コストが削減できると思ってBYOD制度を導入したものの、削減できる額はごくわずかだったり、皆無であることも多い。BYODに掛かる隠れたコストとは。
私物端末の業務利用(BYOD)は、IT部門に多大な負担をもたらすという理由から反対も根強い。だが会社の財務上の負担の方はどうだろうか。
多くの企業は多額のコストを削減できると思ってBYOD制度を導入する。しかし削減できる額はごくわずかだったり、皆無であることも多い。BYODの費用対効果を向上させたり、あるいは少なくとも効果に見合うようにコストを低減する方法はある。だが、そのための技術は組織によって異なり、計画と分析、それに少々の運が必要だ。
以下のFAQを通じてBYODの隠れたコストを洗い出し、会社の財務の上で理にかなったBYODの導入を計画したい。
BYODによるコスト削減は保証されていない。携帯電話会社の多くは端末とデータ通信プランをセットにした特別料金を企業向けに提供しているが、従業員の私物端末とデータ通信プランに対して固定額を支給したり、経費で落とさせている場合、企業向け割引は利用できない。BYODを認めるのであれば、MDM(モバイルデバイス管理)ソフトウェアなど、セキュリティ対策とITコントロールを固めるためのツールも必要になるだろう。さらにインフラの変更が必要になる可能性も考慮すべきだ。帯域幅の消費が激しい端末の大量流入に、ネットワークが耐えられなくなることがあるからだ(参考記事:BYOD導入でスマートデバイスが企業の無線LAN帯域を圧迫)。
BYODでは総所有コストについて考えなければならない。BYODを認めている企業によると、BYODには社外と社内の2種類のコストが存在する。社外コストはデータ通信プランとローミング料金、ハードウェア、ソフトウェアの代金など。社内コストにはMDM、セキュリティソフトウェア、無線LANなどインフラのアップグレード、ヘルプデスクサポート、IT研修などのコストが含まれる。BYODを認めているか否かには関係なく、社外コストの管理を従業員に任せている企業でも、BYODの社内コストには対応しなければならない。
この問いに対する答えはそれぞれの企業によって異なるが、まずはしっかりした計画を立て、BYOD適用の適切な範囲を選ぶところから始まる。例えば、米Citrix Systemsは、従業員用のノートPC購入に掛かるコストを試算し、従業員が自前で買うための補助金を支給することにした。この制度によってCitrixは総所有コストを約15%削減できたが、他のIT経費は削減できていない。同社は、BYOD導入の真のメリットは、従業員の満足度を向上させ、生産性を高めることにあるという。
BYODを全社的ではなく、限定的に導入する方法もある。例えば、出張の多い従業員など、会社が適格と認めた従業員のみが制度を利用できるようにする。さらに、サポート対象の端末とプラットフォームを制限する。カタログを支給し、その中から端末を選ばせ、その端末のどの機能を会社がサポートするのかを明記する。IT部門が扱いやすい端末を「推奨」端末に指定し、インセンティブとして補助金を支給してもいい。限定的な制度にするかどうかを問わず、BYODポリシーの頻繁な更新が重要なことは肝に銘じておきたい。
主に問題となるのは、端末の代金を誰が負担するか(ITがサポート対象とする端末にもよるかもしれない)、そして月額利用料などその他のコストをどう分割するかの2点だ。BYODのコスト分割方針は各組織によってまちまちだが、守るべき一般的なガイドラインはある。
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