「アプリ連係」の強化が急務
「スマホ向けビジネスアプリ」は3年前から進化していない
モバイル端末の導入に乗り気でない企業の多くは、投資対効果が不確実なことをその理由に挙げる。端末と比べて業務アプリの進化が遅いことが、その原因だという見方がある。
ここ数年、モバイル市場は大きな進歩を遂げている。だが多くの企業は、「追加コストをかけてまで、モバイル端末を業務に導入する価値があるのか」という、昔と変わらない質問をいまだに投げ掛けている。
モバイルデバイス管理(MDM)、MDMを包含するエンタープライズモビリティ管理(EMM)、セキュアコンテナ、エンタープライズアプリケーションストア、モバイル仮想化など、モバイル端末の企業利用を支える製品がここ数年の間に台頭してきている。
モバイルの進化は速い。最近の企業合併の事例からも分かるように、EMMベンダーは、製品を迅速に革新するか、廃業するかの二者択一を迫られている。EMMツールは何年もの歳月をかけて進化してきた。EMMツールが本当に従業員の生産性向上に役立つかどうか調査する価値はある。
モバイル活用の歴史を振り返る
まず、企業のモバイル端末活用が進化した過程を確認しよう。多くの企業は、カナダBlackBerryのスマートフォン「BlackBerry」を導入する一環として、メールやカレンダー、連絡先管理ツールなどの提供を始めた。これがモバイル端末活用の始まりだ。
モバイル端末の導入範囲がBlackBerry以外の端末やOSへ拡大するにつれて、ある変化が見られた。企業はMDMツールを購入したり、米Microsoftの「Microsoft ActiveSync」などの同期ツールを使用したりして、メールやカレンダーといった機能を特定グループの従業員が利用できるようにした。
こうした機能は、ここ数年で大幅に向上している。2009~2011年の間は、端末の互換性とメールの同期に起因するダウンタイムに手を焼いていた。だがEMMツールのベンダーは2013、2014年の2年で、モバイルOSのアップグレードがあってもメール、カレンダー、連絡先などへのアクセスを阻害しないレベルへと成長を遂げた。
一方で、モバイル端末をビジネスで使うユーザーの全体的な操作性はわずかしか向上していない。例えば、メールアプリでドキュメントを開いて編集し、別の場所へ保存する作業は今でも簡単にはできない。こうした操作性の課題は、大手ITベンダーが多数のEMM企業を買収しているもう1つの理由でもある。既存の企業インフラとEMMツールを連係させると、ユーザーはファイルを別のアプリへ送信しなくてもよくなる。その結果、よりシームレスで生産性の高い操作性が得られる。
カレンダーアプリは、Microsoftの「Active Directory」を通じて同僚との会議をスケジュールすることはできる。ただし、同僚の予定や会議室の空き状況を確認する機能はまだ搭載していない。一方、企業向けの連絡先管理ツールは、個別のユーザーの連絡先を社内の連絡先リストで共有できるまでに強化された。だが連絡先が重複登録されてしまうことが依然としてある。
金融サービス会社で働く20人を対象に非公式の調査をした。ほとんどのユーザーは、メール、カレンダー、連絡先管理ツールを必需品だと考えている一方で、これらのアプリは数年前からほとんど改善が見られないと感じていることが分かった。生産性も少ししか向上していないという。自宅でタブレットやノートPCを開いてデバイスのパスコードを入力すれば、複数のアプリやツールを使用しなくても職場で中断した仕事の続きができるのが理想だろう。
EMMツールをビジネスの手段として導入している企業は、生産性向上アプリを使い始めている。その種類は、オフィスアプリやメモアプリから、人事アプリなどのエンタープライズアプリに至るまで多岐にわたる。筆者個人が話を聞いた多くの人は、タブレット、スマートフォン、ファブレットなどを持ち歩くこと自体にわくわくした様子で、モバイルデバイスに搭載されている機能を非常に気に入っていた。
アプリの信頼性はこの3年で大きく向上したが、機能はわずかにしか向上していない。従業員の生産性はIT部門が使用を許可しているアプリに大きく左右されるので、生産性を測定することは難しい。企業でアプリを生産的に使用できるかどうかは、アプリ同士の連係に掛かっている。つまり、アプリを素早く開いてタスクを実行し、その情報をどこからでも利用できるようにする機能が必要だ。
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