テレワーク社員の本音「“あれ”がないからオフィスでは働けない」オフィスの役割を再定義【前編】

「出社回帰」を促す企業の動きが目立つものの、テレワークに慣れた従業員がすぐにオフィスに戻ってくるとは限らない。テレワークを推進してきた企業のオフィスに、“ある点”が欠けていることが理由の一つだ。

2024年09月13日 08時00分 公開
[Cath EverettTechTarget]

関連キーワード

ERP | 人事


 一部の企業はテレワークからオフィス回帰へと方針を転換しているが、テレワークに慣れた従業員は簡単にはオフィスに戻ってこない。理由の一つは、オフィスに“ある点”が欠けていることだ。テレワークを主体とした働き方が主流になったことでオフィスが変わり、従業員の要望とオフィスの機能が一致しにくくなっている。オフィスには何が必要なのか。

テレワーク中心だった企業のオフィスには“あれ”がない

 オフィスデザインを専門とするPeldon Roseで戦略部門の責任者を務めるペルドン・メドハーストは、テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィス勤務の組み合わせ)の概念が成熟するにつれ、ある変化が目立つようになったと指摘する。従業員同士が協力して働くためのスペースをオフィスに作ることに重点が置かれなくなったことだ。

 従業員をオフィスに呼び戻すための取り組みとして、オフィスの「ホテル化」(ホテリフィケーション:Hotelification)に関心が集まっているとメドハースト氏は説明する。ホテル化とは、顧客の満足度を向上させるホテルのようなサービスや施設をオフィスにも取り入れることを意味する。

 メドハースト氏によると、オフィスのホテル化では、異なる役割を持つ“3つのゾーン”を作ることになる。同氏はその役割を3つのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)になぞらえて以下のように説明する。

  1. 業務に特化した集中作業をするための場
    • ビジネス向けSNS「LinkedIn」のような役割を持つ。
  2. つながりやコラボレーション、表現を生み出すための場
    • ショート動画共有サービス「Instagram」のような役割を持つ。
  3. コミュニケーションのための場
    • 短文投稿サイト「X」(旧Twitter)のような役割を持つ。

 「業務生産性や業績だけではなく、従業員へのさまざまな影響を考慮したオフィス空間をデザインする必要性を感じる経営者が増えている」とメドハースト氏は説明する。例えば考慮する点としては以下がある。

  • ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)
  • 騒音
  • 照明の強さ
  • 温度
  • 包括性(さまざまな属性を持つ人々を受け入れること)

 環境面での持続可能性(サステナビリティー)も、オフィスの再設計をする際の考慮事項になる。ただしオフィスインテリアデザイン会社Diamond Business Interiors(Diamond Interiorsの名称で事業展開)でデザイン部門の責任者を務めるレベッカ・ウォーラー氏は、「サステナビリティーの確保にかかる費用や手間を考慮すると、企業にとってサステナビリティーの優先度は下がりがちだ」と指摘する。

 サステナビリティーの確保において、ITに何かできることはあるのか。メドハースト氏が挙げるのは、オフィスのエネルギー使用量を最適化するためのセンサーの設置だ。センサーを活用することで、出社率が低い特定のフロアを閉鎖したり、照明や空調をオフにしたりできる。


 後編は、サステナブルなオフィスづくりを実現した企業2社の取り組みを紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 株式会社TOKIUM

マンガで分かる「新リース会計基準」、実務担当者が最初にやるべき取り組みとは

2027年4月以降の事業年度から強制適用が予定されている「新リース会計基準」。「対応が必要とは知っているが、具体的に何をするべきか理解できていない」という担当者もいるのではないか。担当者が“最初に”手をつけるべきポイントとは?

製品資料 株式会社TOKIUM

経理担当の負担を軽減、仕訳・転記・集計作業の負担を最小化する4つの方法とは

多くの経理担当者にとって、会計システムへの仕訳入力・転記・集計といった一連の作業は大きな負担となっている。また、手作業によるリスクも大きく、ミスの温床になりがちだ。本資料では、これらの作業を効率化するための方法を紹介する。

製品資料 株式会社TOKIUM

新リース会計基準の強制適用に対応、契約書の洗い出しを効率化する3ステップ

「新リース会計基準」の適用を2027年4月に控えているが、多くの企業からは「適用開始まで余裕がある」「何から手をつければ良いのか分からない」という声を耳にする。新リース会計基準に対応するためにまず始めるべきこととは?

事例 jinjer株式会社

10社の事例から探る、勤怠管理システムの導入で解消できる課題と効果

「勤怠管理」の課題を解消し、正確かつ効率的な作業を可能にする勤怠管理システム。その導入メリットを享受するには、自社の課題を確実に解決できる製品選びが不可欠だ。本資料では、製品選びの参考になる10社の導入事例を紹介する。

事例 ServiceNow Japan合同会社

17万人が利用するシステムを刷新、NTTグループの決裁プロセス改革術

CXとEXの双方の高度化を実現すべく変革に挑み続けるNTTグループ。「自らのDX」を進める第一弾としてグループ社員17万人が利用する決裁システムを刷新し、大きな成果を挙げている。同社の取り組みを詳しく紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...