BYODがベンダー統合やMDMの進化を促す
MDMで私用/業務データの分離も可能に、「BYOD」支援製品の最新動向
セキュリティ企業の多くは、買収やソフトウェア開発を通じて私物端末の業務利用(BYOD)に適した製品の拡充を急ぐ。MDMの機能もBYODを見据えて進化を続ける。最新動向を追った。
ヨーロッパでは、企業のほぼ4社に1社が、私物端末から会社のデータへのアクセスに伴うセキュリティ問題を経験していることが、米Juniper Networksの調査で分かった。
Juniperは、モバイル端末のユーザーとIT管理職約4000人を対象に、米国、英国、ドイツ、中国、日本で調査を実施。その結果をまとめた報告書「Trusted Mobility Index(リンク先はPDFファイル)」をこのほど発表した。
組織のモバイルセキュリティ対策にはこれまでのところ、ネットワークアクセスコントロール(NAC)やモバイルデバイス管理(MDM)製品が使われている。一方、Juniperの報告書によると、モバイル端末を標的とするマルウェアが2011年中に2010年比155%も増加する中、セキュリティベンダーは競って新しいモバイルデバイスセキュリティ製品を市場に投入している。
モバイルセキュリティツールのコンバージェンス
カナダのQuocircaでセキュリティアナリストを務めるボブ・タージー氏はこう話す。「私物端末の業務利用(BYOD)には、企業が受け入れるか否かを選択するというよりは、受け入れざるを得ないチャンスとリスクがある」
さらに同氏はこう続ける。「従来型のエンドポイントセキュリティ企業の多くは(BYODに)適した製品を持っていない。そこでBYOD製品の充実に向けて買収やソフトウェア開発を進めている」
例えばNACを手掛けるForeScout TechnologiesとクラウドベースのMDM/セキュリティサービスを手掛けるFiberlink Communicationsは最近提携し、MDMとNACの統合製品を発表した。2012年4月には、BYODに注目するデスクトップ仮想化企業AppSenseが、MDM製品の開発を手掛けるRAPsphereの買収を発表した。
タージー氏によると、こうした製品の機能はBYODセキュリティ対策の中心となる以下4つの課題に基づいて構成されていることが多い。
- ネットワークアクセスコントロール
- 重要データの保護(企業ではDLPやエンドポイント暗号化などの技術が使われてきた)
- マルウェア対策(システムを端末から切り離すか、端末自体にマルウェア対策を施す方法による)
- マルウェア対策などの製品価格に加え、従業員の携帯電話料金の負担も含めたコスト
「MDMにおいてもコストの問題は大きく、各社もこれに対応し始めている。ForescoutがFiberlinkと組んだのは、端末を管理してセキュリティを確保するだけでなく、契約条件と料金を管理する狙いもある」とタージー氏は指摘する。
「Good Technology、MobileIron、Fiberlinkなどのベンダーが主導するMDM業界は極めて堅調だ。一方でクライアントPCやドングルもモバイル端末であり、それらのセキュリティ対策には別のツールが必要になる。従ってインテグレーションは理にかなっており、コンバージェンスは今後も続くだろう」と同氏は話す。
MDM:コンテナベースのアプローチ
調査会社GartnerがこのほどリストアップしたMDMベンダーは100社を超え、MDM市場に健全な競争があることを裏付けた。向こう3年以内にさらに成熟した管理型サービスが登場し、業界の成長を促すと同社は予想する。
Gartnerの調査ディレクターであるテレンス・コスグローブ氏は、発表資料で次のように述べている。「組織は重量的(コンテナベース)アプローチと軽量的(ポリシーベース)アプローチのいずれが自社に適しているかの判断を迫られる。その判断には、端末の所有権(端末の持ち主はユーザーか組織か)やセキュリティ、コンプライアンス、アプリケーション配信、端末の使用感といったさまざまな要因が絡む」
ポリシーベースのアプローチでは、モバイル端末のアクセスポリシー設定によって会社のデータへのアクセスを管理する。一方、コンテナベースのアプローチでは、モバイル端末のネイティブ環境で動作するアプリケーションと会社のデータとを切り離す。端末で会社のデータと個人のデータを分離するためにコンテナが使われることもある(コンテナについては「米医療機関が進めるiPadなどのモバイル端末管理の効率化」も参照)。
英人材紹介会社SThreeのIT管理者ギャリー・レングソーン氏は、同社のモバイルセキュリティ対策としてコンテナベースのアプローチを採用。2011年からGood Technologyの「Good for Enterprise」を使い始めた。
レングソーン氏は「Good for Enterpriseのコンテナ内部で動作するWebブラウザと電子メールを使えば、出先の担当者がモバイル端末からWebブラウザを通じて社内のイントラネットにある情報にアクセスできる」と説明する。
私物端末をまとめて管理したくはなかったと同氏は言う。「MDMを使ってこうした端末を消去できる可能性はあったが、私物端末から会社のデータを消去するというグレーゾーンに踏み込むことには不安があった」
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