Gartner調査が明かす従業員の不満
「座学AI研修」はもう限界 過半数が不満を抱く実務とのギャップ
企業がデジタル人材育成への投資を強化する一方、Gartnerの調査では過半数の従業員が自社の「AI教育」に不満を感じている。従来の学習法では実務での成果に結び付かない。なぜ空回りに終わってしまうのか。
AIツールの急速な普及に伴い、企業は従業員のAIリテラシー向上やデジタル技術を活用できる人材の育成への関心を高めている。しかし、企業が従業員教育を提供しているにもかかわらず、現場の実務における目に見える成果へとつなげられていない実態が明らかになっている。
調査会社Gartnerは2026年4月、企業に勤める363人を対象に、自社のデジタルスキル教育の取り組みについての調査を実施した。その結果、「積極的に取り組んでいる」と回答した従業員の割合は62.3%(「非常に積極的」12.9%、「どちらかといえば積極的」49.3%)に上った。企業の人材投資に対する意欲がうかがえる一方で、全体の55.1%(「非常に不満」12.1%、「やや不満」43.0%)が自社のデジタルスキル教育に対して不満を感じていることが浮き彫りになった。
高い取り組み意欲と従業員の間に広がる不満のギャップは、なぜ生じているのか。
座学中心の研修が裏目に
調査では、社内の教育プログラムに対して満足していると回答した従業員は、「学ぶ機会や環境の提供」「研修方法が適切」「仕事に役立つ内容」といった実用性や学習環境の整備を高く評価している。これに対して、不満を抱く従業員の理由としては、「本業が忙しくて時間が取れない」「評価に十分反映されていない」「教育に対する上司や経営層の理解ならびに支援が不足している」といった点が上位を占めた。
Gartnerのディレクターアナリストである針生恵理氏は、企業が従業員教育への投資に積極的であるにもかかわらず期待される成果が出ない背景として、提供される教育内容と実際の業務との乖離(かいり)を指摘する。習得したスキルが日々の業務プロセスで直接的に役立つ設計になっていないことに加え、直属の管理職からの理解が乏しく、スキル向上が人事評価に結び付かない状態では、多忙な従業員が自発的に教育に時間を割くことは極めて難しい。企業はこうした構造的な阻害要因を取り除かない限り、今後も同じ課題に直面し続けると同氏は警告する。
人とAIが実業務で協働する「AI共生時代」の人材育成において、企業は従来のアプローチから根本的な転換を図る必要がある。Gartnerは、eラーニングを用いた知識習得を中心とする従来型の学習アプローチだけでは、複雑化するデジタル技術の進展に適合できないと分析する。とりわけ生成AIに代表される新しい技術は、単なる知識の詰め込みやツールの操作手順を学ぶだけでは不十分であり、実際の業務プロセスの中に組み込み、実地で活用しながら習得することが重要だ。
そのため企業には、座学を中心とした研修と実際の業務遂行を密接に結び付ける実践型教育の導入が求められる。同時に、従業員一人一人の既存のスキルや担当業務に合わせた学習プログラムを提供し、その教育が実際の仕事においてどのようなインパクトや事業価値をもたらしたかを定量的に測定する仕組みの構築が必要になる。AI共生時代の人材育成の真の目的は、研修の受講率や修了率を高めることではない。従業員が実践を通じて実際の業務で成果を創出し、組織全体の競争力向上につなげられるかどうかが問われている。企業は、「教育の機会を提供したかどうか」というインプットの指標から、「仕事の質や効率がどう変化したか」というアウトカムを測る段階へと移行しなければならない。
企業全体でデジタルスキル教育を推進、定着させるためには、現場を統括する管理職自身の意識改革と行動変容が必要不可欠となる。管理職は、単に部下に教育プログラムを受講させるのではなく、まず自らが生成AIをはじめとする最新技術を使いこなし、自分自身の業務や働き方を変革する姿勢を示す必要がある。その実体験を土台として、自らの管轄組織をAIツールでどのように最適化、進化させるかを構想することが求められる。
調査結果も、この見解を裏付けている。管理職向けのAI教育を意図的に導入している企業は、そうした取り組みを実施していない企業と比較して、組織全体の生成AIの利用率が有意に高い。業務効率化の面でも成果を生み出しており、ビジネス部門全体のAIツールに対する満足度も高い水準にあることが確認されている。AIツールの普及は、管理職の在り方や役割を再定義しつつある。自らが活用してAIツールがもたらす機会とリスクを正確に把握し、部下が心理的安全性を保ちながらAIツールを活用できる業務環境を整備して組織変革をけん引することが、次世代の管理職に求められる要件だ。企業が持続的な成長を遂げ、市場での優位性を確保するためには、こうした管理職層の変革を後押しする専用の教育プログラムの拡充がますます重要になる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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