ストレージだけの問題ではない
仮想デスクトップ構築に失敗する5つの理由(1/2 ページ)
仮想デスクトップインフラ(VDI)の普及が進んでいるが、ストレージが原因でVDIプロジェクトが失敗に終わることもある。代表的な5つのパターンとその解決策を紹介する。
VDIの管理を改善するストレージのヒント
米ニューヨークで2014年11月に開催された「Storage Decisions」カンファレンスにて基調講演を行ったブライアン・マッデン氏は、ストレージ管理者は仮想デスクトップインフラ(VDI)に関して大きく成長してきたと語る。だが、今でも意識しておくべき大きな落とし穴があるという。スムーズな動作に十分なIOPS(1秒当たりのI/O数)が欠かせないのは周知のことだが、VDIの専門家であるマッデン氏は、注意すべき部分を把握していないと、ストレージが原因でVDIプロジェクトが失敗に終わるパターンを幾つか紹介した。
本稿では、ストレージがVDIの管理を複雑にしている最も一般的な5つのパターンを示し、事前に改善する方法を紹介したい。
併せて読みたいお薦め記事
VDIとストレージの関係とは?
VDIと併用可能なマイクロサーバについて
VDIに最適なSSD
パターン1:特殊なニーズを持つ仮想デスクトップテクノロジー
デスクトップPCのストレージワークロードは、サーバのそれと大きく異なる。これを認識していないことがVDIに関する大きな間違いの1つだ。技術的な観点では、VDIは標準のサーバよりも、読み取りと書き込みのバランスがかなり優れている。サーバのワークロードは、読み取り処理を高速に行えるように調整されていることがほとんどである。一方、仮想デスクトップテクノロジーは、読み取りと書き込みの両方で適切なパフォーマンスを発揮するように調整されていることが多い。読み取りに重きを置いた通常のデータセンターストレージをVDIに使うと、期待した通りに動作するとは限らないとマッデン氏はいう。
遅延はどのプロジェクトでも重要な課題だが、デスクトップPC環境では特殊な問題をもたらす。バックエンドサーバで遅延が発生してもユーザーがそれに気付くことはない。だが、スタートメニューをクリックしたり、米Microsoftの「Word」文書を開いたときに、期待するものがすぐに表示されない場合は、ヘルプデスクへの問い合わせが行われる。
仮想デスクトップテクノロジーに最も固有な要件は、予測不可能なユーザーを考慮することだ。サーバのストレージについて計画を立てれば、繁忙期の対策を講じることはできる。だが、ユーザーの行動は予想できないとマッデン氏は指摘する。例えば、デスクトップPCのユーザーは、たった数分の間に、Wordの文書を作成して、メールを開いたり、メールに記載されたリンクをクリックして動画を視聴したりする。ストレージは急速に変化するワークロードに対応できなければならない。
「VDI用に構築するストレージでは、赴くままに行動するユーザーに対処できる柔軟性とユーザーに快適な操作性を提供する必要があることを理解しなければならない」(マッデン氏)
パターン2:VDIの“ハードウェアベンダー”に比重を置きすぎる危険性
VDIのハードウェアとソフトウェアに関する議論では、ストレージの専門家の間で意見が分かれることがある。だが、マッデン氏は、そこばかりに目を向けてもあまり意味がないと語る。
ストレージがハードウェアとソフトウェアのどちらに重点を置いているかについて、あまり気に掛ける必要はない。基本的にスタックは、HDDやSSD(ソリッドステートドライブ)、プロセッサーなどのコモディティな部分だ。パフォーマンスや管理といった価値はソフトウェアから生まれる。重要なストレージをソフトウェアベンダーに任せることを渋ると、選択肢は狭まり、本来ならプロジェクトに恩恵をもたらすストレージベンダーを遠ざけることになる。
「私たちが購入するのは容器ではなく中身である。自社のストレージベンダーがソフトウェアベンダーであっても悩むことはない。なぜなら、どのストレージベンダーもソフトウェアベンダーだからだ」(マッデン氏)
パターン3:HP Moonshotなどのマイクロサーバについての考察
米Hewlett-Packard(HP)が最近発表した「HP Moonshot」製品ラインは、物理コンピューティングのカートリッジで、最近のブレードサーバのようなものである。VDIと併用すると、ユーザーとカートリッジの比率を1対1にすることが可能だ。各ユーザーには専用の物理CPUとHDDが提供される。
HP MoonshotなどのマイクロサーバはVDIに似ているが、仮想マシン(VM)と実際に接続することはない。その代わりに物理PCと接続するが、仮想化にありがちで面倒なキャパシティープランニングは不要だ。自分のカートリッジのIOPSストレージは計算しなくても、既に用意されている。
ここ10年ほどの間に仮想化が大きなテクノロジーへと成長したことで、VMには多くの関心が向けられるようになった。だが、ホスト型のブレードサーバも同じ目的を問題なく果たすとマッデン氏はいう。
「VDIは、デスクトップPCをデスクから撤去して、データセンターに移動するというものだ。デスクトップが仮想マシンである必要はどこにもない」(マッデン氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
“攻撃者優位”なサイバーセキュリティ、全ての「穴」をふさぐ方法とは? -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
製品資料
HubSpotの機能を拡張する法人データ活用法 -
製品資料
面倒で非生産的な「名寄せ」作業 高精度&高効率に実施するには? -
製品資料
名刺管理には「その先」がある 成果のでない営業活動から脱却する秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
2
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
5
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
6
アラート47%削減 オープンハウスが捨てた「全部メール通知」の監視体制
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
Microsoft公式の実務試験が「ずっと無料」? 部下のスキルを0円で証明する方法
-
9
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
10
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
財務・会計はAI活用でどう変わる? 調査で見えた変革の道筋
-
3
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
9
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
-
10
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー