SSDなどのフラッシュストレージを業界団体SNIAメンバーが解説
読めば分かる! フラッシュストレージの基本(2/3 ページ)
フラッシュストレージの種類
フラッシュストレージ装置単体では、従来のSAS/SATA(Serial ATA)接続型HDDと同じ形状、インタフェースであるSSD(SAS/SATA接続型)と、PCI Express(PCIe)カードにNANDフラッシュメモリを積載したPCIeフラッシュカード(PCIe接続型)に大別されます。その他、PCIeバスを介してSSDへ接続するNVMe(NVM Express)や、DIMMスロットに接続するタイプ、SATAやPCIe接続型の小型メモリ用フォームファクタ(形状の規格)であるM.2に準拠したフラッシュストレージ装置も登場しています。これらを使い、フラッシュストレージシステムには、以下のような種類があります。
サーバ内蔵型フラッシュ(サーバサイドフラッシュ方式)
サーバ内のPCIeスロット、SAS/SATAポート、DIMMスロットなどにフラッシュストレージ装置を挿入し、そこにデータを格納する方式(サーバサイドフラッシュ方式)を採用したストレージシステムが「サーバ内蔵型フラッシュ」です。また、2.5インチのスロットに格納しながらPCIe接続する、より高速なNVMe規格の製品も2014年辺りから出荷が始まっています。
性能面では、ネットワークや外付け共有ストレージのコントローラーを介さずに直接アクセスできるので、最も高速化が期待できる実装方法です。数十万IOPS、マイクロ秒単位の低遅延でI/O処理の実行が可能です。
ただし、耐障害性可能性の面ではフラッシュストレージ装置自体が堅ろうでも、サーバやOSの障害時にはシステム全体がダウンします。そのため、サーバ複数台で冗長構成を取る必要があります。その場合、同期ソフトウェアやデータベースのレプリケーション機能、OSや仮想化ハイパーバイザーが持つ分散ファイルシステムなどによる冗長構成が取られます。
| タイプ | 製品名 |
|---|---|
| PCIe、専用ドライバのタイプ | 「Fusion ioMemory」(米SanDisk)、「Virident FlashMAX」(米HGST)、「EMC XtremSF」「Huawei ES3000」 |
| NVMeタイプ | 「Intel SSD DC P3700」「XS1715」(韓国Samsung Electronics) |
主な用途としては、物理環境のデータベース、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)プロバイダーなどのメッセージングサービスが挙げられます。
サーバサイドキャッシュ
サーバ、またはストレージに実装したフラッシュストレージ装置をキャッシュ領域として使用するストレージシステムが「サーバサイドキャッシュ」です。内蔵HDDや外部の共有ストレージの負荷を軽減し、システムの高速化を実現します。既存システムの性能改善や低価格のSAN(Store Area Network)やNAS(Network Attached Storage)との組み合わせでよく用いられます。
サーバサイドキャッシュはソフトウェアと組み合わせて提供されることが多く、読み込みのみをキャッシュする製品(ライトスルー)、読み込みと書き込みの両方をキャッシュする製品(ライトバック)など、製品によって実装方法が異なります。
| タイプ | 製品名 |
|---|---|
| 「VMware vSphere Flash Read Cache(vFRC、サーバ仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」の機能)」「Buffer Cache Extention(BPE、データベース管理システム「Microsoft SQL Server」の機能)」「Database Smart Flash Cache(データベース管理システム「Oracle Database」の機能)」「PernixData FVP」「FlashSoft Software」(米SanDisk)、「EMC XtremCache」 |
仮想化環境やデータベース環境が主な用途です。
ハイブリッドストレージ(階層化ストレージ)
ストレージシステムに、SSDなどのフラッシュストレージ装置の領域とHDDの領域を両方持ち、アクセス頻度の高いデータをフラッシュの領域に配置し、アクセス頻度の低いデータをHDD領域に配置するストレージシステムが「ハイブリッドストレージ」(階層化ストレージ)です。
また、Windowsの機能(記憶域スペース)やサーバをストレージとして活用する「SDS(Software Defined Storage)」製品、サーバとストレージを統合したHCI(Hyper-Converged Infrastructure)製品にも同じような機能が実装されています。フラッシュの領域の使い方やデータの書き込み方法、重複排除、圧縮機能の有無などについては、各社実装が異なります。
| タイプ | 製品名 |
