社員を脅す手法に疑問符
こんなはずじゃなかった私物スマホの業務利用、厳しいルールは逆効果?
多くの企業が行ってきた社内における私物モバイルデバイスの使用制限。情報漏えいなどを心配したルールだが、その手法は正しかったのか?
モバイルセキュリティ市場は成熟しているが、全てのIT部門がモバイルのセキュリティについて十分理解しているわけではない。
3~4年前に大きく取り上げられていた「FUD」(恐怖、不安、疑念)戦略は、「安全なモバイルを実現する」という概念に取って代わられている。つまり、利便性を犠牲にすることなく、スマートフォンやタブレットに保存されている企業データを保護しようという考え方である。だが、企業が所有するノートPCのように、モバイルデバイスをロックダウンすべきだと主張する管理者もいる。
例えば、非常に規制の厳しい業界などでは、このようなモバイルセキュリティ戦略が必要になる場合もある。だが、米Citrix Systemsでチーフセキュリティストラテジストを務めるカート・レーマー氏は、ロックダウン戦略のほとんどが行き過ぎだと指摘する。Citrixでは2008年以降、私物端末の業務利用(BYOD)を従業員に許可している。本稿では、モバイルセキュリティ市場の発展とIT部門に求められる対応に関する同氏のインタビューを紹介する。
――コンシューマライゼーションや企業のモバイル対応が主な課題として現れた始めたとき、モバイルマルウェアや企業データの損失が懸念された。ただし、今のところ大規模な攻撃や侵害は見られていない。このような懸念は妥当だったのか。
レーマー氏 このような懸念は当然のものだった。理にかなっていなかったのは、IT部門がデバイスをロックダウンするという対策の方だった。この対策は古いITスタイルから引き継がれたものだ。
――IT管理者が従来のデスクトップPCを中心とした、ロックダウン主導のセキュリティ戦略から脱却するのは、どれくらい困難な課題なのか。
レーマー氏 多くの場合、組織の成熟度によって状況は異なる。だが、ロックダウンによる管理はビジネスの妨げとなり、組織が望むセキュリティレベルは実現されない。セキュリティは、単に一連のテクノロジーを使用することではない。IT部門がサポートしているユースケースに適合していることが重要だ。つまり、全面的にセキュリティを適用するのではなく、重要性の高いものを保護することが求められる。
――これまでのデスクトップPCにおけるCitrixの取り組みと比較して、このようなセキュリティ戦略の移行を社内で行うのは困難だったか。
レーマー氏 BYODに取り組んだときと同じ課題に直面したことは間違いない。モバイルやBYODを導入できない理由としては、さまざまなことが挙げられることが予想された。そこで、当社では、社内で協力して、モバイルやBYODを安全に導入する方法を見つけ出した。BYODでは生産性に関して非常に多くのメリットが得られる。また、さまざまなワークスタイルが可能になる。
――BYODを採用している企業では、会社支給のデバイスを利用している企業と異なるセキュリティ対策が必要になるか。
レーマー氏:必ずしも異なるセキュリティ対策を講じる必要はない。だが、どのような形でソリューションを導入しているかによって違いが出てくるだろう。企業がデバイスを所有している場合、デバイスをロックダウンしたり、デバイスのデータをワイプすることが可能だ。多くの企業では、このような対応を取れるようにする必要がある。ただし、このような対応が必要となるのは、企業が想定しているよりもはるかに小規模なユーザー基盤だ。つまり、重要なのはユースケースに立ち返ってセキュリティ対策を立てることだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
製品資料
[株式会社スタディスト] 食品ロスを解消して“利益の創出”を実現、その第一歩は何から始める? -
製品資料
[株式会社スタディスト] 段取り替え時間に差が生まれるのはなぜ? 作業を標準化する仕組み作りのコツ -
技術文書・技術解説
[Datadog Japan合同会社] 開発と運用の人員格差をどう埋める? DevOpsを実現するための実践ポイント -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] たった1回でサプライチェーンが破滅することも メール誤送信を確実に防ぐには
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
5
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
6
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
7
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
8
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
9
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー