スイッチングハブなどのハードウェアを持ち込むことはできない。またAWSの各サービスが稼働しているデータセンターの見学や物理アクセスもセキュリティ上の理由から許可されていない。
AWSの歴史と今
AWSは非常に短いスパンで大小さまざまなアップデートやリリースが行われるのも特徴だ。筆者が確認しただけでも2013年7月の1カ月間で発表されたアップデートは11回と非常に多い。また、価格の改定も積極的に行っており、ユーザーに価格的にもメリットを出している。本稿を執筆している間にもアップデートがあるかもしれない、それぐらいのスピードで開発とアップデートが繰り返されているので、本稿の情報が古くなっていた場合にはご了承いただきたい。
AWSの特徴
AWSは全世界に9カ所のリージョン(そのうち1つは米国連邦政府用)と、40カ所以上のエッジロケーションが用意されているのが大きな特徴だ。リージョンとはある特定の地域のことを指し、その地域には必ず物理的に離れたインターネット回線や電源があり、それぞれが相互に干渉しない複数のデータセンターで構成されている。その複数のデータセンターのことをAWSでは「アベイラビリティゾーン」と呼んでいる。アベイラビリティゾーン間は専用の回線で接続されており、非常に高速な通信を実現しているので、ユーザーはアベイラビリティゾーンをまたいだ可用性の高いシステム設計が可能になる。
エッジロケーションとは「Amazon CloudFront」や「Amazon Route 53」などのAWSの特定のサービスが利用できる接続ポイントのことだ。本連載の中で詳しく解説するが、Amazon CloudFrontのようなContents Delivery Network(CDN)のキャッシュコンテンツ配信の接続先に使われたり、Amazon Route 53のようなDNSサーバのエニーキャストアドレスの接続先として使用することができる。ユーザー側は特に意識する必要はなく、Amazon CloudFrontやAmazon Route 53を利用することで自動的に全世界のエッジロケーションに配信される。
全世界に用意されたリージョンとエッジロケーションを駆使することで、例えば米国東部向けのサービスを展開するときにはバージニアリージョンで構築したり、Amazon CloudFrontを使って高速なコンテンツ配信をするなど「エンドユーザーに地理的に近い環境を極めて簡単に用意することができる」のがAWSの大きな優位性だろう。
AWSの少し変わった特徴として、全てのサービスに制限が設けられていることが挙げられる。この制限とは初期状態で起動できるAmazon EC2の数であったり、Amazon EC2に付与する仮想ディスク「Amazon Elastic Block Store(EBS)」の数が該当する。これはユーザーが意図せず大量のAmazon EC2を起動してしまったり、スパム業者などの悪意ある操作を防ぐためである。この制限はAWSに制限緩和申請をすることで段階的に緩和される。
また、AWSの各サービスはManagement Consoleと呼ばれる専用の管理画面から操作する。インターネットブラウザから直感的に操作できるManagement Console以外にAPI経由でも操作できる。CLI(Command Line Interface)やSDK(Software Development Kit)も用意されているので、作ったアプリケーションからAWSの各サービスやリソースを操作することも可能だ。
AWSへのサインアップ、料金体系
AWSを利用するにはhttp://aws.amazon.com/からサインアップする必要がある。またサインアップには以下が必要だ。
- 登録電子メールアドレス
- 電話番号
- クレジットカード
サインアップはウィザード形式で進むので特に迷うことはないだろう。
AWSの利用料金は1カ月ごとにクレジットカードに請求される。また、請求は日本円ではなく米国ドルなので企業でAWSを利用する場合は注意が必要だ。例外として月額利用料が何百万円も発生するような場合はAWSの営業に相談すれば銀行振り込みにも対応しているが、米国への送金になるので企業として気を付けるポイントになるだろう。基本的にはクレジットカード払いなので日本円での請求書払いが必要な場合は、請求代行サービスを提供しているAWS認定パートナー企業があるので検討してもよいだろう。サービスやリージョンごとに利用料金は異なるのでAWSのドキュメントを参照いただきたい。
例としてAmazon EC2の料金(執筆時点)を記載する。
AWS各サービスの操作方法
AWSへのサインアップが完了すると、Management Consoleから各サービスを操作することができる。執筆時点では日本語での表示には対応していないが、難解な英語は使っていないのでそれほど抵抗なく使うことができるだろう。各アイコンはそれぞれリンクになっていて、リンク先から各サービスの詳細が表示される。Amazon EC2の画面を例にManagement Consoleの見方について説明する。画面左の「EC2」リンクか左上部の「Services」にある「EC2」リンクから専用ページに移動する。
前述したがAWSにはリージョンという概念がある。Amazon EC2は各リージョンに設置できるサービスの1つだ。画面右上部に表示されている「Tokyo」は東京リージョンを指していることが分かる。この「Tokyo」はプルダウンメニューになっていて他のリージョンへの切り替えはこのリンクから行う。
目的のリージョンを指定後、左ペインからAmazon EC2リソースを操作する。
次回以降、Amazon EC2をはじめ、AWSの各サービスを詳細に解説する。
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徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services
Amazon Web Services(AWS)に関する最新記事はこちら→ Amazon Web Services(AWS) (http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/saas/aws/)
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