「モバイルアプリパフォーマンス管理(mAPM)」導入のススメ
スマホアプリの「遅い」「鈍い」「動かない」を解消する“間違いのない”方法
企業でモバイルアプリの利用が浸透すればするほど、そのパフォーマンスへの要求も高くなる。課題解決の鍵となる可能性があるのが、「モバイルアプリパフォーマンス管理(mAPM)」の導入だ。
モバイルアプリケーションに関連する作業の中で、開発は簡単な部類に入る。本稿では、「モバイルアプリパフォーマンス管理(mAPM)」製品が、現場で精彩を欠いているモバイルアプリのパフォーマンスに対処するのにどのように役立つかを紹介する。
次のモバイルアプリのリリース前のシナリオを考えてみてほしい。あなたは半年にわたって、従業員の作業効率を向上するためのモバイルアプリの開発に従事してきた。開発プロセスでは適切な調整を施した。全てのラボで実施したαシナリオのテストで、モバイルアプリはベンチマークを上回る結果を出している。このモバイルアプリは全世界の何千台ものモバイル端末で使用されている。あなたは次のモバイルプロジェクトに向けて意気揚々としており、怖いものなしだ。
だがモバイルアプリのリリースから半年が経過したとき、あなたは上司から叱責を受けた。モバイルアプリは広く使われなくなり、品質の低さに関する不満が多数寄せられているというのだ。
何が間違っていたのか
モバイルアプリの成否を握るのは「現場でのモバイルアプリのパフォーマンス」と「ユーザーによるモバイルアプリの使用状況」の2点だ。ユーザーのモバイル端末にインストールされた瞬間から、モバイルアプリは“クリーン”なテスト用のラボ環境とは全く異なる環境で使用され、さまざまな要素の影響を受ける。例えば、ネットワーク接続、端末、モバイルOSの種類。他にもインストールされているモバイルアプリ、モバイルアプリの仕様状況(オンラインかオフラインかなど)、ユーザーの地理的な場所、ロケールなどだ。
これらの要素には制御可能なものもある。だが多くは制御不能だ。ただし、対処方法はある。それは、モバイルアプリの導入シナリオとエンタープライズモビリティ戦略の一環としてmAPM製品を使用することだ。モバイルアプリのパフォーマンスを管理、測定することで、モバイルアプリの有効性を評価できる。パフォーマンスを低下させる潜在的な要素の全体像も把握可能だ。
mAPMを使用して大惨事を回避する
mAPMを使用する最大のメリットは、特定のユーザーが問題に遭遇した場所やタイミング、理由をピンポイントで特定できることである。サポート要請があったときに問題が判明したり、モバイルアプリが粗悪だといわれているうわさを耳にする最悪の事態を回避できる。
例1:トラブルの早期発見で早期対処が可能に
あなたはグローバル企業で働いており、開発チームが経費を報告するためのモバイルアプリをリリースしたとしよう。このモバイルアプリを使用すると、その場で経費の詳細情報の入力や、領収書のキャプチャーなどの操作ができる。このモバイルアプリは20カ国で働いている1000人の営業担当者の端末に導入済みだ。これは非常に洗練されたモバイルアプリで、オフライン時には経費の情報が端末に保存される。ただし、経費の報告書を提出するにはインターネット接続が必要になる。
無線ネットワークが発達している80%の国では、このモバイルアプリは問題なく機能している。だが無線ネットワークが発達していない国の営業担当者の環境では、問題が発生していた。報告書提出のためにインターネット接続を確立しようとするたびに、エラーが発生していたのだ。
mAPM製品があれば、エラーが発生した操作をサポートチームが把握できるように通知を設定することが可能だ。通知によって問題の是正措置を講じ、問題が解決したら、影響を受けていたユーザーにそのことを通知できる。また、モバイルアプリの設計を変更して、低帯域幅の場所からのレコード転送操作が成功する確率を上げることも可能になる。
重要なことは、どこでどのような問題が発生しているのかに関する情報があれば、問題を分析し、より適切なサポートを提供し、変更を実装できる、ということだ。
例2:詳細情報でトラブル対応のコストを削減
新しく導入したモバイルアプリは、半年にわたって問題なく機能している。最近、機能を追加する新しいアップデートを導入したところだ。追加機能は、全モバイルOSで実施したどのテストシナリオでも問題なく機能した。だが追加機能の導入後、サポートデスクでは特定のモバイルOSに関する問い合わせに対応することが増えた。何かが間違っていることは分かったが、肝心な問題の原因に関する手掛かりはなかった。
市販のmAPM製品を使用すれば、ヘルプデスクのチケットが作成される前に問題が通知され、特定のOSの種類で問題が発生していることを把握できる。堅牢なmAPM製品なら、問題が発生しているコード行やメモリのコードセグメント(プログラム領域)まで絞り込むことが可能だ。このような詳細情報があると、トラブルシューティングとコードレビューに掛かるコストの大幅な削減につながる。その結果、パッチを迅速に開発して配布できるようになる。
リアルタイムのパフォーマンス追跡
世界地図を見ているところを想像してみてほしい。その地図に自分の管轄下にある全モバイル端末が含まれ、モバイルアプリの動作状況をリアルタイムで確認できたらどうだろうか。mAPM製品が提供する情報は、次の通りだ。
- 実行中のモバイルアプリとクラッシュしているモバイルアプリ
- 現在発生している、または潜在的な接続の問題やネットワーク障害のホットスポット
- モバイルOSのアップデートが既存のモバイルアプリにもたらす影響
- 影響を受けているユーザーの数に基づいた是正措置の優先順位付け
詳細な診断データにより、最適なレベルでモバイルアプリのパフォーマンスを追跡することが可能になる。その結果、チームはユーザー基盤をより適切にサポートできるようになるだろう。また、モバイルアプリの利用率は高くなり、ユーザーの作業効率も向上することが予想される。mAPM製品を使用せずにモバイルアプリを導入すると、多くの点でモバイルアプリ開発の正常なROI(投資利益率)にリスクをもたらすことになる。
mAPMについて把握すべきことは少なくない。だが多くの企業が、この重要な情報を管理するのに役立つmAPM製品を提供している。mAPM製品を使用すると、モバイルアプリの計画からより多くの価値を得ることができる。mAPM製品を提供しているベンダーには、米Crittercism、米Appcelerator、米AppDynamicsなどがある。
モバイルデバイス管理(MDM)製品と連係するmAPM製品を使用すれば、モバイル端末とモバイルアプリの正常性を測定して管理する能力を大幅に高めることができる。例えば米MobileIronのMDM製品は、mAPM製品との連係が可能だ。このような製品やプロセスがなければ、現場で起こっていることを把握するのは不可能だ。この洞察(インサイト)がないと、モバイル戦略全体の弱体化にもつながる。
今日、企業のモバイル化で問題なのは進めるかどうかではなく、どう進めるかだ。このような世界では、成功確率を高める最善策の組み合わせを使用する他に選択肢はない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー