絵に描いた餅ではなくなる
フラッシュの台頭で現実となるストレージ環境の真の標準化
データセンターストレージのアーキテクチャとコントローラーの異種混在性は、多様なワークロードを支える標準化されたインフラの目標の障害となっている。
ストレージシステムの内部はほとんどコモディティ化している。それでも、異なるベンダーのストレージアレイ間の相互運用性を確保しながら、一定の差別化を維持しようとする競争が激しさを増している。
分散コンピューティング環境のストレージはさまざまなベンダーのサーバと相互運用できる必要がある。このため、標準化されたストレージアーキテクチャの必要性が高まり、クラウドがこの傾向に拍車を掛けている。
空振りに終わった異種混在ストレージ環境の統合管理
データセンターストレージは長年、比較的変わっていない基本的な技術、つまり回転磁気ディスクに依存している。大手のディスクドライブメーカーは数社しかなく(米Western Digital、米Seagate、日本の日立、東芝)、メディアは基本的にコモディティだ。
そこで問題となるのが、アレイとコントローラーがどのように組み合わされているかだ。米EMCの「EMC Symmetrix VMAX」など、ハイエンドの高価なストレージを購入したIT部門は、ストレージ全体を単一のツールセットで管理したいと考える。しかし、ディスクアレイのオペレーションは、アレイコントローラー内のプロプライエタリなソフトウェアとファームウェアで定義されている。このため、機能を網羅したストレージ管理ツールを開発するのは難しい。
一部のベンダーは、プロプライエタリなストレージ管理ツールが、各種ストレージアーキテクチャにわたって仮想化を実現すると吹聴している。例えば、米IBMは「SANボリューム・コントローラー(SVC)」について、EMCは「EMC VPLEX」について、米Hitachi Data Systems、米HP、米NetAppもそれぞれ自社製品について、そう言いはやしている。しかし、こうしたツールの大部分は提供元ベンダーのストレージシステムに限定して機能し、しかも多くの場合、そのポートフォリオのごく一部にしか機能しない。本当に高機能の異種対応ストレージ管理が模索されてきたが、この試みは多くのエンドユーザーにとって空振りに終わっている。
クラウドコンピューティングは、ストレージに対するわれわれの考え方を変えている。さまざまなワークロードがますます混在するようになり、ストレージニーズには広範なオブジェクトやファイル、ブロックモードに加え、さまざまなI/O要件が含まれるようになった。しかし、クラウドアーキテクチャを実現するためには、ストレージインフラは単一のリソースプールとして見え、企業のワークロードが変化するニーズに応じて自動的に適用できるものでなければならない。これは、高度に標準化されたツールのプロビジョニングによってのみ可能になる。こうしたストレージインフラを実現する取り組みが進んでいるが、まだ道半ばだ。
フラッシュストレージで標準化に弾み
標準化されたデータセンターストレージを、磁気ディスクストレージだけで確保するのは難しい。ディスクプラッタと読み書きヘッドの相互作用に依存するメディアは、インテリジェントアレイコントローラーが、多様なワークロードの要求を管理するように調整されていることを必要とするからだ。
フラッシュストレージのデータ管理アプローチは、HDDとは異なっている。HDDでは可動ヘッドが取り出すデータがある適切なディスク領域を見つける際に遅延が発生するが、フラッシュは直接アクセスストレージアーキテクチャを採用している。そのため遅延が発生しない。フラッシュは、回転ディスクよりも高速なデータ管理を実現することから、同じアレイ内のさまざまなワークロードタイプに適用できる。またフラッシュは、異なるベンダーの製品にわたって簡単に仮想化できる。
ついにストレージの標準化が、絵に描いた餅ではなく、実現可能な約束になる可能性がある。だが今のところは、その実現にはまだ程遠い。
フラッシュへのアプローチは、ベンダーによってまだ多くの違いがある。既存のストレージベンダーの多くは、磁気ディスクのアレイ上にフラッシュのレイヤーを設けるハイブリッドアプローチを打ち出している。だが、このアプローチでは、ワークロードがフラッシュのキャッシュレイヤーにないデータを要求すると、問題が生じる。そのデータを磁気ディスクから取り出さなければならないからだ。そのために特定のデータアクションは、100%磁気ディスクのアレイの場合よりも遅くなってしまう。
純粋なフラッシュと磁気ディスクアレイを階層化したこうしたシステムの利用は、データセンターストレージへの既存投資を最大限に活用するのに必要なステップかもしれない。しかし、こうした既存のレガシーアレイは、単一の管理レイヤーを構築するときに頭痛の種になる。その点でEMCのストレージ仮想化製品「EMC ViPR」は有望だ。異種混在ストレージを強力に管理できるからだ。
オールフラッシュアレイは、異種混在ストレージに求められる機能の統合で激しい競争を繰り広げている。米Pure Storage、米Violin Memory、米Nimble Storageといったフラッシュベンダーは、ストレージボリュームを最小限に抑え、仮想環境全体にわたって自社システムを高度に管理できるインテリジェントソフトウェアを提供している。
コンバージドインフラとストレージ
コンバージドインフラ(CI)システムは、クラウドストレージ管理を取り巻く状況をやや複雑にしている。
ストレージ分野から出発したベンダーである米Nutanixは、高度なストレージ管理ソフトウェアを含むハイパーCIプラットフォームを提供している。IBMの「PureFlex System」「PureData System」、米Dellの「PowerEdge FX2」、HPの「Converged Infrastructure」といった製品ではいずれも、CIシステムに含まれるDAS(Direct Attached Storage)と、外部の既存アレイや、拡張のために調達された新しいアレイを統合するアプローチが取られている。
一方、サーバ側ストレージとしてフラッシュメモリを、PCIeなどの高速インタフェースで接続する動きも進んでいる。またIBMは、ストレージを高速化できるインターコネクト技術を自社システム用に開発済みだ。このCAPI(Coherence Attach Processor Interface)コネクタはプロプライエタリ的だが、このコネクタによってストレージが他のベンダーのシステムとも高度な相互運用性を持つかどうかは、IBMにかかっている。いずれにしても、コンバージドシステムは、リソースをプールして共有可能にしなければならない。そのためには、従来よりもはるかに高度なツールが必要になる。
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