|---|---|
| フラッシュストレージ装置の利用を前提 | 「Tintri VMstore」「Nimble Storage」「VMware Virtual SAN(VSAN、ハイパーコンバージドインフラ「EVO:RAIL」の構成要素)」「Nutanix」 |
| 汎用(はんよう)ストレージのハイブリット構成、階層構成 | 「Dell Equallogic」「Dell Compellent」「EMC VMAX」「同 VNX」「同 Isilon」「Fujitsu Storage ETERNUS」「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)」「HP 3PAR」「「IBM Storwize」「NEC iStorage」「NetApp FAS」 |
仮想サーバ環境や仮想デスクトップインフラ(VDI)、ユニファイドストレージ、ファイルサーバなどが主な用途です。
オールフラッシュアレイ
HDDを使用せず全てフラッシュストレージ装置で構成するストレージシステムが「オールフラッシュストレージ」「オールフラッシュアレイ(AFA)」です。一般的にファイバーチャネルや10Gbps以上のイーサネットなど高速なネットワークで接続される外付けの共有ストレージ構成を取ります。一般的なSSDを使用するタイプ、SSDを使わず専用のフラッシュボードを使用するタイプがあります。
| タイプ | 製品名 |
|---|---|
| 汎用ストレージのオールフラッシュ版 | 「Fujitsu Storage ETERNUS DX200F」「HP 3PAR StoreServ 8450」「NetApp AFF8000」「DELL Storage SC4020」 |
| SSDに特化したオールフラッシュストレージ | 「EMC XtremIO」「Pure Storage」「SolidFire SF」「Tintri VMstore T5000」 |
仮想サーバやVDI、物理/仮想データベースなどが主な用途です。
専用形状のオールフラッシュアレイは、SSDの課題であるSAS/SATAコントローラーによる性能のボトルネックなどを避けるため、専用基盤にNANDフラッシュメモリをPCIe接続し、FPGA(プログラム可能な論理回路を備えたチップ)などによって制御します。システム全体で100万IOPS以上、マイクロ秒単位の低遅延を発揮する製品もある超高速なフラッシュストレージシステムです。
| タイプ | 製品名 |
|---|---|
| 専用形状のオールフラッシュ | 「IBM FlashSystem」「Hitachi Accelerated Flash」「V6000シリーズ」(米Violin Memory) |
データベース、分析/解析系のアプリケーションなどに多く用いられています。
フラッシュストレージシステムの利用形態
ここからは、フラッシュストレージが企業のITシステムでどのように利用されてきたかを紹介します。
従来のフラッシュストレージシステムはその高速性から、負荷が高い特定のデータベースや仮想環境、SNSプロバイダーのメッセージングサービスなど、I/O性能の要求に厳しい用途に多く用いられてきました。それが2015年ごろから、SAS接続型SSDではHDDの容量単価を下回る製品が登場しています。また、SAS接続型HDDだけで構成された外付けストレージよりも価格が低く抑えられたハイブリッドストレージやオールフラッシュアレイが登場しており、運用費用やスペース費用、電力料金、人件費などを合わせたトータルコスト(TCO)は、従来のHDDベースのストレージよりも低く抑えられるようになりつつあります。
その結果、高負荷な特定の領域だけではなく、ストレージのI/Oボトルネックが課題となりそうな要件には、ハイブリッドストレージやオールフラッシュアレイの利用を検討してもよいのではないかと考えられます。
例えば、データベースや仮想環境だけにとどまらず、中規模以上のHDDベースのファイルサーバは、多数のユーザーからのファイルアクセスが集中すると多重のランダム読み込みのI/Oが発生します。HDDのI/O処理待ちのため、ファイル転送に時間を要するケースがしばしば見受けられます。従来、ファイルサーバ用途にフラッシュストレージシステムが検討されることは少なく、ファイルシステムのメタデータなど一部を格納するのみにとどまっていました。しかし、将来的にはより多くのフラッシュストレージ装置を搭載したハイブリッドストレージやオールフラッシュアレイを導入しても、HDDベースのストレージシステムと同程度の購入価格、低い運用コストでファイルサーバを構築できるようになると考えられます。
今後はNANDフラッシュメモリとフラッシュストレージ装置の大容量化、低価格化などがさらに進むことが予想されており、企業のITシステムでフラッシュストレージシステムの適用を検討できる範囲がより一層広がるといえるでしょう。
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