本音では「Box」を使ってほしい?
社員の「Dropbox」利用を黙認する上司が本当に心配していること
利便性の高さから導入が進んでいるオンラインファイル共有アプリ。企業利用においては、セキュリティとユーザビリティのバランスが課題となっている。情報保護と利便性を両立するにはどうすればいいのだろうか。
「Dropbox」などのオンラインファイル共有アプリは、その使いやすさから大きな組織でも広く利用されている。その一方で、セキュリティに関する懸念が企業のIT担当者を悩ませてもいる。今、こうした同期/共有アプリのベンダー各社は、エンタープライズ向けのセキュリティ機能と使いやすさのバランスを模索しているところだ。
「Box」とDropboxは、セキュリティとユーザビリティ(使いやすさ)に関して対極にあると考えられている。Dropboxは、一般ユーザー向け製品としてスタートした後、ユーザーが業務用にも使うようになってエンタープライズ市場に参入した。これに対し、Boxは企業向けに作られた製品であるため、安全性が高いとIT管理者たちから見なされている。
Dropboxは「ビジネス向けDropbox」(英語名:Dropbox for Business)の投入でセキュリティ向上の要望に応えたが、それでもやはりBoxの方がいいというIT担当者もいる。
米Dropboxによると、同アプリのユーザー数は2億人以上。一方、米Boxによると、有料版Boxは、Fortune 500企業の40%以上、全体で3万4000社の顧客企業に利用されているという(訳注:無料版を含むユーザー数は、Fortune 500企業の90%以上、全体で22万5000社以上)。
米Enterprise Strategy Group(ESG)の上級アナリスト、テリ・マクルーア氏は、「世界中がDropboxになじんでおり、2億7500万人ものユーザーが使っている」と話す。「すごく簡単で私の祖母でも使えるくらいだ。今は誰に聞いてもその問題(セキュリティとユーザビリティのバランスの問題)を抱えている。最大の懸案事項は何かと顧客に尋ねると、1番に返ってくる答えがセキュリティ、次にトレーニング。トレーニングではユーザビリティが重要になってくる」
米エンジニアリング会社C&S CompaniesのIT責任者、エリック・クイン氏によると、同社では約1年前に、業務に使用するオンラインファイル共有アプリケーションとして、セキュリティの高さを理由にBoxの利用を認めたという。今のところ、従業員450人中50人がBoxを使っている。
「法的な問題につながりかねないので、従業員には個人アカウントでDropboxを使ってほしくない。Boxを選んだのは組み込みのセキュリティ機能が理由だが、従業員が何かを使うのを止めることはできない。彼らの行動を全て管理することは不可能だ。従業員が電子メールでDropboxの個人アカウントにファイルを送ることが分かっていたから、もっとよい解決策を与えることにした」(クイン氏)
米Bryant Universityの学生は、IT部門からノートPCを配布され、教室でスマートフォンやタブレットを使って他の学生や職員と連携することを奨励されている。同大学のITチームはBoxの利用を認めているが、同大学のコンピュータ/通信サービス責任者リッチ・シージク氏によれば、多くの教員と学生がBoxではなくDropboxを使っているという。
「Dropboxの使用を止めさせることはほとんど不可能だ。私たちは、認識を広めることでこの問題を解決しようとしている。ユーザーは一番便利で高速なものを使う。対策が遅れたために(Dropboxが)使われ始めたが、Boxを広めて制度化する必要がある」(シージク氏)
個人のファイル共有アカウントが招くセキュリティ問題
2013年のESGの調査によると、管理職の70%は、従業員が個人のファイル共有アカウントで業務用データを保管していることを知っている、またはそう思っていると答えたという。米クラウドベンダーCtera Networksの報告書「2014 Enterprise Cloud Storage Report」(2014年初めに米独立系パネル調査会社Research NowがIT担当者200人を対象に実施)では、25%の企業がプライベートクラウドファイル同期/共有ツールを導入していることが分かった。回答者の31%は、2013年中に、従業員が大抵は会社未承認のオンラインファイルサービスを使ってファイルを共有した結果、社内データが漏えいしたことがあると答えた。
また、回答者の71%は、データの侵害について心配している、あるいは非常に心配していると答えた。Cteraのこの調査によれば、従業員3万人以上の企業の55%は、サービス型のファイル共有ソフトウェアの使用を明示的に禁じている。
選択肢はDropboxとBoxだけではない。他にも多種多様なオンラインファイル共有アプリケーションがあり、クラウドストレージサービスにもファイル共有機能が組み込まれている。IT部門の承認獲得を目指すベンダーは、高度なセキュリティ機能が必要であることを認識している。
米Intermedia.netのファイル共有アプリ「SecuriSync」は、企業ユーザーを対象としており、保管データと転送中データの暗号化、権限とアクセス許可の厳密な管理といった機能を重視している。
Intermedia.netのプロダクト管理責任者ボージャン・ドゥセビク氏は、初期のオンラインファイル共有アプリではユーザーの立場に焦点が置かれていて、IT管理者の承認を受ける必要性はあまり考えられていなかった、と語る。
「Dropboxの使い方はとても簡単だ。だが、管理やセキュリティに穴があったため、企業内でのDropboxの使用は大勢のIT管理者の頭痛の種になってしまった」(ドゥセビク氏)
ドゥセビク氏は、セキュリティとユーザビリティのバランスの取れたオンラインファイル共有製品の第一の要件は、従来の人間の習慣に基づいてアプリケーションを作ることだと述べた。SecuriSyncは、Webポータルではなくデスクトップクライアントとして作られている。
「ファットアプリケーション(ローカルで動く従来のデスクトップアプリ)のインストールを勧めているわけではない。現行の習慣に基づくのが良いということだ。世の中にはシッククライアントアプリケーションをインストールするベンダーもいる。彼らは新しいアプリケーションをインストールすることを選択したのであって、(従業員が)覚えなければならない(Microsoft)SharePointのような新しいWebポータルは必要ない」とドゥセビク氏は語った。
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