知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策【第2回】
マイナンバー対応でよく耳にする「安全管理措置」、具体的に何をするのか?(2/3 ページ)
物理的安全管理措置
主に特定個人情報を扱うシステムの物理セキュリティについて規定するのが、「物理的安全管理措置」だ。それを構成する4項目のうち、情報システムに関連するのは以下の2項目である。
- 「電子媒体等を持ち出す場合の漏えい等の防止」
- 「個人番号の削除、機器及び電子媒体の廃棄」
電子媒体等を持ち出す場合の漏えい等の防止
特定個人情報を記録した電子媒体/書類を持ち出す場合の情報漏えい対策手法をまとめたのが、「電子媒体等を持ち出す場合の漏えい等の防止」だ。ガイドラインが例示する2手法のうち、情報システムに関わりが深いのは以下の1手法である。
・「特定個人情報等が記録された電子媒体を安全に持ち出す方法としては、持出しデータの暗号化、パスワードによる保護、施錠できる搬送容器の使用等が考えられる。ただし、行政機関等に法定調書等をデータで提出するに当たっては、行政機関等が指定する提出方法に従う」
上記で紹介されている手法は、要するに暗号化やパスワードによる保護である。その具体例は、以下の通りだ。
- CRYPTREC暗号リスト(電子政府推奨暗号リスト)にあるアルゴリズムなど、強度や安全性が信頼できるアルゴリズムによる暗号化を利用(独自アルゴリズムによる暗号化は、一般に強度などの検証が容易ではない)
- 市販ソフトウェアの機能を利用して暗号化やパスワードによる保護をする場合は、脆弱(せいじゃく)な状態(サポート切れ、暗号化に関わる修正パッチの未適用など)でないことを確認。例えば、ある古いオフィススイートでは、パスワードによる保護を回避してファイルが開ける、といった例が存在
個人番号の削除、機器及び電子媒体の廃棄
特定個人情報は、その利用の必要がなくなり、かつ法令で定められた保存期間を経過した場合は、可能な限り速やかに削除/廃棄する必要がある。その手法についてまとめたのが、「個人番号の削除、機器及び電子媒体の廃棄」だ。ガイドラインで例示されている3種の手法全てが、情報システムに関わりが深い。
・「特定個人情報等が記録された機器及び電子媒体等を廃棄する場合、専用のデータ削除ソフトウェアの利用又は物理的な破壊等により、復元不可能な手段を採用する」
・「特定個人情報ファイル中の個人番号又は一部の特定個人情報等を削除する場合、容易に復元できない手段を採用する」
・「特定個人情報等を取り扱う情報システムにおいては、保存期間経過後における個人番号の削除を前提とした情報システムを構築する」
上記の手法を実現する具体例は、以下の通りだ。
- データを復元不能な状態で削除するデータ削除ソフトウェアの利用(主に媒体などの破棄時)
- ファイルをデスクトップのゴミ箱に格納するなどの復元容易な削除ではない、比較的安全なデータ削除手順の整備(主にアプリケーションや特権の操作におけるデータ削除時)
- 個人ごと、帳票ごとといった単位でマイナンバーの保存期間を管理し、保存期間経過後に当該情報を自動削除するシステムの実装
技術的安全管理措置
主に特定個人情報の漏えい対策に役立つ技術的な要素を規定するのが、「技術的安全管理措置」だ。それを構成する4項目は全て、情報システムに関連している。
- 「アクセス制御」
- 「アクセス者の識別と認証」
- 「外部からの不正アクセス等の防止」
- 「情報漏えい等の防止」
アクセス制御
情報システムで特定個人情報を扱う場合に求められるアクセス制御についてまとめたのが「アクセス制御」だ。ガイドラインが例示する3手法は、以下の通りである。
・個人番号と紐付けてアクセスできる情報の範囲をアクセス制御により限定する
・特定個人情報ファイルを取り扱う情報システムを、アクセス制御により限定する
・ユーザーIDに付与するアクセス権により、特定個人情報ファイルを取り扱う情報システムを使用できる者を事務取扱担当者に限定する
具体的な手法としては、以下が挙げられる。
- アプリケーションのID管理機能で、IDごとに個人番号の参照機能や出力機能の利用可否を制御
- 特権ID管理機能で、特権ID利用の都度、管理者による承認を要求。併せてIDごとにアクセス可能なシステムや操作権限を制御
- 正規のアプリケーションからのアクセスや、あらかじめ定められた端末/操作パターンの特権アクセスではない、不審なアクセスを検知もしくは遮断できるDBファイアウォールのようなセキュリティ製品の導入
アクセス者の識別と認証
特定個人情報を扱う情報システムに、正当なアクセス権を有する者だけがアクセスできるようにする手法をまとめたのが「アクセス者の識別と認証」だ。ガイドラインが例示する手法は以下の通りである。これは特に具体例を紹介する必要はないだろう。
・「事務取扱担当者の識別方法としては、ユーザーID、パスワード、磁気・ICカード等が考えられる」
外部からの不正アクセス等の防止
特定個人情報を扱う情報システムについて、外部からの不正アクセスや不正ソフトウェア(マルウェア)から保護する手法についてまとめたのが「外部からの不正アクセス等の防止」だ。ガイドラインが例示する5手法は、以下の通りである。
・情報システムと外部ネットワークとの接続箇所に、ファイアウォール等を設置し、不正アクセスを遮断する
・情報システム及び機器にセキュリティ対策ソフトウェア等(ウイルス対策ソフトウェア等)を導入する
・導入したセキュリティ対策ソフトウェア等により、入出力データにおける不正ソフトウェアの有無を確認する
・機器やソフトウェア等に標準装備されている自動更新機能等の活用により、ソフトウェア等を最新状態とする
・ログ等の分析を定期的に行い、不正アクセス等を検知する
具体的な手法としては、上記の例示にもあるファイアウォールに加え、以下のような手法が考えられる。
- マルウェアの検知
- パターン型や振る舞い検知型のマルウェア対策ソフトウェア
- 次世代ファイアウォールの通信監視機能
- システム構成ソフトウェアの最新化
- 機器やソフトウェアなどの自動更新機能
- サーバ/クライアント端末の構成管理ソフトウェア
- 不正アクセスの検知
- セキュリティ機器やアプリケーションのログなどに対する、定期的もしくはリアルタイムの分析(個別のログの分析の他、各ログの相関分析など)
情報漏えい等の防止
特定個人情報をインターネット経由で外部に送信する場合の情報漏えい対策手法についてまとめたのが「情報漏えい等の防止」だ。ガイドラインが例示する2手法は、以下の通りである。
・通信経路における情報漏えい等の防止策としては、通信経路の暗号化等が考えられる
・情報システム内に保存されている特定個人情報等の情報漏えい等の防止策としては、データの暗号化又はパスワードによる保護等が考えられる
上記で説明している手法は、通信経路の暗号化や暗号化、パスワードによる保護である。具体例を以下に示す。
- HTTPSやSFTPなど、暗号化機能を有した通信方法の利用
- HDD暗号化ソフトウェアなどによりディスク全体を暗号化
- データベース管理システム(DBMS)の暗号化機能により、個人番号を含むテーブルやカラムを暗号化
- ファイルに暗号化や利用制限を施すInformation Rights Management(IRM)ソフトウェアにより、暗号化されたファイルが参照/復号される都度、ファイルの管理者による復号承認を要求
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知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策
セキュリティ関連の法制度の趣旨に基づき、実現すべきセキュリティ対策はどのようなものか。マイナンバー、個人情報全般、その他の機密性の高い情報について、セキュリティ対策の勘所を示す。
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