想像力を持つロボットが登場したら?
職を奪われるどころではない――ロボット開発が行き着く必然の未来とは(1/2 ページ)
ロボットは人間より速く、人間より賢くなりつつあり、いずれ創造力をも持ち合わせる、とロボティクス(ロボット工学)専門家のホッド・リプソン氏は語る。そのときのために、今から準備が必要だ。
ロボットによって人間の職が奪われると警告する記事が多数ある一方で、そんなことにはならないという記事も多い。機械は高速計算が得意でも、人間のような創造力は決して持ち得ないという議論もよく聞く。
だが、いつまでもそうとは限らない。米コロンビア大学のホッド・リプソン氏によれば、これから100年以内に状況は変わるという。
「機械が大抵のことを普通の人間より上手にできるようになったら、人間はどうなり、社会構造はどう変わるか」。高名なロボティクス専門家であるリプソン氏は、2015年11月2~4日に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で開催されたセミナー、EmTech 2015でこう問い掛けた。「これは100万年先の未来のAI(人工知能)に関する仮定の話ではない。私たちの子ども世代で起こり得る話だ。私たちが今、真剣に考え始めなければならない問題だ」
この“私たち”にはCIO(最高情報責任者)も含まれる。現在のCIOたちは、人間より優秀で仕事の速い安価なIT幹部ロボットに職を奪われる心配はないだろう。コグニティブコンピューティングなど次のデジタル技術の波への企業の投資が始まっているとはいえ、すぐにそんな日が来るとは考えられない。だが、リプソン氏によれば、ロボット工学の進歩は、会社の役職の存続よりも、はるかに大きな影響を及ぼすという。
リプソン氏は「機械の創造力」について研究しており、長い間、人間だけのものと考えられてきた能力を機械に与える試みに取り組んでいる。同氏が開発しているのは、データの集計や分析だけを行う機械ではなく、絵画や別の機械など「良いものをたくさん」作り出す能力を持ったロボットだ。それらは単に高性能プリンタなどのツールを装備しているだけではなく、イマジネーションによってものを作ることができる。
「世の親に自分の子がいかに賢いかを語らせると、その子がどれほど創造力豊かで好奇心旺盛かを語るものだ。創造力や好奇心は、非常に人間的なものだと考えられており、人間だけが持つ能力だと考えられている」とリプソン氏は語った。
クリエイティブディレクター
だが創造力は、人間が相手でも教えるのは非常に難しい。アイデアがどこから湧いてくるのか、よく分かっていないからだ。それを機械に教えるのはさらに難しく、リプソン氏によれば、AIが長い間、分析中心に使われてきたのもそのためだという。コンピュータは、株式市場や天気や購買傾向は予想できても、無人運転車を発明することはできない。
それもロボティクスの進歩で変わるかもしれない。リプソン氏は、人間の手で行われているロボット開発のプロセスを、同氏が「創造の母」と呼ぶ進化プロセスに置き換えた。シミュレーション上の進化エンジンで、ワイヤやモーターなどの構成要素が自動的に組み合わされてロボットが作られる。ロボットの組み立てとテストが繰り返され、さまざまな組み合わせや交配によって子孫が作成される。その結果、管状の付属物と砂を這うのに適した尾ひれの付いた単純な外観のロボットが生み出された。リプソン氏は、この進化がどんな方向へ向かうにしろ、ずっと先まで進めたい考えだ。
機械も人間のように進化すると聞くと、多くの人が落ち着かない気持ちになるだろう。それも当然だ。リプソン氏の研究が成功すれば、何百万人もの中間層の仕事が奪われるばかりか、今日の文明が終わることになる。
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