2013年03月26日 08時00分 UPDATE
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基幹系システムのクラウド利用は本格化するか【事例】「SAP on AWS」のメリットは? ケンコーコムの取り組みを見る

代表的なERPパッケージである「SAP ERP」を「Amazon Web Services」で稼働させる――ケンコーコムがこう決断したのは2011年だった。どのような経緯でSAP on AWSを選び、どう導入したのか。事例を紹介する。

[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 健康食品や化粧品、医薬品などをオンラインで販売するケンコーコムが「Amazon Web Services」上に基幹システムの「SAP ERP」を構築し、2012年8月に本格稼働させた。これまでオンプレミスでの運用が常識だった基幹システムでもクラウドコンピューティングでの利用が広がるのか。ガートナージャパンが主催した「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2013」で講演したケンコーコム 取締役 IT本部長 新井達也氏の話をまとめた。

ケンコーコムの新井達也氏 ケンコーコムの新井達也氏

 実際にケンコーコムのオンライン販売を利用された方もいると思うが、同社のビジネスは思った以上に複雑だ。同社はメーカーから仕入れた商品を自社で販売するだけではなく、他の販売事業者に卸す事業も行っている。加えて商品量が膨大だ。現在は20万点を扱っているが、その多くはたまにしか売れない商品。しかし、そのたまにしか売れない商品が多数あることが同社の重要な収益源となっている。いわゆるロングテール型ビジネスを行っているのだ。このような複数の業務プロセスやロングテール型ビジネスによる膨大な商品数と注文データの増加に同社は直面していた。「ERPでこの課題をどう処理するかが課題だった」と新井氏は振り返る。

 ERP導入によって創業以来、乱立してきた業務システムを整理・統合したいという思いもあった。「もともとはベンチャー企業でコンパクトにビジネスをしていた。成長する過程で必要なシステムを追加してきた。その結果、システムの分断や乱立が見られる状況になってきた」(新井氏)。データの二重登録や不整合、手作業なども発生していて、システムによる効率化は優先して解決したい課題だった。

 業務プロセスが分断されたままでは内部統制上の不安もあった。またIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)についても「対応せざるを得ない時期がやってくる」と考えていて、「近い将来のIFRS適用時に、大幅なシステム変更なしで対応できるようにする」というのが基本姿勢だった。

実績からSAP ERPを選択

 ERPパッケージは多数あり、一長一短。多くの企業はその製品選択に悩む。しかしケンコーコムはほぼ悩まずにSAP ERPに決めていた。「SAP ERPを選んだ一番大きな理由は実績」(新井氏)。さまざまな業種や企業規模で利用されているSAPの実績が同社の決断を後押しした。また広く利用されているSAP ERPであればコンサルタントやエンジニアの確保も容易と考えた。さらにSAP ERPが既にIFRSに対応していることもポイントだった。

 ERPパッケージの選択以上に同社が気を遣ったのが導入パートナーの選択だ。ベンチャー企業から発展してきた同社の特徴は業務スピードや意思決定の速さだ。「ERP導入に長けている大手のベンダーと、われわれの進め方は違うと推測した」(新井氏)。Eコマース企業への導入実績を持ち、さらに意思決定が速いパートナーを探した。

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