ビジネスソーシャルが本格化へ
電子メール不要の時代はすぐそこ? Office 365とYammer統合の本当の意味
Microsoftは、企業向けSNS「Yammer」と「Office 365」「Outlook」の統合を強化する計画を明らかにした。Microsoft製品とYammerのソーシャル統合は今後どう進むのだろうか。
米Microsoftは、2012年に12億ドルで買収した米Yammerの企業向けSNS「Yammer」の活用にいよいよ本腰を入れようとしている。Yammerのソーシャル機能と「Office 365」や「Microsoft Outlook」の統合を強化する計画だ。
YammerとMicrosoft製品の統合は、既にOffice 365と「Microsoft SharePoint」で限定的に実現されている。だが、ほとんどの企業はYammerをスタンドアロン製品として使っている。2014年7月下旬にYammerの共同創業者であるデビッド・サックス氏がYammerとMicrosoftを去ることを発表した。その直後、Microsoftは、Yammerの担当組織をOutlookとOffice 365の開発チームの傘下に置く計画を明らかにした。
YammerとMicrosoft製品の統合:Office 365とOutlookがソーシャルに
この組織集約は、Yammerの機能とMicrosoftツールの統合が深化することにつながると、米General NetworksのSharePointプラクティスマネジャーを務めるオーウェン・ラナルズ氏は語る。同社は、企業が電子メールやファイルサーバなどのレガシーシステムからOffice 365に移行するのを支援するIT企業だ。
「MicrosoftがYammerとOutlook、『Microsoft Word』『Microsoft Excel』『Microsoft PowerPoint』などを密接に連係させ、企業の従業員がほぼどんなツールを使って仕事をしていても、Yammerでソーシャル機能を利用できるようにすれば、ソーシャルネットワーキングのビジネスへの導入が容易にな。企業はOffice 365への投資効果を高めることができるだろう」(ラナルズ氏)
Yammerは、2012年にMicrosoftに買収されるまでは、フリーミアムモデル(※)の企業向けSNSだった。2013年に「Yammer Enterprise」が、Office 365の大企業向けサブスクリプションに含めることが可能なアドオンとして導入された。Yammer Enterpriseは2014年には教育機関向けの「Office 365 Education」と中小規模向けの「Office 365 Midsize Business」に追加された。しかし、完全な統合が実現されたわけではなかった。ユーザーは、MicrosoftのOfficeアプリケーションからYammerにあらためてサインインし、別ウィンドウを開いてニュースフィードを表示しなければならなかった。
※フリーミアム(英:freemium) freeとpremiumの合成語。基本機能は無料(free)、より高度な機能は有償版(premium)として提供するビジネスモデル
だが、Microsoftは2014年3月に開催した「SharePoint Conference 2014」で、Office 365からYammerへのログインを簡素化し、ユーザーの再認証を不要にしたと発表。6月には会話機能を発表した。これは、Yammerのソーシャルコラボレーション機能(ニュースフィード機能など)がOffice 365に組み込まれ、ユーザーがMicrosoftアプリ内から、特定の専門スキルを持った人材を見つけたり、フィードバックを残したりできるというものだと、Microsoftのエンタープライズソーシャルチームのグループプロダクトマネジャーを務めるクリストフ・フィーシンガー氏は、ブログ記事で説明している。
Yammerチームは、Microsoftの開発チームに編入されたが、YammerとMicrosoft製品の緊密な統合はすぐには実現されないだろうと、ラナルズ氏は語る。
「統合は段階的に行われ、Office 365のWebポータルにはYammerへのリンクが用意されるだろう」とラナルズ氏。「Office 365にログインすると、OutlookやSharePointなどへのリンクが表示されるが、近いうちにYammerのリンクも表示されるようになり、YammerとOffice 365ツール間でのシングルサインオンが可能になる見込みだ」
「また、YammerはいずれOffice 365の『Office Online』(旧Office Web App)の一部になるだろう」とラナルズ氏は見る。「Office 365とYammerが統合されれば、Word、Excel、PowerPointのドキュメントを編集しながら、同じ画面にYammerフィードを表示し、他のユーザーとコラボレーションすることができる。編集中のドキュメントについてチャットをしたり、その会話全体を記録として残し、そのときの思考の流れを後から確認したりできるようになる」
エンタープライズソーシャルについては、さまざまな計画が打ち出されている。だが、まだ多くの人が、就業時間の半分程度はOutlookやWord、Excel、PowerPointのようなツールを使って仕事をしていると、ラナルズ氏は指摘する。「Yammerの機能は革新的だが、その必要性は認識されていなかった」
ただし、Outlookの利用者は、他のアプリとの連係機能に前向きという。「YammerはPC向けにはWebサービスとして提供されているが、Microsoftがクライアントアプリケーションとしても提供すれば、仕事に不可欠なアプリの1つになる可能性が高い」(ラナルズ氏)
Yammerがメッセージングプラットフォームとして、Outlookから直接使えるようになれば、多くのOutlookユーザーに歓迎されるだろうと、米調査会社Frost and Sullivanの上級産業アナリストであるロブ・アーノルド氏は語る。「この統合により、企業の従業員は電子メールを、本来の用途に使うことができ、プロジェクト管理ツールとして使わずに済む」
YammerとMicrosoft製品の統合で企業のソーシャル戦略がいよいよ開花か
「これまでに無料版を導入した多くの企業では、Yammerを最大限に活用できなかった」とアーノルド氏は指摘する。その理由は「彼らがYammerとビジネスツールの統合の恩恵を受けられなかったからだ」という。
Microsoftに買収される以前からYammerを非常に効果的に利用していた企業もあるが、他のアプリケーションと統合されていなかったことから見切りを付けた企業もある。
Yammerへの関心は、Microsoftによる買収以来、日に日に高まっているとラナルズ氏は語る。また、既に多くの企業が、Yammerの利用権の付与されたOffice 365のプランを利用しており、ラナルズ氏にも顧客からYammerについてよく問い合わせがあるという。しかしながら、企業は必ずしもこのツールを使い始めてはいない。「Yammerを実際に活用する企業が増えるのは、これからになりそうだ」(同氏)
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