完全なデスクトップ体験を再現
Windows 10スマホをPCとして利用、「Continuum」が楽しみな理由とは
「Microsoft Remote Desktop」アプリを使えば、Windows 10の新機能「Continuum」をサポートするWindows 10 Mobile搭載スマートフォンをPCとして機能させ、モバイルユーザーの生産性を大いに高めることができそうだ。
スマートフォンでリモートデスクトップを実行する場合、概して使い勝手は今一つだ。だがMicrosoftの新しいアプリとWindows 10の新機能「Continuum」を組み合わせることで、そうした状況は一変するかもしれない。
併せて読みたいお勧め記事
「Windows 10」と「Continuum」
- Windows 10スマホが“ポケットPC”に変わる、「Continuum」はなぜ重要か
- Windows 7/8ユーザーの「Windows 10」移行が止まらない“無料”以外の理由
- 「Windows 10スマホ」 vs. 「iPhone」、頂上決戦はいつ起きる?
デスクトップ仮想化のモバイル利用
Windows 10のモバイル版「Windows 10 Mobile」で最新アプリ「Microsoft Remote Desktop」(現在プレビュー版)を使えば、スマートフォンからリモートPCに接続できる。またContinuumを使えば、Windows 10のユーザーインタフェースをデバイスのフォームファクタに合わせて自動的に最適化できる。両機能を組み合わせれば、リモートデスクトップやアプリケーションをどのディスプレイにでも表示し、PCと全く同じユーザーエクスペリエンスを得ることが可能だ。つまり基本的には、スマートフォンをシンクライアントとして使えることになる。
「これこそが未来の機能だ。皆がこの機能を使うようになるだろう」と仮想化サービス事業者Thin Client ComputingのCEO兼主任コンサルタントであるスティーブ・グリーンバーグ氏は語る。
Continuumは、Microsoftの「ユニバーサルWindowsプラットフォーム」(UWP)で開発されたユニバーサルアプリに使用できる。ユニバーサルアプリは、スマートフォンやタブレット、PC、ゲーム機「Xbox」など、さまざまなWindows 10デバイスで実行できるのが特徴だ。Microsoftの「Lumia 950」や「Lumia 950 XL」など一部のWindows 10 Mobile搭載スマートフォンは、USBで「Display Dock」を介して外部ディスプレイをつなぐことができる他、BluetoothやMiracastを使ってワイヤレス接続もできる。スマートフォンでMicrosoft Remote Desktopアプリを実行し、外部ディスプレイに画面を出力すると、Continuumが作動する。ユーザーにはPCの使い慣れたインタフェースが提供され、ユニバーサルアプリはデスクトップモードで動作する。フルキーボードとマウスも接続可能だ。
この機能によって、デスクトップ仮想化の専門家らも注目する新しいクライアントの形態が可能となった。
Microsoft Remote Desktopアプリのユースケース
MicrosoftはWindows 10で法人市場への攻勢を強めており、Continuumによってスマートフォンでのデスクトップ仮想化をサポートすることは、モバイルワーカーに非常に魅力的なユースケースを提供する。そう指摘するのは、調査会社IDCのアナリスト、ロバート・ヤング氏だ。
「スマートフォンではネイティブに動作できない完全なデスクトップ環境を、仮想環境で実現できる」と同氏は語る。
「病院など、スタッフがあちこち動き回り、データへの迅速なアクセスを必要とする職場において、こうしたツールは有用となるだろう」と同氏は続ける。
企業が外部ディスプレイとキーボードとマウスでContinuum対応のワークステーションを構成しておけば、従業員や顧客はスマートフォンよりも大きな画面が必要な場面で、(外部ディスプレイを)スマートフォンに接続して利用できる。ITトレーニング企業SavillTechの創業者、ジョン・サビル氏はそう指摘する。
「スマートフォンは基本的にはコンピュータである、との考え方が今や現実となっている。その能力を拡張するのがContinuumだ。コンピュータは必要だけれどもPCは持ち歩きたくない、ということはよくある。Continuumはそういうときに役に立つ」と同氏は語る。
「ゲームチェンジャーにはならない」
スマートフォンを使って完全なデスクトップ体験を実現するというのは、新しい考え方ではない。Motorolaが2011年にリリースしたスマートフォン「Atrix」も同様の機能を搭載しており、Atrixをオプションのドックにつなぎ、そのドックを外部ディスプレイに接続することができた。この機能は人気とはならず、Motorolaはその後のモデルからこの機能を外している。
Microsoft Remote Desktopアプリには大きな可能性があるとはいえ、Atrixと同じ運命をたどらないためには、Microsoftには幾つか克服すべき問題がある。
まずWindows 10の採用はまだ初期の段階にある。Microsoftは初のWindows 10 Mobile搭載スマートフォンを2015年11月にリリースしたばかりだ。同社はContinuumをサポートするアプリケーションの開発を進めているが、サードパーティー製ユニバーサルアプリの数はまだ限られている。対応するアプリケーションが少なく、新しいリモートデスクトップ機能をサポートするスマートフォンの機種もわずかしかないようでは、Windows 10 Mobileのデスクトップ仮想化とContinuumが広く使われるようになるとは考えにくい。
「これがWindows 10 Mobileにとって流れを大きく変えるゲームチェンジャーになるとは思わない。ただしコンピュータを持ち歩く代わりの手段としては、Continuumは非常に有能なツールになるだろう」とコンサルティング企業Pica Communicationsの主任コンサルタント、ポール・デグルート氏は語る。
スマートフォン市場におけるMicrosoftのシェアの小ささもネックとなるかもしれない。ただし、この機能は今後の世代で人気を博すことになるだろうと、Thin Client Computingのグリーンバーグ氏は指摘する。「ワイヤレスで画面をディスプレイに出力する方法も幾つかあるが、まだ機は熟(じゅく)していないのかもしれない。考え方としては正しいし、現行の機能も興味深いが、メインストリームにはならないだろう」
Microsoft Remote Desktopアプリは現在プレビュー段階にある。正式版のリリース時期はまだ明らかになっていない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー