oricon MEでは100万件超のデータを分析
3社の事例から考えるマーケティング基盤構築、製品選定の理由とは
マーケティング活動を強化する取り組みの一環として、データ分析製品を導入する企業が相次いでいる。本稿では直近で明らかにされた3社の導入事例を紹介する。マーケティング基盤を構築する際の参考にしてほしい。
印刷物を受け取る消費者の特性やニーズを分析
商業印刷事業を展開するタナカは2014年8月、マーケティングインテリジェンスソリューション「exQuick」(イクスクイック)を導入した。システム導入を支援したブレインパッドとコダックが2015年3月23日に発表した。
タナカは、北関東を中心にダイレクトメールなどの商業印刷やデータ処理サービスを提供する印刷会社。近年では、低コストかつレスポンス率の高い印刷物の製作や付加価値の高いサービスを求める顧客のニーズに応えるため、コダックのデジタル印刷システムを導入し、「バリアブル印刷」や「One to One ダイレクトメール」などのデジタル印刷サービスへとビジネスを拡大してきた。
競合他社とのさらなる差別化を図るため、企業からの印刷業務の受託のみだけでなく、印刷物を受け取る消費者の特性やニーズを分析し、その結果に基づく適切なターゲティングを行い、レスポンス率を高める必要性を感じていたという。その課題を解決するため、同社では、データの統合的な管理と集計・分析、キャンペーンの管理、ターゲティングの各機能を備えたシステムをexQuickで構築した。コダックのデジタル印刷システムとの親和性の高さも選定理由の1つとなった。
exQuickは、業務部門の担当者が直感的な操作で集計・分析、データ抽出、リポート作成までを行えるソリューション。マーケティング施策の実行に必要な顧客リストの抽出、効果測定に必要なリポートの作成などの一連の業務の効率化を図ることができるとしている。ドクターシーラボ、セシール、SMBC日興証券をはじめ、小売・通販企業、証券会社、メディアなどの幅広い企業で導入実績がある。
100万件超のランキングデータを集計・分析
顧客満足度ランキングサイト「オリコン日本顧客満足度ランキング」を運営するoricon MEは、BIツール「QlikView」を導入することで、ランキングの作成に関わるデータの集計および分析業務の効率化と迅速化を実現した。クリックテック・ジャパンとソフトバンク・テクノロジーが2015年3月31日に発表した。
オリコン日本顧客満足度ランキングでは、9部門53ジャンルにわたり企業の製品やサービスに関する顧客満足度を調査し、総合ランキングや年代別・地域別など調査結果を細分化した項目別ランキングを提供している。ランキングを作成する過程では、100万件超のデータを集計・分析するため、これまで多大な労力と時間を費やしていたという。
oricon MEは、2014年3月からデータ集計システムの導入を検討し始めた。QlikViewの選定理由としては、複数の製品サービスを比較した結果、コストや開発の容易さ、短期間で導入可能なことが決め手となったとしている。ソフトバンク・テクノロジーは、リサーチ業界に精通したIT担当者を擁しており、開発力と製品理解や対応の早さなどのサポート体制も評価された。アジャイル型で構築を行ったことにより、約1カ月でシステムを導入した。oricon MEでは今後、別事業や管理部門などにQlikViewの利用を広げていく予定である。
QlikViewについては、ジェイアイエヌ、東芝 セミコンダクター&ストレージ社、セガなども導入・活用を進めている。
マーケティングオートメーションの仕組みを構築
信販会社のジャックスは、マーケティングの高度化と収益拡大、顧客ロイヤルティーの向上を目指し、統合マーケティング基盤「SAS Marketing Automation」を導入した。SAS Institute Japanが2015年4月7日に発表した。
640万人以上のカード会員を擁するジャックスは、カード事業、クレジット事業、ファイナンス事業、ペイメント事業を中核に、近年ではプリペイドカードをはじめとした新規事業やベトナムやインドネシアなどの海外展開も積極的に行っている。2015年度には新中期経営計画をスタートし、その中核的な施策として、マーケティング強化の取り組みに注力している。具体的には、提携カードやカードローンの新規入会者ごとの初回利用促進のオファーなど、幅広いプロモーション活動を自動化するマーケティングオートメーションの仕組み作りだ。
SAS Marketing Automationは、顧客分析に基づいた顧客理解、ターゲット選定、多種多様なキャンペーンの設計・実行・管理、効果検証を支援するソリューション。継続的なPDCAサイクルを回していくことでマーケティングROIの向上が期待される。メールやコールセンターなど、既存システムと連係してキャンペーンを自動実行することもできる。
ジャックスでは、データウェアハウス(DWH)の作業時間の短縮やプロモーション品質の向上を目的として、2013年3月に「SAS Enterprise Guide」「SAS Enterprise Miner」を導入している。従来は丸1日を要していた作業が1時間で完了するなど、データ抽出の高速化と迅速な結果検証を可能にした。SAS Marketing Automationは、これらの分析基盤と連係する。
なお、同じく信販会社のオリエントコーポレーションは、クレジットキャンペーン業務の改善と与信精度の向上を目的としたシステム更改にSAS Marketing Automationを活用し、業務負担の改善につなげている。
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