NTTが掲げる「IOWN」は既存ネットワークの性能の限界を超える可能性がある。そのユースケースとして何が挙がっているのか。
NTTは光ベースの技術によるネットワーク構想「IOWN」を掲げている。NTTは2030年の実現を目指しており、消費電力や伝送容量、遅延などの面で既存のネットワークよりも性能を改善できる可能性がある。
NTTは複数の企業と世界各国で活動する業界団体「IOWN Global Forum」を運営しており、IOWNのユースケースについても検討を進めている。IOWNで何が実現するのか。
IOWNではさまざまなユースケースが期待されているが、特にAI(人工知能)技術関連が期待されている。例えば医療分野では以下のユースケースが期待されている。
2024年7月現在、IOWNは金融や放送、放送、テレビ、エンターテインメント、通信、自動車などの業界の企業と接触している。
「銀行がIOWNネットワークを通信に使用し、同じネットワークを自動車メーカーも使用するということが考えられる」と通信機器ベンダーEricssonのIOWN Global Forumマーケティングステアリングコミッティーのチェア であるゴンザロ・カマリロ氏は述べる。IOWNは、複数の分野にわたるエコシステムをサポートできる可能性がある。
IOWNに興味を持っているユーザー企業は具体的なユースケースを検討する時期に来ている。「彼らは『これら2つのデータセンターを接続する必要がある』とか、『金融取引の問題に直面する中で、こういうものが欲しい』と具体的な要望を出すだろう」とカマリロ氏は述べる。
「企業が想定するユースケースの要件を抽出して、その要件を満たす技術の開発を進めることで概念実証に進み、開発中の技術が実際に有効であることを証明する。その後、早期展開に移行する」(カマリロ氏)
IOWNは世界各国で展開されるプロジェクトだが、現在のエコシステムにおける主要プレイヤーはほとんどがアジア太平洋地域の企業だ。日本は特に注目されている。NTTは、AI技術が日本の経済全体の将来の展望にとって不可欠であると考えられている。そのため、IOWNによるAI関連ユースケースの実現は避けて通れない課題であると信じている。
実際、日本のネットワークを流れるデータは指数関数的に増加している。日本ではAI技術が従業員のスキル不足の解決策になると見なされており、結果としてAI技術による膨大なデータの利用を促進している。
IOWN構想は2030年の実現を目標としているが、既にIOWNの技術を活用したサービスが商用化している。NTTは電子技術と光技術を合わせた光電融合技術を活用したネットワークインフラを利用して、2拠点間を専用線で結ぶ「APN IOWN 1.0」を提供している。
一方で、モバイル通信の分野では「6G」(第6世代移動通信システム)の開発や仕様策定が進んでいる。IOWNの技術開発と6Gの技術開発は補完し合う可能性があるが、実際には活用する技術が偶然に重なっている部分もある。とはいえ、IOWNも6Gも社会に変革をもたらし、よりスマートな社会を創造することを約束している。
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