NTTの構想「IOWN」で何が実現するのか? そのユースケースとはIOWNの正体に迫る【後編】

NTTが掲げる「IOWN」は既存ネットワークの性能の限界を超える可能性がある。そのユースケースとして何が挙がっているのか。

2024年09月13日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | インフラ | ネットワーク


 NTTは光ベースの技術によるネットワーク構想「IOWN」を掲げている。NTTは2030年の実現を目指しており、消費電力や伝送容量、遅延などの面で既存のネットワークよりも性能を改善できる可能性がある。

 NTTは複数の企業と世界各国で活動する業界団体「IOWN Global Forum」を運営しており、IOWNのユースケースについても検討を進めている。IOWNで何が実現するのか。

「IOWN」で何が実現するのか?

 IOWNではさまざまなユースケースが期待されているが、特にAI(人工知能)技術関連が期待されている。例えば医療分野では以下のユースケースが期待されている。

  • 医療機関によるAIを利用した診察
  • 遠隔手術
  • 人の身体および心理をデジタルデータとして再現する「バイオデジタルツイン」の開発
  • 増加するデータの処理

 2024年7月現在、IOWNは金融や放送、放送、テレビ、エンターテインメント、通信、自動車などの業界の企業と接触している。

 「銀行がIOWNネットワークを通信に使用し、同じネットワークを自動車メーカーも使用するということが考えられる」と通信機器ベンダーEricssonのIOWN Global Forumマーケティングステアリングコミッティーのチェア であるゴンザロ・カマリロ氏は述べる。IOWNは、複数の分野にわたるエコシステムをサポートできる可能性がある。

 IOWNに興味を持っているユーザー企業は具体的なユースケースを検討する時期に来ている。「彼らは『これら2つのデータセンターを接続する必要がある』とか、『金融取引の問題に直面する中で、こういうものが欲しい』と具体的な要望を出すだろう」とカマリロ氏は述べる。

 「企業が想定するユースケースの要件を抽出して、その要件を満たす技術の開発を進めることで概念実証に進み、開発中の技術が実際に有効であることを証明する。その後、早期展開に移行する」(カマリロ氏)

IOWNの製品やサービスの主要な展開地域はどこか

 IOWNは世界各国で展開されるプロジェクトだが、現在のエコシステムにおける主要プレイヤーはほとんどがアジア太平洋地域の企業だ。日本は特に注目されている。NTTは、AI技術が日本の経済全体の将来の展望にとって不可欠であると考えられている。そのため、IOWNによるAI関連ユースケースの実現は避けて通れない課題であると信じている。

 実際、日本のネットワークを流れるデータは指数関数的に増加している。日本ではAI技術が従業員のスキル不足の解決策になると見なされており、結果としてAI技術による膨大なデータの利用を促進している。

 IOWN構想は2030年の実現を目標としているが、既にIOWNの技術を活用したサービスが商用化している。NTTは電子技術と光技術を合わせた光電融合技術を活用したネットワークインフラを利用して、2拠点間を専用線で結ぶ「APN IOWN 1.0」を提供している。

 一方で、モバイル通信の分野では「6G」(第6世代移動通信システム)の開発や仕様策定が進んでいる。IOWNの技術開発と6Gの技術開発は補完し合う可能性があるが、実際には活用する技術が偶然に重なっている部分もある。とはいえ、IOWNも6Gも社会に変革をもたらし、よりスマートな社会を創造することを約束している。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ネットワークの複雑性の課題をどう解消する? 鍵は可視性と制御性

今日の企業における複雑化したITシステム環境においては、ビジネスの安全性や効率性が損なわれている。そこで求められるのがクラウドを活用したインテリジェントな自動化だが、これを実現するには、ネットワークの可視性と制御性が必要だ。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化したネットワークシステム、クラウド並みのアジリティを確保するには?

顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させるとともに、インベーションを促進するには「アジリティ」の強化が鍵となる。しかし昨今、組織のネットワークは複雑化が著しく、アジリティの確保すら難しい。そこで求められるのが「簡素化」だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

管理負担もリスクも軽減、自動化&統合で変わるデータセンターネットワークの姿

クラウド移行の加速やIoTの普及により、日々、データセンターのネットワーク環境に接続するエンドポイントが増加している。しかし、レガシーアーキテクチャでは、このような状況に対応できず、セキュリティリスクが生じている状況だ。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

分散/多様化する職場環境、ネットワークのモダナイゼーションは何から始める?

既存のネットワークが今日の職場環境の急進的な変化に対応できず、パフォーマンスやセキュリティの質の低下を招いているケースが散見される。ネットワークのモダナイゼーションで、こうした状況から脱却するための2つのステップとは何か。

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

帯域の逼迫が問題となる企業LAN、最適なトラフィックの測定方法とは

企業ネットワークの安定運用には、増加するLANトラフィックの正確な把握と迅速な原因特定が重要となる。しかし、従来の手法では効果的な管理が困難であった。本資料では、可視化・分析・監視を強化する帯域可視化ツールを紹介する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

NTTの構想「IOWN」で何が実現するのか? そのユースケースとは:IOWNの正体に迫る【後編】 - TechTargetジャパン ネットワーク 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/05/15 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。