大幅なコスト削減はできなくても、クライアント端末維持コストとハードウェアコストの削減効果をもたらすDaaS。一方で、幾つかの面ではデメリットも考えられるという。
前編「クラウド型デスクトップ、DaaSのコストを安くする方法」では、VDIに対するDaaSのメリット、DaaSの利用形態について解説した。後編では、DaaSで設備維持コストとPCハードウェアコストを削減できる理由や、DaaSのデメリットを紹介する。
DaaS(Desktops as a Service)はデスクトップコストの大幅な節減をもたらすわけではないが、設備維持コストとPCハードウェアコストの削減につながる可能性はある。米National Asset Direct(NAD)でCTO(最高技術責任者)を務めるジョン・マドリッド氏によると、NADが2年前に200台のWindows 7デスクトップをdinCloudの「Hosted Virtual Desktop」(HVD)プラットフォームに移行して、サーバインフラのマシン台数を50台から30台に減らした結果、ハードウェアと維持管理の両方のコストを削減できたという。
また、DaaSのユーザー企業によると、ヘルプデスクの効率も改善されるという。仮想環境ではデスクトップの入れ替えも短時間で済む。これに対し、問題が発生したノートPCを修復するには何時間、場合によっては何日もかかる。
「要するに、SaaSを利用すれば、企業がデスクトップを運用するのに必要なリソースが大幅に減少するということだ。インフラを簡素化できるからだ。社内でサーバを保有していれば、バックアップや冗長性、管理者などが必要になるが、当社の場合、もはやそういったコストは存在しない」とマドリッド氏は話す。「必要なのは標準的なインターネット接続だけだ。ただし遅延を考慮する必要はある。われわれは良好な接続状態を維持するためにプロバイダーにも協力してもらっている」
業界観測筋によると、シンクライアントに切り替えることによってPCの更新サイクルを延長できるメリットもあるという。シンクライアントのハードウェアの価格は1台200〜300ドル程度だ。しかも、シンクライアントハードウェアはノートPCやデスクトップよりも使用寿命が長いので、6年以上かけてコストを償却できる。
クラウドホスティング型仮想デスクトップにはトレードオフも伴う。最大の欠点は遅延に起因するパフォーマンス問題が時々発生することだ。
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