「Yammer」を統合へ
「Microsoft Office 365」がSNS化、仕事の仕方はどう変わる?
米Microsoftは買収した企業向けSNS「Yammer」を「Office 365」に統合する。オフィスソフトのSNS化で仕事の仕方はどう変わるのか。
米Microsoftは、クラウドとブラウザベースのコンポーネントの強化によって、衰退するクライアントPC市場からビジネスの幅を広げる取り組みを続けている。その最新の取り組みが、「Yammer」の「Office 365」への統合だ。
この2つのクラウドサービスの密接な統合により新しい機能が提供される。例えばYammerアカウントを作成することなく、メールの画面からYammerの会話に参加する機能や、携帯電話のSMSと同じような機能の提供によるメッセージングの強化だ。
ただし、SMSは特に目新しい機能ではない。米Cotapや「Huddle」を提供する米Ninian Solutions、米IBMなどの企業が提供する競合のオフィスコラボレーションツールには、既に同様の機能が組み込まれている。
Microsoftが企業で日常的に使用されているツールとプログラムにYammerを組み込んだことは、「より広範な統合型のソーシャルコラボレーションツールに向けた大きな1歩になる可能性がある」と米マサチューセッツ州フラミンガムに本社を置くITリサーチ会社のIDCでエンタープライズソーシャルネットワークとコラボレーションテクノロジのリサーチディレクターを務めるバネッサ・トンプソン氏は言う。
「ソーシャルツールでは、ユーザーが日常的な業務プロセスを離れて別のことをするようになるため、このようなツールを採用することには葛藤がある。だが、既存の業務プロセスに組み込まれているなら問題はない」
また、米ワシントンDCに本社を置くIT市場調査会社のCurrent Analysisでコラボレーションとコミュニケーションの主席アナリストを務めるティム・バンティング氏もこう指摘する。「Microsoftはエンタープライズソーシャルネットワーキングの機能を提供する上で同社の『Microsoft SharePoint』の機能に弱点があることを認識していた。そのため、同社がYammerをOffice 365に統合する戦略は“避けられない”ことだった」
業界のさまざまな反応
Microsoftは2012年に12億ドルでYammerを買収した。Yammerを使用したエンタープライズソーシャルネットワーキングに関する同社の戦略的な動きについては、IT担当者の間で意見が分かれる。
米ヒューストンを拠点に活動しているITコンサルタントのマイク・ドリップス氏はこう話す。「Yammerは1990年代仕様のMicrosoftの“最新”製品だ。コラボレーションは実現しないだろう。コラボレーションは、目的と責任を伴うプロジェクトがある場合にしか実現されない」
「適切な使い方のトレーニングを実施しない限り、ソーシャルツールは仕事の妨げになる」と米ニュージャージー州に本社を置く大手製薬会社でモバイルイノベーションのディレクターを務めているブライアン・カッツ氏は認識している。一方で、「エンタープライズソーシャルネットワーキングの恩恵を受ける組織もある」と同氏は考えている。
「Yammerではソーシャルネットワーキングを社内に限定できる。Twitterのように世界とつながっているわけではない。業務に役立つフォロワーのグループが用意されている」
エンタープライズソーシャルツールは、適切に使用および実装すれば大きなメリットを企業にもたらす。この点についてアナリストの見解は一致している。ただし、ソーシャルネットワーキングツールを使用するには上層部の承認が必要だ。「指揮統制」にとらわれ過ぎていて、ソーシャルコラボレーションツールを仕事で使用することを許可しないマネジャーが存在するのも事実だ。
「エンタープライズソーシャルツール導入の最大の障壁は企業文化だ」とバンティング氏は言う。「マネジャー自身が変化して、チームがエンタープライズソーシャルツールを活用するように働きかける必要がある。このようなツールは、企業が、オフィスで働いている時間ではなく、成果で評価される従業員を特定するのにも役立つ」
Yammerを超えるMicrosoftのソーシャルネットワーキングツール
今後、ソーシャルツールの統合が増えることは間違いないだろう。
「Microsoftはソーシャルネットワークと他の基幹業務の統合に役立つ『Open Graph Protocol』をサポートするよう基準委員会に働きかけている」とMicrosoftのエンタープライズソーシャル戦略のディレクター、ブライアン・マリー氏は説明する。Open Graph Protocolのサポートは長期プロジェクトだ。しかし、短期的な取り組みとして、Microsoftは、Yammerが「Microsoft Outlook」およびSMTPプロトコルと適切に統合されるようにする必要があると同氏は言う。
Microsoftは、「Office Web Apps」にリアルタイムの共同作業とコラボレーションの機能を組み込む予定だ。「Excel Web App」は、ユーザーがWebブラウザで文字列を入力しているときにもオートコンプリートの機能が提供され、データの入力規則が設定されているセルにも対応するようになっている。
さらに、今週英国で開催されたイベント「Online Tech Day」では、2014年前半にMacintoshプラットフォーム向けの「SkyDrive Pro」の同期クライアントがリリースされることが発表された。
米AppleのiPad向けに新しいデザインのYammerモバイルアプリのリリースが予定されている。それから、「SharePoint Online」のライブラリやSkyDrive ProのWebクライアントに保存されているドキュメントからYammerの会話を始める機能も提供される予定だ。
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