スペックはどちらも十分、アプリやウイルス対策に違い
iPad ProとSurface Pro 4を比較、熱心な“信者”でも嫉妬したそれぞれの機能は?(3/3 ページ)
ソフトウェア
WindowsとiOSについてサードパーティーのソフトウェアを詳しく比較することは、本稿のレビュー対象外だ。とはいえ、最低でも大ざっぱに何かしらの一般論を述べなければ怠慢といわれてしまうだろう。
Windowsはずっとビジネスユーザーを重視してきた。そのため、シンプルさよりも性能や柔軟性に重点を置いている。その最新バージョンであるWindows 10は、Surface Pro 4にぴったりだ。Windows 10はタブレットとノートPCの両方に対応するように開発されており、キーボードが装着されているかどうかで使用するモードは変化する。
Windowsは何十年にも渡って企業で採用されてきたOSであるため、あらゆる種類のエンタープライズレベルのソフトウェアが豊富に存在する。データベースソフトウェアから、米Adobeの「Adobe Photoshop」、さらにはMicrosoftの「Microsoft Office」まで多岐にわたる。ただし、その多くはタッチスクリーンで操作しやすい設計になっていない。使用するにはSurfaceペンが欠かせないような小さな要素が画面上に大量に配置されている。
Windowsユーザーはウイルスやスパイウェアにも用心しなくてはならない。これはiPadユーザーであれば、少なくとも現時点では対処する必要のない事柄だ。iOSとアプリのエコシステムを厳しく管理しているAppleの功績だろう。
iOSはAppleの「iPhone」向けに開発されたOSから発展してきた。そのため、一般ユーザーを重視するOSに、企業向けの機能を追加してきた。だが近年、AppleはiPadシリーズをさらに企業で使いやすくするべく取り組んでいる。そして最新iOSの「iOS 9.x」では、並列表示によるマルチタスク機能を追加し、Smart Keyboardのような外部キーボードのサポートを拡大した。Appleは多くのユーザーにとって不要な機能を省くことで、シンプルさを際立たせている。
iOSとそのアプリは全て指で操作しやすいように作られている。そのため、Apple Pencilはスケッチしたり絵を描くことを目的とした拡張機能という位置付けになっている。
企業向けのサードパーティー製iOSアプリは多くのユーザーが認識している以上に存在する。その中でも注目すべきは、Microsoft Officeと、米IBMがAppleと共同開発した100種類の企業向けアプリだろう。とはいうものの、最も強力なアプリでも本質的にはデスクトップ版をスケールダウンしたものだ。
総括すると、多くのビジネスユーザーはWindowsタブレットよりiPadの方が管理しやすく使いやすいと感じている。だが、iOSデバイスには希望の機能や必要な機能が全て備わっているわけではないと考えるユーザーもいるだろう。
ワイヤレス
Surface Pro 4は、Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac(MIMO)とBluetooth 4.0をサポートしている。ただし、本稿執筆時点では、4G LTEに対応しているモデルはない。
iPad ProもWi-Fi 802.11a/b/g/n/ac(MIMO)をサポートし、Bluetooth 4.2が利用できる。さらに4G LTE対応モデルも提供されており、あらゆる場所から簡単にインターネットにアクセスできる。ただし、当然のことながら追加費用が生じる。
自分のスマートフォンをモバイルWi-Fiスポットとして利用できれば満足というユーザーは多い。だが、モバイル機能が組み込まれている利便性には敵わないだろう。そのため、ワイヤレスの領域ではiPad Proに軍配が上がる。
カメラ
iPad Proの背面には800万画素のオートフォーカスカメラが搭載されている。Surface Pro 4も同様だ。本体のサイズを考えると、いずれも写真撮影の手段として別段適しているわけではないが、コンピュータにカメラが搭載されていると役立つ場面は時々ある。
Surface Pro 4は前面にカメラを一組搭載することで「Windows Hello」を使用できるようにしている。Windows Halloは、実に優れた生体顔認証システムだ。Surface Pro 4のメインフロントカメラの解像度は500万画素で、Microsoftの「Skype」などのビデオ会議アプリで使用するには十分過ぎる性能だ。
解像度では劣るものの、iPad Proに搭載されている120万画素のフロントカメラについても同じことがいえる。動画ストリーミングの品質の限界を決めるのは帯域幅であることが多い。カメラの画素数ではない。
フロントカメラと背面カメラの基本機能は互角だろう。だが、Surface Pro 4には顔認証システムという素晴らしいオマケが付いている。
バッテリー
Surface Pro 4は高性能なタブレットだ。だが、その性能と引き換えにバッテリーにはかなりの負荷が掛かっている。ハードな使い方をしなければ7時間強は継続して使用できる。ただし米TechTargetが実施した、動画を連続再生する「耐久テスト」ではバッテリー持続時間は3.5時間に届かなかった。
