BYODユーザーをどう管理するか
「社員の7割は私物スマホで会社データにアクセス」という現実の受け止め方
モバイルデバイスから会社のデータにアクセスできるようにすることは、生産性を高められる方法の1つだ。だが、多くの場合、IT部門はそのメリットとセキュリティリスクを天秤に掛けなければならない。
BYOD(私物端末の業務利用)ポリシーに参加している従業員は、私物端末でも会社支給のPCと同じように会社のデータにアクセスできることを求めている。IT部門は、BYODユーザーのためにアクセスのしやすさとセキュリティを両立する計画的なアプローチを用意する必要がある。
米調査会社IDCが実施した調査によると、BYODポリシー下で従業員が所有するモバイルデバイスから会社のデータにアクセスすることを許可しているIT意思決定者は40%程度だという。一方、アクセス禁止の指示を受けながらも私物端末で会社のデータにアクセスしている従業員は70%にも上ることが明らかになっている。
つまり、BYODユーザーは、セキュリティが確保されていない場所に業務データをメールで送信したり、クラウドベースのストレージにコンテンツを保存するなどして、セキュリティの制限をかいくぐっている。IT部門がセキュリティを維持する必要性は否定的な見方をされがちだ。その結果、従業員はBYODポリシーと技術的な制約を回避できる抜け道を探している。
IT部門がそのような状況を防ぎ、会社が所有する機密データの管理に役立てられる主な対策は2つある。1つは機密データへのアクセスを管理すること。もう1つはモバイルデバイスを管理することだ。
モバイルコンテンツ管理によるデータアクセスの制御
モバイルコンテンツ管理(MCM)は、生産性とアクセスしやすさのニーズを満たしながら、コンテンツがある場所に関係なく、コンテンツのセキュリティを確保できなければならない。会社のデータとシステムに、いつでもどこからでも簡単にアクセスできれば、情報を探すために時間を取られる場合よりも従業員の満足度は高くなる。突き詰めると、顧客満足度も高くなる。
より迅速かつ信頼できる顧客の反応は、潜在的な生産性の上昇を示す一例だ。例えば、リモートアクセスに対応したエンタープライズファイル共有システムを使用すると、BYODユーザーは暗号化トンネルを経由して安全にコンテンツにアクセスできるようになる。業界で発展したツールなら、管理者はマルチテナント環境でコンテンツアクセスを管理することができる。その一例は、米Microsoftの「Active Directory」だ。
従業員がアクセスを求めるのは共有になっている会社のドキュメントだけではない。自分の仕事用の資料にもアクセスできることを望んでいる。そのため、どちらも保存できるモバイルコンテンツソリューションが必要になる。多数の企業はMicrosoftの「Microsoft SharePoint」のような製品を導入している。また、このオンプレミスのインフラに多額の投資を行っている企業も少なくない。SharePointのようなツールは、企業が承認したコンテンツリポジトリとして引き続き使用可能で、管理者はActive Directoryを使用すると、アクセスを制御して管理できるようになる。
米Accellion、米Box、米Dropbox、米EMC、米IBMなどのサービスプロバイダーの他にも、米BigTinCan、米Citrix Systems、米ShareFile、英Byte Squaredといったエンタープライズクラスの製品を提供しているプロバイダーが存在する。これらのプロバイダーの製品を使用した場合も、機密データを暗号化して、機密データの使用を管理することは可能だ。
堅牢なコラボレーションツールは、どこからでもモバイルデバイスでドキュメントを閲覧できるだけではなく、どのデバイスでもリモート編集できるようにしなければならない。編集機能とコメント機能がないモバイルデバイスによるファイル共有方法は、制限的だと見なされる。その結果、BYODユーザーは、ファイルの編集やコメント追加を行うために、セキュリティが確保されていない方法に手を伸ばす恐れがある。
会社のデータに自由にアクセスしてドキュメントを作成/編集できることは、従業員が望む基本的な操作だ。デスクトップ/ノートPCとモバイルデバイス間のやりとりがシームレスになるほど、従業員の満足度も向上する可能性が高くなる。
当然のことだが、セキュリティと規制順守の面から、一部のコンテンツについては企業が完全な制御を持たざるを得ない。そのため、クラウドでデータを共有する可能性についても対処する必要がある。SaaS/DaaS製品の中には、セキュリティ制御を行うための管理しやすいインタフェースが用意されているものもある。
モバイルデバイス管理と関連アプローチ
企業のITリーダーは、単にBYODの可能性を開いて、会社のネットワークへの自由なアクセスを与えられないことを把握している。だが、増殖するモバイルデバイスを管理する最適な方法を特定するのは容易ではない。
モバイルポリシーを確実に成功に導くには、エンタープライズモビリティ管理(EMM)を実装するのがよいだろう。多くのプロバイダーから、次のようなポリシー、基準、制限を管理するためのツールが多数提供されている。
- モバイルデバイス管理(MDM):認可されたデバイスの種類とモバイルOSに対応するツール。また、企業のIT部門が設定した最低基準に満たないデバイス/アプリの登録をはじくこともできる。
- モバイルアプリケーション管理(MAM):MAMを使用すると、企業は自社で管理しているデバイスに対する認可/非認可アプリの一覧を作成できる。また、承認済みアプリのアクセスに必要な承認レベルなど、セキュリティパラメータを適用することも可能だ。
- モバイルコンテンツ管理(MCM)とモバイルメール管理(MEM):上述のように、MCMとMEMは、会社のネットワークからアクセスできるコンテンツの種類とモバイルデバイスで保存および使用可能なコンテンツの種類を定義する。企業は個人データや機密データで必要なレベルの暗号化を指定することもできる。
強力なEMMプロバイダーを探しているなら、まず米Gartnerの「マジッククアドラント」を参照されたい。特に2014年のマジッククアドラントで「Leaders」に分類されたサービスプロバイダーは、広範囲に及ぶモバイル管理とセキュリティ機能を提供している。また、モバイルデバイス、アプリ、OSの急速な変化への対応に関して素晴らしい実績を持っている。
企業のモバイル化は、従業員の生産性と満足度を向上する道を切り開く。だが、現実問題としてリスクは存在し、無視することはできない。適切なテクノロジーを使用し、ガバナンスを行うことが、認可アプリの活用不足解消とセキュリティの脆弱性軽減につながる。
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