2015年の管理職報酬に変化はなし
昇給の鍵は“業務部門の御用聞き”からの脱却――IT部門幹部 報酬調査(1/2 ページ)
IT部門の上級職は、デジタル化して急速に変化している市場に対応するため、IT戦略の軌道修正に努めている。2015年に変化がなかったのは、管理職の報酬くらいだろう。
上級のIT担当幹部である最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)、最高情報セキュリティ責任者(CISO)、IT部門の統括責任者/部長などの2015年の報酬は安定しており、2014年の傾向からほとんど変化が見られない。米TechTargetが北米の上級IT幹部248人を対象に実施した「2015 Annual IT Salary and Careers Survey」のデータによると、上級IT担当幹部の総報酬の中央値は、15万3420ドルだ。これは2014年の総報酬(給与+福利厚生)の中央値15万ドルと2.3%の違いしかない。
あらゆる業界の企業でデジタルビジネスへと進む顧客と従業員への対応が進んでおり、上級IT幹部は大きな変化に見舞われている。だが、この変化とは裏腹に、IT管理職の報酬は横ばい傾向だ。デジタル革命によって、上級IT幹部の多くが自身の上級IT幹部という役職の在り方について考えることを余儀なくされている。少なくとも、上級IT幹部の高所得層は、うまく現在のビジネスの状況に対応しているようだ(上級IT幹部の基本給は3万6275ドル~60万ドルと幅がある)。今回の調査では、業務の主眼が「信頼性の高いITサービスを提供すること」から「業績に貢献すること」に移っている状況が明らかになった。
数字で見る管理職の報酬
2015年と2014年では調査回答者の内訳が異なるにも関わらず、前述のように、ほとんどの上級IT幹部の管理職報酬は2014年の数字とそれほど変わらない(2015年の調査に参加したIT専門職1783人のうち上級IT幹部は14%、2014年の調査における上級IT幹部の割合は28%だ)。
総報酬が向上した上級IT幹部の割合は、2015年は61%、2014年は64%だった。2015年に報酬に変化がなかったと回答したのは32%で、2014年の29%からわずかだが増加している。2015年に報酬が減少したと回答したのは7%で、2014年と同程度という結果になっている。
当然のことだが、報酬には地理が大きく関係している。合計報酬は、生活費が比較的高い地域で高かった。米国西部で働く上級IT幹部の平均総報酬が最も高く(16万5000ドル)、次に北東部(15万6500ドル)、南部(15万3420ドル)、中西部(12万5000ドル)という順になった。
基本給について見てみよう。2015年の上級IT幹部の中央値は13万8000ドル、2014年は13万5000ドルだった。2015年は回答者の半数以上(53%)が昇給し、49%が賞与を受け取っている。2014年もこれに非常に近い数字で、昇給と賞与を受けた割合はそれぞれ54%と46%だった。
昇給したと回答した人の昇給率の中央値は3.4%(平均は6.1%)で、2014年の昇給率の中央値3%(平均5.8%)とほぼ同じだ。賞与は年によってばらつきが大きく、2015年の賞与の中央値が2万ドル(平均は3万3219ドル)だったのに対して、2014年の賞与の中央値は2万5000ドル(平均は3万5427ドル)だった。
上級IT幹部の2016年の報酬の見通しは明るい。2014年および2015年と同様、上級IT幹部の60%は2016年に報酬が増加することを見込んでいる。本調査によると、上級IT幹部が給与と賞与についてより楽観的になっているのが分かる。翌年の昇給を見込んでいる上級IT幹部は、2014年は42%だったが、2015年は56%という結果になっている。また、翌年の賞与を見込んでいる上級IT幹部は、2014年の27%から47%に増加している。
CIOの評価
横ばいの報酬額からは、上級IT幹部の仕事に変化が起こっていることは分からない。何人かの回答者に追加で聞き取り調査を行ったところ、上級IT幹部には、会社で戦略的な役割を担いたいという強い熱意があることが明らかになった。業務部門に言われた通りにすることも、コストセンターと見なされることも良しとしていない。
また、実際に多くの企業で上級IT幹部の価値が評価されていることが明らかになった。「あなたの職務における成功の主要な評価基準は何ですか(複数回答可)」という質問に対する回答で最も回答数が多かったのが「企業目標または業績の達成への貢献」(55%)で、「ITサービスの信頼性の確保」(52%)と「製品やサービスの提供の改善」(42%)をわずかに上回っている。
会社から役職相当の扱いをされないことから、転職に踏み切る上級IT幹部もいる。これは給与面に限ったことではない。あるCIOは最近、湾岸地域の金融サービス企業から別の金融サービス企業に転職し、2015年は総額25万ドルの報酬を手に入れる見込みだ。このCIOは、匿名にすることを条件に、聞き取り調査に対して率直に回答してくれた。
このCIOは、以前の勤務先について、次のように話している。「私はCIOとして雇用されたが、やったことはただの御用聞きだった。戦略的な調整を行うことはなく、CIOとは全くの名ばかりだった」
イライラを募らせた要因の1つは報告構造にあった。CIOという肩書によって経営陣の地位は与えられたものの、直属の上司はCEOではなく社長だった(2015年の調査では、直属の上司がCEOと回答したのは、2014年と同程度の29%だった)。
「私がすぐに悟ったのは、直属の上司がCEOでない場合、CEOや他の経営陣の判断に従うことになるということだ。CIOは、経営陣を支援する立場にあるが、このような経営陣の多くはITの戦略的可能性を認識しておらず、CIOがどのように規模の効率や規模の経済をもたらすのかすら理解していない」
このCIOは、2015年6月から従事している新しい仕事で、給与が少し増えたが、前職との大きな違いは、企業の戦略的パートナーとして行動できるかどうかだという。まず、ITサービスの契約を再交渉して、ITサービス提供の改善とコスト削減を行った。「仕事を始めて最初の3カ月で、既に給与に見合う働きをした。今は、IoTなどの最新テクノロジーを他社に負けない差別要因として活用する方法について戦略を練り始めているところだ。日々のIT運用を監督する情報セキュリティ責任者とアシスタントITマネジャーという2人の重要な業務担当者を雇用したことで、ビジネステクノロジー戦略に集中できている。それから、直属の上司がCEOであることも職務の妨げになっていない」
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