もうストレージを単なるデータ置き場とは呼ばせない
「フラッシュ技術」で大きく変わるストレージ、データ分析にも踏み出す
今後のストレージは単なるデータ置き場ではない。フラッシュストレージ技術と仮想化などにより、高度なデータ処理を同時に行うことができるようになる。
率直に言って、現在のストレージは能がない。大抵は単なるデータ置き場だ。作成するデータが増えたら、私たちはストレージを買い足してまたそこに詰め込んでいく。だが、下記のようなことがストレージアレイの内部で起こっていても、私たちはわからない。
- 任意の時点で誰がどのストレージを使っているか
- どのアプリケーションがストレージを大量に消費しているか
- どのアプリケーションが不正にストレージにアクセスしているか
- 誰によってどの機密情報がどれだけ保存され、移動され、アクセスされているか
「誇張では?」と言われればもちろんそうだが、多少誇張しただけにすぎない。全体としてはこれらの文は正しい。
今、ストレージアレイから必要な情報を引き出せるかといえば、もちろんできる。だが、有意義な情報を手に入れるには、さまざまなベンダーから提供される多くのツールを使い、大量の作業を行わなければならない。この仕事は非常に面倒なため、法律で義務付けられている場合を除けば、ほとんどのユーザーは手を出さない。コンプライアンスやガバナンスなどのために義務付けられている場合に限り、外部のツールを使い、多大な時間と費用をかけて、適切な情報が引き出される。
しかし、以下のことが実現したらどうなるだろうか。
- 全てのデータが作成時にカタログ化され、インデックスが作成される
- アナリティクス(分析)機能がストレージに組み込まれ、リアルタイムで動作する
- データ保護がストレージの基本要素になる
- 検索と発見がアレイの不可欠な要素になる
このようにストレージが、高度なデータ処理を実現するデータアウェアネス機能を備えれば、データの管理、保護、利用の在り方が根本的に変わるだろう。
データアウェア型ストレージとは
今では、こうしたデータアウェアネス機能を持つ「データアウェア型ストレージ」の開発が可能になっている。なぜなら、フラッシュストレージ技術と仮想化、および余ったCPU処理が利用できるからだ。従来であれば、データアウェアネス機能が行われた場合、プライマリストレージはパフォーマンスが低下し、用をなさなくなっていただろう。だが現在では、パフォーマンスやサービス品質(QoS)に影響を与えることなく、こうした高度なデータ処理の多くをストレージに組み込んで利用できる。
データアウェア型ストレージを適切に導入すれば、コンプライアンス違反のリスクが軽減され、ガバナンス向上を期待できる。データアウェア型ストレージは、現在手動で処理しているストレージ管理プロセスの多くを自動化できる可能性がある。さらに、ストレージの活用状況に関する洞察を提供したり、コンプライアンス、容量、パフォーマンス、SLA(Service Level Agreement)の問題を、未然に特定したりすることもできる。
データアウェア型ストレージは、以下の重要な特性の全てではなくても、ほとんどを備えていなければならない。
高いデータアウェアネス
ストレージシステムは、デバイスに保存されたデータの内容や属性について、従来と比べて多くの情報を保存し、理解しなければならない。これは、QoS、ファイル属性、アプリケーション認識型の指標などに関するメタデータの充実という形で実現される可能性がある。また、リアルタイムのデータスキャンにより、セキュリティ対策や規制順守を目的としてドキュメントの文脈やキーワードの調査が行われ、それを通じて実現される可能性もある。
リアルタイムアナリティクス
こうしたストレージシステムが充実したメタデータを収集しても、それらから有用な情報をリアルタイムに引き出せなければ不十分だ。ストレージシステムは、高度なアナリティクスデータを瞬時に更新し、管理者やポリシーエンジンが問題の発生前に対策できるようにする必要がある。それが実現されれば、例えば、あるアプリケーションによってストレージのIOPS(1秒当たりI/O数)が瞬間的に急増した場合でも直ちに検出しIOPSを減らしたり、重要なアプリケーションに対してQoSを割り当てることなどが可能になる。
高度なデータサービス
ストレージシステムは、保存されつつあるデータに関する高度なアナリティクスの結果を報告するだけでなく、高いデータアウェアネス機能を基に、ビジネス成果の向上につながる付加的なデータサービスも提供しなければならない。こうしたデータサービスの例として、休眠データのアーカイブや、さまざまなアプリケーションワークロード間でのQoSのバランス確保などがある。
オープンでアクセスしやすいAPI
ストレージシステムは、高度なデータアウェアネス機能を利用するためのオープンAPIを提供しなければならない。米Amazon Web Servicesの「Amazon S3」のデータプロトコルが業界標準になったように、人気のある高度機能にアクセスするためのAPIは、おのずと業界標準になるだろう。
データアウェア型ストレージシステムを現在販売しているベンダーの例として、
- 米Data Gravity
- 米Qumulo
- 米Tarmin
が挙げられる。これらのベンダーのストレージシステムは、以上の基準の多くを満たしている。各社はユニークなアプローチでデータアウェアネス機能をビジネス課題の解決に応用するとともに、データアナリティクスによってビジネス価値を創出している。
| Data Gravity | 中堅企業市場を中心に顧客の広範な課題を解決しようとしている |
|---|---|
| Qumulo | 数十億のファイルに対応できるスケーラビリティに重点を置いている。また、ペタバイト規模のデータを持つ大手メディア企業の課題解決にフォーカスしている。 |
| Tarmin | 「Microsoft Exchange」環境におけるコンプライアンスとアーカイブの支援に特化したデータアウェア型ストレージシステムを手掛けるなど、特定のアプリケーション向けのユニークな機能に力を入れている。 |
筆者としては、各社がデータアウェアネス機能を拡充して製品を進化させ、顧客のユニークな要求に対応していくことを心から期待している。
ストレージは、もう単なるデータ置き場から脱却する時期に来ている。ストレージを高機能化するための技術も入手しやすくなっている。Data Gravity、Qumulo、Tarminの例から分かるように、データアウェア型ストレージは実現可能なだけでなく、既に顧客にメリットを提供している。その中には
- 管理コストの低減
- ビジネスインサイトの向上
- リスクの軽減
が含まれる。データアウェア型ストレージはまだ開発の初期段階にあるが、筆者は、この技術は重要であり、検討に値すると考えている。
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