役割が変わるIT部門は戸惑い?
スマートフォン、タブレットによる“どこでもオフィス”を素直に喜べない人たち
PCやプリンタを管理するというIT部門の役割が変わりつつある。従業員が私物のモバイルデバイスで仕事をしたり、外部のクラウドサービスを使うことが増えているからだ。IT部門の今後の役割とは?
仕事の生産性を高めるモバイルツールは従業員自身が用意する――このようなトレンドが一般化することで、IT部門の役割が変化している。IT部門の役割は従来、デスクトップPCやプリンタ、固定電話を管理する内容だった。しかし、従業員が自身のITツールを仕事に使うようになり、IT部門に求めることは変化している。具体的に言えば、さまざまなモバイルデバイスの生産性を高めるために役立つ、セキュリティやネットワークの機能を提供することに移りつつある。
シャドーITにどう対応するか
IT専門家は、IT部門がエンドユーザーのためにデスクトップPCを準備して、そのデスクトップPCで全ての作業が行われることを期待する時代はとうに過ぎたと指摘する。
「以前のように端末を管理することはもうない」と米アラスカ州の公益事業会社でITディレクターを務めるマット・コシュト氏はいう。
エンドユーザーの能力が変化したことで、IT部門は、セキュリティリスクと企業のデータに危害を及ぼす“シャドーIT”の可能性を最小限に抑えるために警戒態勢を敷く必要がある。従業員のモバイル化に対処するには、デバイス/アプリケーション/モビリティを統合管理するツールが役に立つだろう。
IT部門は、テクノロジーに逆行するのではなく、テクノロジーと共に前進するという重要な責務を担っている。米マサチューセッツ州ノースバラにあるJ. Gold Associatesでモバイルアナリストと社長を兼任するジャック・ゴールド氏はいう。
「IT部門が不要というわけではない。IT部門には、これまでと異なる役割が求められている」(ゴールド氏)
どこでもオフィス
エンドユーザーがIT部門のサポートを必要としていたのは遠い昔の話ではない。例えば、デスクトップPC、印刷サービス、ネットワーク接続など、仕事に使う設備を整えるには、IT部門のサポートが不可欠だった。
「テクノロジーはエンドユーザーの日常生活に浸透している。そのため、数年前にはIT部門のサポートが必要だったことでも、今はサポートが要らなくなっている」とゴールド氏はいう。
「20年前、PCをネットワークに接続することは想像できただろうか」と同氏は問いかける。そもそもエンドユーザーにはPCをネットワークに接続するアクセス許可が与えられていなかっただろう。また、多くのエンドユーザーは、PCをネットワークに接続するための技術的な知識を持ち合わせていなかった。
今日のオフィスは、従業員が会社支給のデバイスだけをデスクで使用するという固定的な場所ではない。モバイル化によって、どこもかしこも“オフィス”になり得る。例えば、自宅、通勤中の電車内、実際の職場などがオフィスになる。
「従業員のモバイル化が“いつでもどこでも互いに連絡を取ることができる”という意味であれば、モバイル化が進むほど企業の競争力は増す」と米マサチューセッツ州アッシュランドにあるモバイル/ワイヤレス技術のコンサルティング会社Farpoint Groupの社長、クレイグ・マサイアス氏は話す。
そして、同氏は次のように続ける。「生産性の向上、コストの低減、より高い競争力の獲得。現時点では、これがIT部門を評価する尺度だ。ユーザーのデスクにあるコンピュータの台数で評価することはない」
「IT部門は迅速なサービスの提供に集中する必要がある」と話すのは作業空間の仮想化を専門とするオランダのRES Softwareで最高技術責任者を務めるボブ・ヤンセン氏だ。
「現代のIT部門には変化に対応する能力が求められている。新しいサービスはサービスカタログに追加され、古いサービスはカタログから削除される……。IT部門だけでなく、企業全体とITを利用する従業員個人も、変化に対応して、打てば響くような速さでサービスを提供できるIT部門の恩恵を受けることになる」(ヤンセン氏)
同氏は新しい従業員をネットワークに参加させることを例に挙げた。これは単に電子メールアカウントを設定するだけでは済まない問題だ。従業員には、適切なネットワークアクセスだけでなく、さまざまな端末で生産性を維持できる業務アプリケーションを提供する必要がある。このプロセスに関わる全関係者にとって時間のかかる作業だ。
同氏は次のように語る。「この作業だけではない。全ての準備が完了したら、従業員は自分でインストールできる追加のソフトウェアを必要とする。水面下では、IT部門の運命や新しい従業員の生産性を左右し兼ねないさまざまなことが行われている」
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