想像力を持つロボットが登場したら?
職を奪われるどころではない――ロボット開発が行き着く必然の未来とは(2/2 ページ)
機械仕掛けの神
米国の非営利調査機関Pew Research Centerが2014年に実施した調査によると、回答した専門家1896人中の約半数が、将来はブルーカラーの製造業のみならずホワイトカラーも含めた膨大な数の職がロボティクスと人工知能に置き換えられると予想しているという。また、米調査会社Forrester Researchは2015年8月、概して楽観的な雇用展望を示す記事を発表したが、それでもテクノロジーによって消失する雇用は2270万人(米国の雇用市場の16%)と予測し、テクノロジーによって創出されると予測される雇用1360万人を上回っている。
そんな中、コグニティブコンピューティング(いわばロボット頭脳)に注目が集まっている。米IBMは2015年10月、同社のスーパーコンピュータ「Watson」をクラウドサービスとして推進する事業部門を設立した。また調査会社の米IDCは、2018年までに開発チームの50%以上がアプリ開発に何らかのコグニティブ技術を活用すると予想している。例えば、顧客サービスの場合、コグニティブシステムで膨大な消費者データを活用することによって、顧客の質問に分かりやすく回答できるようになる。医療分野では、患者の遺伝子パターンを診断や治療の決定に役立てることができる。
これらは単なるアプリの話にすぎない。リプソン氏の研究する進化プロセスによって、ルネサンス的な新生ロボットの競争が起こったらどうなるのだろうか?
MIT卒で今回のEmTechに参加した米Distributed Energy ManagementのCEO(最高経営責任者)、ジミー・ジア氏は、「これは『可能かどうか』の議論だ」と話した。同氏が共同設立したDistributed Energy Managementは、企業における電気や水道の利用の管理を支援している。「行うべきか否かは、また別の議論になる」と同氏は述べた。
将来への対策
リプソン氏はもう後戻りはできないと考えている。ロボットはいずれ創造力を獲得する。その力は、それまで考え付かなかったようなイノベーションを人間が起こすのに役立てられるのではないかという希望がある。
「長期的に考えると、真の問題は『経済をどのように作り変えるか』ということにあると思う」と同氏は言う。「もっと別のもの、芸術やスポーツや教育など、より変革的で自己定義的なものを通して意味を創造し、成果を生み出す新しい方法を考えなければならない。そこに注目するのがよいだろう」
同じ考えの人は大勢いる。MITの技術専門誌「MIT Technology Review」7月/8月号に掲載された公開書簡で、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』共著者であるMITのエリック・ブラインジョルフソン氏とアンドリュー・マカフィー氏や、米Salesforce.comのマーク・ベニオフ会長兼CEOらは次のように書いている。政府が適切な政策を進めれば、将来、ロボティクスの進歩のせいで人間の仕事が失われることにはならない。政府は、教育とインフラと研究開発への投資を増やすべきだ。企業のリーダーが取り組むべき課題も大きい。企業は自社が進む道を、営利目的の組織から、「包括的な繁栄」を実現する市民のための組織となるように考え直す必要がある。
あらゆる仕事をロボットが担う未来への対策として、全ての人に所得を保証すべきだと主張する専門家もいる。これはCIOが経営陣から評価してもらえる案とは言い難い。だが、デジタル化の将来を推進する上では、子どもたち、さらにその先の子どもたちのことも考えていく必要があるだろう。
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