SSDは「速い」だけじゃない
ユーザーが分かっていない“ストレージ界のフェラーリ”SSDを使う本当の意味
SSDはパフォーマンスを改善し、IT環境全体のコストを削減する。米調査会社Enterprise Strategy Groupのストレージアナリストがソリッドステートストレージ技術の真骨頂を解説する。
どこを見ても、ソリッドステートは速さを強調する例えばかりだ。まさに「ITエコシステムのターボブースター」であり「ソリッドステートストレージはストレージ界のフェラーリ」なのである。回転メディアを大きく上回るパフォーマンスを実現し、結果としてアプリケーションのレスポンスを高め、レイテンシを改善している点では、その通りである。ただし、何でもそうだが、一点を強調し過ぎると全体像を見失いがちだ。レイテンシの改善はソリッドステートのメリットの1つにすぎず、それを強調し過ぎると、その向こうにある大きな収穫を遠ざけることになりかねない。
では、なぜそれほど多くの人々が全体像を見失っているのか。ざっと見ただけでは、高速であることこそ、この技術の利点であるように見える。ITリーダーたちと話をしても、彼らがソリッドステート技術を求めていることはよく耳にする。しかし、それはGバイト当たりの単価が安くなっているからでもある。それはいい。だが、ストレージパフォーマンスはこれまで、そのような考え方で購入されることはなかった。ここ数年は“ショートストローキング”(容量を犠牲にし、円盤の外周のみを使うことでパフォーマンス向上を図るテクニック)が大流行した。HDDにとって価格容量比は意味のないものになっていたのだ。なのに今日、高速処理ソリューションの比較にそれらの数字を用いるのはなぜか? それが簡単だからである。だが、新しく登場したソリッドステートストレージ技術を評価するのに、やはり価格容量比は適切な物差しとはいえない。またそれが、ソリッドステートの破壊的なパワーを多くの人々が見過ごす原因になっている。
ソリッドステートストレージ技術の利点
ITプロフェショナルたちはしばしば、「ソリッドステートは高速だが、現行のストレージパフォーマンスで不足はない」と話す。ストレージ管理者は通常、ストレージをアプリケーションが必要とするサイズに適合させるため、当然、そういう反応になる。
それがストレージパフォーマンスに焦点を絞ることを難しくしている。企業の中には、ソリッドステート技術がストレージボトルネックを解消することによって、エコシステム全体のパフォーマンスが向上し、IT環境全般のコスト削減につながることを認識していないところもある。以下は、ソリッドステートストレージ技術がストレージシステム以外にもたらすメリットの一部だ。
サーバ数の削減
ストレージボトルネックを解消することでサーバの利用効率が高まり、各システムおよびプロセッシングコアから、より多くの処理能力を引き出すことが可能になる。その結果、同じ作業量でもシステム数を削減できるようになる。
アプリケーションライセンス数の削減
多くのアプリケーションの価格はプロセッシングコアの数によって決定されるため、サーバコアの数が少ないほど、アプリケーションのコストは下がる。ライセンスはIT予算の大きな部分を占める。アプリケーションライセンス数の削減で浮いた予算でソリッドステートストレージのコストを賄うことができたとする会社は少なくない。
サポートや保証費用の削減
サーバとアプリケーションが少なくなれば、ライセンスと保証に掛かるコストも当然縮小する。管理するコンポーネントが少なくなれば、サポートコストが下がり、インフラ全体のリスクも低減できる。
ネットワークインフラ費用の削減
膨大なIOPS(1秒間当たりのI/O数)を持つ100Tバイト以上の容量を1U(横幅44.45mm)のフォームファクタで提供するソリッドステートストレージ技術事業者も何社か存在する。そのレベルのストレージ効率ともなると、新たに興味深い可能性が生まれてくる。もはや先進的なハイパフォーマンスワークロードを、鉄筋コンクリートのデータセンターにつなぎ止めておく必要はなくなるのだ。例えば、石油・天然ガス探索のための地震分析は、そこが海洋のど真ん中であっても、オンサイトで行えるようになるだろう。このような自由度は、データ分析を迅速化するとともに、オンサイトとのデータのやりとりに関わる通信インフラのコスト削減に直結し、投資対効果(ROI)を大きく改善する。
付加価値の高い分野へマンパワーを集中
ストレージやサーバのハードウェア、アプリケーションライセンス、保証、保守契約などは、全て管理が必要だ。ITスタッフはデータセンター内でも最も価値の高い人々である。データ利用の効率化を目指す企業は、IT部門の人材を保守作業から解放し、付加価値サービスへ振り向けることで、さらにROIを加速することが可能になる。
ストレージシステムに話を戻すが、レイテンシの改善は、伝統的なITアプリケーションの需要予測の精度を高めることほど重要ではないかもしれない。だが、アプリケーション需要が変動したり、企業が既存のインフラにより多くのワークロードを追加したりしたとき、ソリッドステートが提供するエキストラパフォーマンスの余裕は(特にシステムがサービス品質機能を提供する場合)、アプリケーション需要が増大しても既存のアプリケーションパフォーマンスに影響を及ぼさないことを保証してくれるだろう。
重要な点は、ソリッドステートストレージ技術がもたらすパフォーマンスは、必ずしもストレージシステムに限定されないことだ。ソリッドステートストレージへの投資の前提として、ROIが改善されることを待っていたのなら、いま一度自分の計算を確認してみよう。その値は、既に導き出されているはずだ。
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