失敗しない「学校IT製品」の選び方:セキュリティ編【後編】
学校が今、最低限すべき「情報セキュリティ対策」はこれだ(3/3 ページ)
弊害を認識すれば一定の効果があるURLフィルタリング
セキュリティ編前編「“目隠し型セキュリティ”は子どもをダメにする」でも取り上げた「URLフィルタリング」についてここで述べておく。
前編では、URLフィルタリングによるWebサイトの閲覧禁止や閲覧制限を学習者に課し、「有害なものは世の中にはない」かのように仕立てることを「目隠し型セキュリティ」と指摘。大きなリスクを将来に先送りしているにすぎないと主張した。
私が前編で伝えたかったことは、URLフィルタリングそのものが悪だということでは毛頭ない。伝えたかったのは、URLフィルタリングを導入した事実のみをもって「対策済み」だと考えてしまうことの危険性である。
インターネットには、アクセスしただけでマルウェアに感染してしまう悪質なWebサイトも存在する。そもそも授業中に、正当な理由なくアダルトサイトや残虐な写真などへのアクセスを許すことは、授業の進行を妨げる原因にもなる。こうした明らかなリスクに対処するのに、URLフィルタリングは一定の効果がある。
ただし、教育機関がURLフィルタリングを導入・活用する際には、URLフィルタリングの弊害を考慮しておく必要がある。ブロックの結果として学習者が「すぐそこにある脅威」に気付きにくいことが、その1つだ。また学習者に安全なWebサイトしか目にできない環境を作り上げてしまうと、危険なWebサイトの存在を学ぶチャンスを逸してしまう可能性もある。
こうした弊害を軽減する方法はある。教育機関側の判断だけで何でもブロックしてしまうのではなく、学習者と話し合いながら閲覧可能な範囲を拡大するといった運用方針は、その代表例だ。URLフィルタリングの導入を検討するのであれば、導入するリスクとしないリスクを考慮した上で導入の是非を判断し、かつそれぞれのリスクを軽減する方法も併せて考えることが必要になる。
URLフィルタリング製品の中には、Webサイトの閲覧をブロックしたときに、その理由をWebブラウザの画面に表示する機能を備えるものも少なくない。なぜブロックされたのかを学習者に考えてもらう機会を作るなど、情報モラル教育の一環としてURLフィルタリングを活用するのであれば、弊害を教育機会に変えることもできる。URLフィルタリングが悪なのではなく、URLフィルタリングを導入しただけで満足してしまうことが悪なのだ。
セキュリティ対策はツールのみに頼るなかれ
セキュリティ対策製品は世の中にたくさんある。それらを導入してしまえば、それなりに対策をした気になるだろうし、何らかのセキュリティインシデントが発生しても「一定の対策はしていた」と説明でき、責任を問われる可能性が抑えられるかもしれない。
とはいえ、コストを掛けて何らかのセキュリティ製品を入れただけで「対策を済ませてしまった」ことにしてしまっていては、新たに守るべき情報ができたときに管理しきれないことになる可能性は否定できない。まだ余裕のある今のうちから、守るべき対象が何かを明確に定義し、その管理の仕組みやルールを整備することが重要だ。
執筆者紹介
武田一城(たけだ かずしろ) 株式会社日立ソリューションズ
情報セキュリティ、システムプラットフォーム、オープンソースなどさまざまな分野のマーケティング業務に従事。現在は特に学校IT分野における市場調査や企画に重点的に携わる。2011年より日本PostgreSQLユーザ会の理事を兼務し、代表的なオープンソースデータベース「PostgreSQL」の普及啓発活動も行っている。
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