NACを統合した「BYOD統合管理製品」が登場
MDM、MAMでは足りない、BYOD対策「最後の1ピース」
安全なBYODを実現する上で、モバイル端末管理やモバイルアプリ管理だけで十分なのだろうか。こうした中、ネットワーク管理機能を盛り込んだ統合管理製品が登場し始めた。
無線LANには、ネットワークリソースを必要とするさまざまなユーザーや端末、アプリケーションが接続するようになった。
新たなユーザーやアプリケーション、端末に対処しようと苦慮しているネットワーク管理者が、ネットワークアクセス制御(NAC)やモバイル端末管理(MDM)、モバイルアプリケーション管理(MAM)ツールに頼る1つの理由はそこにある。私物端末の業務利用(BYOD)では要素があまりに多いことから、IT部門にとってさらに統合的なアプローチが必要となる。
米Aruba Networksがこうした背景を踏まえて発表したのが「Aruba WorkSpace」だ。
Arubaの「ClearPass Access Management System(ClearPass)」のコンポーネントであるAruba WorkSpaceは、NACやMDM、MAM機能を統合した企業向けのワイヤレスネットワーク管理製品である。
BYOD管理:NAC、MDM、MAMの統合
ユーザーは私物端末と私物アプリケーションを使いたいと思っている。だがBYOD管理のために複数のツールを組み合わせることは、IT部門にとって負担が大きい。
Arubaのソリューションマーケティング担当ディレクターであるロバート・フェンスタマッチャー氏によると、Aruba WorkSpaceは、ネットワーク管理者がNACやMDM、MAMをBYOD管理用の統合プラットフォームとしてまとめることが可能になる。Aruba WorkSpaceは2013年夏に発売予定。
「われわれはまず、デバイス制御機能とオンボーディング機能(※)を加えた。現在はClearPassにMDMとMAMを組み込んで、アプリケーションと端末の管理をポリシーに加えられるようにしている」とフェンスタマッチャー氏は説明する。
※オンボーディング:従業員やデバイスを組織内部のID・アクセス管理システムに新たに加えること。
BYOD管理ツールでネットワークポリシーに基づく管理ができれば、IT部門による無線LANの管理を深化できるだけでなく、ネットワーク管理者がさまざまな機能を使えるようになる。例えば、業務用アプリケーションに高い優先度を割り当てたり、端末が特定の場所から出ると機密性の高いアプリケーションをロックするといった機能だ。
エンドユーザー向けのクライアントソフトウェアとして「Aruba WorkSpaceモバイルアプリ」を用意する。「このモバイルアプリは、端末とアプリケーションの状態をチェックして私物端末の使い勝手を管理するためのセルフサービスポータルとして機能する」(フェンスタマッチャー氏)
Aruba WorkSpaceのアプリケーション管理機能は、IT部門が1台の端末上で会社とユーザーの個人データとアプリケーションを切り離し、従業員のプライバシーを守りながら、会社の情報を管理して暗号化できるという。
ClearPassのユーザーで、米地域医療センター、Regional Medical Center at Memphis(MED)の技術サービスマネジャーを務めるキャメロン・パーカー氏は、Aruba WorkSpaceのβテストに参加し、アクセス制限やデバイスのリモートワイプといった機能拡張が実現できたと話す。
パーカー氏の部門は、医師や看護師、事務職員など2500~3000人の組織をサポートしている。「ユーザーは毎日のように新しい端末を持ち込んできて、その端末で無線LANへ接続してアプリケーションを利用したいといってくる。われわれは、より効率的なやり方でこうした機能を提供したいと思っていた」と同氏は語る。
「Aruba WorkSpaceによってモバイル端末管理の柔軟性が大幅に高まり、個人情報には触れないまま端末にある企業情報を消去したり、時間や場所に応じてアプリケーションへのアクセスを制限したりできるようになった」とパーカー氏は説明する。「例えば、勤務時間が午前8時から午後5時の従業員であれば、勤務しているはずの時間帯しかアプリケーションにアクセスできないようにすることができる」
端末/アプリケーション管理ポリシーをユーザーの端末に行き渡らせることができる機能は、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountably Act:米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)の規定を順守する上で特に役立っているという。「端末が組織の外へ持ち出されたり盗まれたりすれば、重大な違反になりかねない。だが患者の情報や機密扱いの情報のみを消去することができるので、その端末が回収されれば、ユーザーは自分のデータを全て失わずに済む」(パーカー氏)
無線LANの管理
MDMやMAMは多数のベンダーが提供しているが、無線LANインフラを直接管理する機能を備える製品は少ない。現時点でNACとMDM、MAMを1つの無線LAN管理製品に統合しているベンダーはArubaのみかもしれないと、米Gartnerの調査担当副社長、ポール・デビーシ氏は語る。
「こうした機能は、かつて完全に別々のベンダーから提供されており、これらベンダーはハードウェアの管理は手掛けていなかった。無線LAN製品のベンダーであるArubaの管理製品は、アプリケーションと端末を管理できるだけでなく、ネットワークの管理もできる」と同氏は話す。
企業はBYOD管理の簡素化を望んでいるが、これまでは完成された統合ソリューションが存在しなかったと同氏は指摘。「IT管理者は、モバイル管理ツールやネットワークアクセス管理ツール、同期サービスを自ら調達し、インテグレーターの役割を果たさなければならなかった。ベンダー各社は、インテグレーションを通じてBYOD管理のプロセスを簡素化しようとしていた」と解説する。
ベンダー各社が企業向け無線LAN管理機能の獲得と統合に目を向ける中で、より総合的なBYOD管理製品の提供を目指す傾向は、今後も拡大する見通しだ。
デビーシ氏は「端末やアプリケーション、無線LANのインフラ管理ツールは、全てIT部門が必要とするものであり、今後2~3年で統合されていくだろう」と予想している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
事例
三菱ケミカルが脆弱性への迅速な対応フローを実現した方法とは? -
技術文書・技術解説
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ -
事例
大阪市の未来を創る「行政DX」の本質と、その取り組みを支える統合基盤の実力 -
事例
【行政DX先進事例】横浜市が「市民に大切な時間を返す」を実現できた理由とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
「データ集約」はリスクだらけ? 分散型データセンターが“必然”になる理由
-
4
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
-
7
Claudeが耐量子暗号を攻略 迫られる暗号移行計画の見直し
-
8
管理職542人に聞いた AIやデジタル化でなくしたい主な事務作業第1位は?
-
9
弁当の玉子屋がSalesforceを導入 属人化した営業管理から脱却する
-
10
AIで成果を出すエンジニアを育成 サイバーエージェントが実践する文化醸成術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
4
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
5
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
6
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
7
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
8
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
9
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー