米TechTarget IT給与満足度調査【番外編】
年収が高いIT幹部の特徴、年収が低いIT幹部の働き方
米TechTargetのSearchCIO.comおよびSearchCIO-Midmarketが実施した読者調査により、年収が高いIT幹部とそうでないIT幹部の特徴が見えてきた。彼らの“違い”はどこにあるのか?
2011年、米国では所得格差の問題に全国民の注目が集まったが、格差は企業のIT幹部の給与にもみられたようだ。2011年の上級および中堅クラスのIT幹部の年収は全体では2010年と比べて2%減少しているが、大企業に限ると前年比で11%増加している。年収が高いIT幹部とそれほどではないIT幹部の間には、勤務先企業の規模の他にも、何か特徴的な違いがあるのだろうか?
米TechTargetのCIO/IT Strategy Media GroupがIT幹部およびIT担当者の給与とキャリアについて最近実施した米TechTarget IT給与満足度調査の結果からは、年収が高いグループとその他のグループとの違いが読み取れる。単に他人よりも多く稼いでいるからだけではない違いだ。
例えば、年収が高いIT幹部はそうではないIT幹部と比べて、上司やビジネス部門との間でより良好な関係を築いている他、経営幹部からのサポートも強力で、IT部門に対するビジネス部門からの評価も高い傾向にある。ただしビジネス部門から高く評価されているという認識があるにもかかわらず、そうした年収の高いIT幹部は年収の低いIT幹部と比べて、自分たちIT部門に対する評価が厳しい傾向にあるようだ。
この分析は、あらゆる業種にわたる上級および中堅クラスのIT幹部875人から寄せられた回答に基づくものだ。回答者は年間給与総額が21万ドル以上の高所得グループ、9万~21万ドルの中所得グループ、9万ドル未満の低所得グループに分類されている。この調査はTechTargetのSearchCIO.comおよびSearchCIO-Midmarket.comの読者を対象として2011年11月に実施されたもの。世界各国の32業種にわたる企業のIT幹部およびIT担当者1700人以上から回答が寄せられた。
「プロジェクト管理」よりも「人間関係の構築」を重視
経営幹部からのサポートについて「非常に満足している」と答えた回答者の割合は高所得グループでは23%と、中所得グループの16%、低所得グループの17%よりも多くなっている。一方、経営幹部からのサポートについて「全く満足していない」と答えた回答者は高所得グループではわずか4%だったのに対し、中所得グループでは14%、低所得グループでは約17%だった。
また高所得グループの回答者は他のグループの回答者よりも、IT部門とビジネス部門との関係に自信を持っているようだ。IT部門に対するビジネス部門の評価について「非常に満足している」と答えた回答者は高所得グループでは19%だったのに対し、中所得グループでは6%、低所得グループでは8%となっている。
さらに調査で明らかになったのは、「ビジネス部門とIT部門との関係構築」を最優先事項にしているIT幹部が、高所得グループには中低所得グループの2倍以上いるということだ。勤務時間の多くを何に費やしているかを尋ねたところ、高所得グループでは「ビジネス部門とIT部門とのコミュニケーション障壁を取り除くこと」を最優先課題として挙げた回答者が22%だったのに対し、中所得グループで10%、低所得グループでは5%にとどまった。一方、中所得グループと低所得グループでは勤務時間の多くを「プロジェクト管理」に使うと答えた回答者がそれぞれ34%、33%と、高所得グループの18%と比べてはるかに多くなっている。
高所得グループの1人、ホセ・ボット氏は2011年にグローバル金融サービス会社の暫定CIOに就任したが、「ビジネス部門とIT部門とのコミュニケーション障壁を取り除くこと」は当時の同氏にとって重要な任務だったという。当時、会社は北米から中南米に至る市場に大規模なITプロジェクトを展開中で、CIOのボット氏にとってはこうした市場間の文化的差異を理解すること──同氏の言葉を借りれば「同じ料理でも各地域で異なる味付けを学ぶこと」──が極めて重要だったという。かつてBarclays Bank of PortugalでCIOを務め、American ExpressではITディレクターを務めた経歴の持ち主であるボット氏は、「IT部門とビジネス部門の間の障壁を取り払うこと」をCIOの最大の責務と考えている。IT部門とビジネス部門の間に城壁がめぐらされ、CIOが「ITオペレーションの全権を握る身勝手な独裁者」として振る舞っていたのは、遠い昔の話だ。「CIOは他の幹部たちの戦略的パートナーになる必要がある。CEOに直接報告を行う、いわゆるCレベルの幹部にならなければ、今日、CIOとして成功することはできない」と同氏。
また高所得グループのIT幹部は、ビジネス部門がIT部門を適正に評価してくれることについて、中低所得グループのIT幹部よりもうれしく思っているようだ。高所得グループのIT幹部がビジネス部門との良好な関係の構築に費やしている労力を思えば、これは当然といえるだろう。ただし、身内であるIT部門に対する考え方についてはそうでもない。IT部門に「満足している」または「非常に満足している」と答えた回答者は高所得グループでは40%だったが、中所得グループでは49%、低中所得グループでは51%となっている。さらには、「非常に不満」と答えた回答者は中所得グループでは1%、低所得グループでは2%だったのに対し、高所得グループでは6%とはるかに多くなっている。
最後に年収グループ別の回答者の男女分布を見ておこう。低所得グループに分類された回答者の割合は男性よりも女性が大きい(女性は25%、男性は18%)。だが年収が増えるほどその差は縮まり、中所得グループには女性回答者の67%、男性回答者の72%が含まれている。高所得グループでは男女差はほぼなくなり、年収21万ドル以上のこのクラスには女性回答者の9%、男性回答者の11%が分類されている。
| 低所得グループ (9万ドル未満) |
中所得グループ (9万ドル~12万ドル) |
高所得グループ (12万ドル以上) |
|
|---|---|---|---|
| 事業目標の達成のためにテクノロジーを 創造的に使用する |
35.37% | 29.56% | 41.3% |
| ビジネス部門とIT部門のコミュニケーション 障壁を取り除く |
4.88% | 10.02% | 21.74% |
| プロジェクト管理 | 33.54% | 33.28% | 18.48% |
| チームの編成と管理 | 5.49% | 13.89% | 11.96% |
| 技術の統合や整備 | 14.63% | 7.43% | 3.26% |
| IT部門内のコミュニケーション障壁を取り除く | 0% | 3.23% | 2.17% |
| コスト削減 | 6.1% | 2.58% | 1.09% |
| (回答者:875人) | |||
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