同様の耐久テストをiPad Proでも実施した。その結果は良好で8時間以上使用することができた。Webの閲覧と動画再生を組み合わせた使い方ではバッテリーの持続時間は11時間程度まで延びた。
ビジネス重視のモバイルコンピュータには1回の充電で1日使えることが求められる。その条件を満たしているのは、iPad Proのみだ。Surface Pro 4は、大陸を横断するフライトで、ずっとバッテリーを持たせようと思ったら苦労するかもしれない。
Surface Pro 4は専用の電源ケーブルを使用する。iPad ProはLightning端子で充電する。変圧器は必要だが、Surface Pro 4のものに比べれば小ぶりだ。
結論
今回の比較における、iPad Proの主な優位点は、大型のディスプレイ、シンプルかつタブレット重視のiOS、バッテリー持続時間の長さが挙げられる。ディスプレイが大きいことで、並列表示によるマルチタスクが容易になる。ただし、サードパーティー製のiPadアプリはWindowsアプリより機能的に見劣りする。
ライバルのSurface Pro 4の強みは、以前のWindows向けに開発されたビジネスアプリケーションを実行できること、130ドル(日本では1万6400円)の追加費用が掛かるものの適切に設計された装着可能なキーボードが挙げられる。デメリットは、Windows PCであるが故にメンテナンスに必要な労力がiPad Proよりもずっと大きいことだ。特にウイルス対策は避けて通れない。
2-in-1タブレットを使用したいビジネスユーザーには朗報がある。それは、iPad ProとSurface Pro 4のどちらにも、素晴らしい選択肢が幾つも用意されていることだ。iPad Proをメインコンピュータとして使用したいと考えている場合、多くのユーザーはそうすることができるだろう。ただし、iPad Proでは対応できない課題に直面したときには、別のデバイスに頼らざるを得ない事態が時々発生する可能性がある。これに対してSurface Pro 4は、正真正銘のノートPCの代わりになる。ただ、もう少しバッテリーの持続時間が長くなれば理想的だ。
価格
一番安価なiPad Proは、4GBのRAMと32GBのストレージが内蔵されているモデルで799ドル(日本では9万4800円)だ。4GBのRAMと128GBのストレージ搭載モデルは949ドル(日本では11万2800円)だ。また、128GBのモデルに4G LTEが追加されたモデルは130ドル高くなる。
Surface Pro 4のオプションは次のようにもっと複雑だ。
- プロセッサ:Intel Core m3、RAM:4GB、ストレージ:128GB(899ドル、日本では12万4800円)
- プロセッサ:Intel Core i5、RAM:4GB、ストレージ:128GB(999ドル、日本では13万9800円)
- プロセッサ:Intel Core i5、RAM:8GB、ストレージ:256GB(1299ドル、日本では17万9800円)
- プロセッサ:Intel Core i5、RAM:16GB、ストレージ:256GB(1499ドル、日本未発売)
- プロセッサ:Intel Core i7、RAM:8GB、ストレージ:256GB(1599ドル、日本では21万4800円)
- プロセッサ:Intel Core i7、RAM:16GB、ストレージ:256GB(1799ドル、日本では23万9800円)
- プロセッサ:Intel Core i7、RAM:16GB、ストレージ:512GB(2199ドル、日本では28万9800円)
- プロセッサ:Intel Core i7、RAM:16GB、ストレージ:1TB(2699ドル、日本未発売)
iPad ProもSurface Pro 4も、キーボードが欲しい場合は追加費用が発生する。AppleのSmart Keyboardは169ドル(日本では1万9800円)、MicrosoftのSurface Pro 4 Type Coverは130ドル(日本では1万6400円)でそれぞれ販売されている。
Apple Pencilはオプションのアクセサリで99ドル(日本では1万1800円)で販売されているが、SurfaceペンはSurface Pro 4に付属している。
スペック的に最も近いのは、4GBのRAMと128GBのストレージを搭載しているiPad Pro(949ドル。日本では11万2800円)とSurface Pro 4(999ドル。日本では13万9800円)の2つのモデルだ。この2つのモデルを比較するとiPad Proにやや分がある。ただし、芸術的な作業に従事する一部のユーザーにとって、この費用節約はスタイラスを購入しなければならないことで相殺される。
だが、実際のところiPad ProとSurface Pro 4は、価格と機能の面において、どちらかが大きく優れているわけではなく、大差ないといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー