世界各地に拠点を持ち、120カ国で製品を販売するぺんてるが連結管理会計システムを構築した。拠点、製品、市場の3軸管理という複雑な要件を満たすために選んだ製品とは?
大手文具メーカーのぺんてるが本社と海外拠点を対象とした連結管理会計システムを構築し、2012年10月に稼働させた。利用したのは連結会計パッケージの「DivaSystem」。ぺんてるの担当者がディーバのイベントで行った講演を基に、導入事例を紹介する。
ぺんてるは国内拠点の他に、海外拠点として欧州・アフリカに7社、アジア・オセアニアに10社、北米・中南米に5社の拠点を持つグローバル企業だ。文具などの輸出は120カ国に行っている。売り上げの6割以上は海外から挙がっている。
従来は各拠点のグループ子会社がそれぞれで利益を確保できればいいという考えで「連結意識が希薄だった」(ぺんてるの経営戦略室 室長の小野裕之氏)。ただ、為替の急変動やキャッシュフローの悪化、在庫の増加など、事業のグローバル化に伴って、グループ子会社の個別対応では追い付かないケースが多くなっていた。経営情報は子会社側にあるため、日本の本社で対策を取ろうとしても「グローバル全体で判断するための情報が少なく、タイムリーな対策が打てない」(同氏)ことが課題なっていた。
ぺんてるではこれらの課題を解決するため「グループ連結経営重視を宣言した」(同氏)。具体的には連結ベースでの予算や実績の管理、着地予測、損益分析、在庫分析などを実現することを目指した。特に重視したのが拠点、製品、市場という3つの軸で連結データを分析することだった。これによってどの拠点で、どの製品を、どの市場に対して販売すれば最も利益を上げられるかが分析できると考えだ。この「3軸連結管理会計システム」が稼働すれば、製品販売だけでなく、撤退すべき製品や市場についても迅速に分析でき、社内リソースを効率的に成長分野に投入できることになる。
ただ、このような3軸連結管理会計の仕組みを導入するには、同社のシステムはグループでバラバラ過ぎた。ぺんてるは日本本社で「SAP ERP」を利用しているが、欧州は「Microsoft Dynamics NAV(旧Navision)」、米国は「Oracle Applications」、台湾は「Infor ERP LN(旧Baan)」、中国は「用友」を導入するなどグループ内に多様なERPが存在している。当然、勘定科目などのコード体系やデータフォーマットも拠点ごとに異なっていて、手作業での集計が難しいのは明らかだった。
本社のSAP ERPを核に、グループ子会社のERPをSAPに統一する案も検討されたが、膨大なコストが掛かる上に、その実現性も不明だった。そのため結果的には既存システムからデータを収集し、連結管理会計システムで分析する方法が適切と判断した。
連結管理会計システムの選定は3製品から行った。まずは3軸連結管理会計を実現するための要件を検討し、その後に具体的な業務機能にまで落とし込んだ。業務要件では「データ作成」や「マスター管理」「連結処理」「3軸収益管理」「シミュレーション」などを評価項目とした。ベンダーによるデモンストレーションなどを通じて、3製品を対象に、それぞれの製品が対応できる要件のフィット率を調査した。
DivaSystemは他の製品と比べて「ハードルの高い要件に対する適合率が圧倒的に高かった」と評価された。ぺんてるの資料によると他の製品の要件適合率が70%台なのに対して、DivaSystemは93%だった。特にぺんてるが重視する3軸連結管理会計に関連する要件については100%の適合率だったという。
DivaSystemの採用を決めたぺんてるだが、実際の導入には課題が幾つかあった。課題は以下の2つに集約できた。
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