提供ベンダーが急増
いよいよ試す時期に来たクラウドデスクトップ「DaaS」、最新動向は
この5年間、楽観的な業界ウオッチャーたちは毎年その年が「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)の年」になると予測してきたが、これに終止符を打ち、代わってDaaS(Desktops as a Service)を声高に訴え始めた。DaaSの年は本当にあり得るのか?
2014年もそれ以降も、実際にはDaaS(Desktops as a Service)の年は訪れないかもしれないが、業界ウオッチャーは、クリスマスの奇跡を諦めきれずにいる。ひょっとすると、DaaSの年は本当に実現するかもしれない。
DaaSはこれまで「仮想デスクトップインフラ」(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)の添え物扱いで過小評価されてきた。ところが2013年に入り、主要なテクノロジーベンダーが、デスクトップを全てクラウドに移行するという考えには将来性がありそうだと認識し始めた。
米国では、米VMwareがDaaSの草分け的存在であった米Desktoneを買収した。米Citrix Systemsは、複数のクラウドベンダー環境上でXenDesktopをWindows as a Service(WaaS)として提供している。そこへ米Amazon Web Services(以下、Amazon)が「Amazon WorkSpaces」を引っ提げて、クラウドデスクトップ分野に参入してきた。Microsoftもこの流れに乗って何か動きがあるのではと期待する向きも一部にあったが、同社はこの件に関してコメントを拒否している。米IBM、米Dell、米Virtual Bridgesなどの各社もここに来てDaaSサービスを次々と打ち出している。
現在、DaaSこそ仮想デスクトップの未来形と考えるアナリストもいる。
その理由について、「VDIは価格が高く、さらに複雑なので、ハイパーバイザー、ストレージ、ネットワーク、サーバ、デスクトップ、アプリケーション、ペルソナなど多岐にわたる経験を積んだトップレベルのIT人材が必要になる」と、米調査会社Gartnerのアナリスト、グンナー・バーガー氏は語る。
「VDIという用語にすら、多くの人が嫌な響きを感じていることもあり、VDIは“オンプレミスDaaS”と“オフプレミスDaaS”のような呼び方に変わるだろうという意見には私も賛成だ」と同氏は付け加える。
Gartnerが2012年に実施した調査の参加者の多くが、VDIを装ったオンプレミスDaaSを既に導入していたと、バーガー氏は振り返る。
「彼らの組織では、インフラと管理はアウトソースしていたが、OSイメージは社内で作成していた」とバーガー氏は語る。「(Amazonは)この形をまさに実現している。ただし、Amazonはこのサービスをオフプレミス(クラウド)で提供している。当社の調査の参加者が利用していたのは、オンプレミスのサービスだった」(同氏)
主流となりつつあるDaaS
2013年、クラウドデスクトップの盛り上がりに加わろうとするDaaSプロバイダーが急増した。クラウドサービスの需要が伸びてきていることがその一因だ。もっとも現時点で需要は大きいとはいえない。
800人を超えるITプロフェッショナルを対象として2013年秋に実施された米TechTargetの「Cloud Pulse」調査の回答者の中で、クラウドの導入率は全体的に上昇していた。クラウドサービスを自社で利用しているとの回答は67%に上った。2013年3月の同調査では53.5%だった。
さらに、同調査で「クラウドサービスを利用している」と答えた回答者347人のうち13%は、利用中のクラウドサービスの種類は「DaaS」だと回答している。3月の同調査で「DaaS」と答えたのはわずか6%だった。また、今回の調査では、回答者の16.1%は今後半年以内にDaaSを利用する予定があるとしている。
Desktoneプラットフォームをベースとするパーシステント方式の仮想デスクトップを提供しているクラウドホスティングプロバイダー、米NaviSiteは、クラウドを採用する動きが最近活発になっていることを認めている。
