Zoomが提供開始したAI文書作成「Zoom Docs」は何がすごい?会議の無駄をなくす機能とは

Zoomが発表した新機能「Zoom Docs」は、AI技術を活用して会議の効率化を図るものだ。反復作業の削減や情報過多の解消を目指すZoom Docsは、具体的にどのような業務に役立つのか。

2024年09月10日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 コラボレーションツールベンダーZoom Video Communications(以下、Zoom)は、チームの生産性向上とコラボレーション強化のためにAI(人工知能)技術を活用する方針を強めている。その一環で同社は、2024年8月に「Zoom Docs」の提供を開始した。コラボレーションツール群「Zoom Workplace」でどのような作業が可能になるのか。

「Zoom Docs」で何ができる?

 ZoomがAIアシスタント「AI Companion」(当時は「Zoom IQ」)を導入したのは2023年9月のことだ。2024年4月には、AI CompanionをはじめAI機能(AI技術を活用した機能)を搭載したコラボレーションツール群としてZoom Workplaceを立ち上げた。

 Zoom Docsは、AI Companionを用いて以下の作業を実行できる。

  • AI Companionが記録したWeb会議の情報に基づくコンテンツの生成
  • クエリを使用したコンテンツの作成と修正
  • 記事、計画、概要といったコンテンツの改訂や要約
  • コンテンツの文体やスタイルの変更
  • コンテンツ内の文法ミスやスペルミスの発見
  • コンテンツの翻訳
    • 2024年8月時点では9言語に翻訳でき、利用可能言語を増やす計画がある。

 Zoom Docsの目的は、反復的な作業による時間の浪費の解消や、部門をまたぐ連携の促進など、現代の従業員が抱える課題の解決を支援することだ。「Zoom DocsでAI Companionを活用して会議の結果をドキュメントに変換することで、個人およびチームの生産性向上を支援できる」とZoomは説明する。

 同社が提唱するコンセプト「AIファースト」は、AI技術を中心に用いてWeb会議に関するコラボレーションや文書作成を効率化し、エンドユーザーの業務を改善することを指す。AIファーストの設計を通じて、Zoomは以下が実現するようにZoom Workplaceユーザーを支援する。

  • チームの協調性と業務の効率性を高める
  • 情報を整理して生産性を高める
  • チームのコミュニケーションと情報共有を円滑化させて分断を減らす

 新製品の発表に当たって、Zoomは「会議がZoom Workplaceの中核である」ことを強調した。同社はこれまでの経験を基に、会議の前と会議中、会議後のコラボレーションを強化することで、エンドユーザー同士が連携し、優れた実績を挙げられるようにすることを目指している。

 Zoomによると、Zoom Docsの利点は、チームコラボレーションを変革し、会議の効率性を高めて良い成果を生み出すことだ

 「Zoom Docsは、Zoom Workplaceのツールとして初めて、最初からAI技術を組み込んでいる」と、Zoomの最高製品責任者であるスミタ・ハシム氏は話す。Zoom Docsを活用すれば、エンドユーザーはZoom Workplaceで開催したビデオ会議の情報を速やかに文書やナレッジベースに変換でき、チームは有意義な仕事に集中できるようになるという。「全ての作業でAI Companionを利用できるZoom Docsは、『幸せに働く』エンドユーザーを応援し、余暇の時間を創出してもらうことを目的に開発された」とハシム氏は述べる。

 以下にZoomが考えるZoom Docsの活用例を挙げる。

  • Web会議でのコラボレーション
    • Zoom Docsを使ってWeb会議の内容をドキュメントに変換する。そのドキュメントに会議の情報を一元化して、会議内でドキュメントの共同編集を促進することで、会議のコラボレーションをシンプルにできる。
  • プロジェクトプランニング
    • 製品の立ち上げ、宣伝キャンペーン、イベント管理、プロジェクト関連資料、プロジェクトの進捗(しんちょく)状況などに関連する情報を整理して可視化する。最新状況とタイムラインの把握といったさまざまな用途において、作業時間の削減が見込める。
  • 情報ハブ
  • ナレッジベースの作成、チームのオンボーディング(新人の受け入れから戦力化までのプロセス)、目標追跡が含まれ、情報をまとめて入手できるWiki(情報集約サイト)を構築できる。

 Zoom DocsはZoom Workplaceの有料ライセンスに含まれており、追加料金無料で利用可能だ。Zoom Workplaceのバージョンは、6.1.6以降であることが要件となる。無料の「ベーシック」プランでは、AI Companionなしで最大10点の共有ドキュメントと、無制限の個人ドキュメントを作成できる。「プロ」「ビジネス」「ビジネスプラス」「エンタープライズ」の有料プランにアップグレードすることで、Zoom Docsを含むZoom Workplaceアプリケーション全体でAI Companionを利用できるようになる。Zoom DocsのAI Companionは、ユーザーアカウント所有者と管理者が有効あるいは無効に設定可能だ。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...