「われわれは(DaaSの)提供を始めて1年半になる。正確な数は言えないが、月単位でDaaSに対する顧客からの関心が高まっているのを感じる」と、NaviSiteのプロダクトマネジャー、トニー・ロライ氏は語る。「VMwareがDesktoneを買収したときと、AWS WorkSpacesが発表されたときの盛り上がりはすごかった」
確かに、有名ベンダーがDaaSに力を注ぐようになった今、企業のIT部門も、そろそろDaaSを試してもいいタイミングではないかと感じている。
「流れは皆に来ている。あちこちに多くのデスクトップがあり、DaaS導入の障害となっている問題には答えがある」とロライ氏は語る。
とはいっても、完全にクラウドベースのDaaSを採用するのはほとんどの企業にとって時期尚早かもしれないとGartnerのバーガー氏は言う。
「私が話をしている顧客は、まだWindows XPからの移行中だ。このような顧客が一足飛びにオフプレミスのソリューションを採用するとは思えない」(バーガー氏)
「さらに、Windows XPのサポート終了が2014年4月に迫る中、企業には何らかの策が必要だった。その何かがクラウドデスクトップなのかもしれない」とNaviSiteのロライ氏は語る。
DaaSの先行きは明るいか
DaaSはかつてVDIの陰に隠れた存在だった。クラウドコンピューティングにはセキュリティ上の不安があると考えられていたからだ。セキュリティこそが、仮想デスクトップを利用する第一の理由だった。
しかし、VDIは複雑であり、それが理由で仮想デスクトップを利用しないIT部門も存在した。またVDIを大規模に導入するには、IT機器、特にサーバとストレージに多額の先行投資が必要だ。だがDaaSにはその必要はない。
「企業は、(VDIの)複雑さ、コスト、管理の問題を解決するソリューションを切望している。ただし、ユーザーエクスペリエンスとセキュリティの理由から、求めているのはオンプレミスのソリューションだ。物理的でも仮想でも構わない」とバーガー氏は説明する。
「DaaSテクノロジーはまだ、広範囲には企業に導入されないだろう。多くの障害があるからだ。セキュリティの懸念、ライセンスの制限、ユーザーエクスペリエンスの問題、帯域幅の増加、アプリケーションの互換性をはじめ、まだまだある」(同氏)
しかし、状況は変わるだろう。
「そのうち、クラウドテクノロジーは今よりも幅広く利用されるようになり、オフプレミスのデータ、アプリケーション、デスクトップを快適に感じる企業も増えるだろうし、(そうすれば)ライセンス体系が変わると期待したい」と、バーガー氏は語る。同氏は2013年、VDAライセンス体系の見直しを求め、「#FixVDA」と銘打った草の根キャンペーンを始めた。
「帯域幅の費用は縮小するばかりだ。ISV(独立系ソフトウェアベンダー)は、DaaSプロバイダーがWindowsベースのアプリケーションをコントロールする可能性に目を向けており、この方法(DaaS)でアプリケーションのサポートを開始するベンダーが増えるだろう」と同氏は付け加える。
「DaaSの設計は、VDI設計の将来にも影響を及ぼす可能性がある。コスト削減のためのオンプレミスストレージや拡張性が強化された管理領域などだ。その領域で、1台のコンソールから数百台、数千台といったサーバを管理するようになるだろう」(バーガー氏)
「結局、DaaSにはチャンスがある。概して企業はWindowsベースのデバイスの管理から逃れたくて、見込みのありそうなソリューションの登場を熱望しているからだ」と同氏は付け加えた。
クラウドホスト型デスクトップのベンダーは今、エンドユーザーエクスペリエンスの向上にも取り組んでいる。
そうしたプロバイダーの1社、米dinCloudは先日、同社の仮想デスクトップ「webHVD/HTML5」、クラウドストレージ、パブリック/プライベートクラウドとMPLS/VPNネットワークとの接続に関する研究開発に大型投資を行うことを表明した。この開発が進めば、エンドポイントがWindows、Mac OS X、LinuxまたはChromebookでも、ユーザーがクライアントソフトウェアに頭を悩ませる必要はなくなると同社は説明している。
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