デスクトップ仮想化導入のガイドライン【最終回】
モバイル活用でデスクトップ仮想化を無視できない3つの理由
モバイルデバイスをビジネスで活用する上で有力な手段となるデスクトップ仮想化。本稿では、デスクトップ仮想化がなぜビジネスのモバイル化において重要なのか、3つのポイントで解説する。
本稿では、昨今のIT投資の中心にある“ビジネスのモバイル化”と、デスクトップ仮想化の関係について解説する。デスクトップ仮想化は、ビジネスのモバイル化において非常に重要な役割を担う。それを3つのポイントで解説する。
ビジネスのモバイル化への高まり
昨今のエンタープライズにおけるIT投資がモバイル分野へ向かっていることは、さまざまな調査結果からもうかがえる。これは、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスをビジネスで活用するというだけの話ではなく、本質的には、いつどこにいても、リモートからセキュアにビジネスができるようにするというところにある。
ビジネスをモバイル化するに当たって、真っ先に思い浮かぶのはモバイルネイティブアプリケーション(モバイルデバイスで動作するアプリケーション)の開発ではないだろうか。また、どんなエンドポイントからでも利用可能なSaaSアプリケーションの利用なども想像されるかもしれない。そして、忘れてはならないのがデスクトップ仮想化だ。本稿では、デスクトップ仮想化がなぜビジネスのモバイル化において重要であるかについて、以下の3つのポイントから解説する。
1.Windows資産への投資を保護しながらクイックにビジネスをモバイル化できる
まず、モバイルネイティブアプリケーションの開発という選択肢を考えてみると、既存Windows資産のアプリケーションを、新しくモバイルデバイスのプラットフォーム用に開発し直す必要がある。ここで、よく考えなければならないのは企業で利用されているWindowsアプリケーションは1つや2つではなく、利用が想定されるデバイスのプラットフォームごとに開発を行う必要があるということだ。
従って、企業がビジネスのモバイル化によって成長の維持、競争力強化を短期間で目指さなければならないという観点から見ると、この方法は誰もが思いつくモバイル化の方法ではあるものの、時間とコストが掛かるという見方もできる。つまり、スピードという観点で、この選択が目的を達成できるかどうかは検討が必要だ(もちろん、少数のアプリケーション開発であれば大きな時間、コストは掛からない)。
一方、デスクトップ仮想化によってクライアントシステムを仮想化してしまえば、既存Windows資産をそのままクイックにモバイル化することができる。アプリケーションを別のプラットフォーム用に書き換えることも不要だ。前述したように、スピーディーに成長、優位性強化を実現していくことを最優先するのであれば、デスクトップ仮想化の選択が妥当なものとして位置付けることができる。
2.エンドポイントデバイスのプラットフォーム依存問題を解消する
1のポイントとも関連するが、デスクトップ仮想化の強みは、モバイルデバイスを含むさまざまなエンドポイントデバイスのプラットフォームに依存することなく、既存のWindowsアプリケーションを利用可能にすることだ。プラットフォーム互換の問題はいつの時代も付きまとい、システムの柔軟性とビジネスの俊敏性を奪いながら、高コスト構造を作ってきた。本連載で既に述べてきたように、デスクトップ仮想化はこの問題からの解放を可能にする。
例えば、新たなモバイルデバイスプラットフォームへの移行という点で考えてみると、Windowsアプリケーションの多くをクイックにモバイルネイティブに対応させることは難しい。そのため、デスクトップ仮想化は、Windowsアプリケーションからモバイルネイティブアプリケーションへの緩やかな移行を支える仕組みだともといえる。
また、ITのコンシューマライゼーションという言葉があるように、ユーザー(コンシューマー)が利用するデバイスやテクノロジーが圧倒的なスピードで進化と多様化を遂げ、どんどん新しいものなっていく。一方で、企業のシステムは柔軟性を欠いているという現状がある。デバイスのプラットフォーム非依存性を実現するデスクトップ仮想化は企業システムがこの進化のギャップを埋め、最新デバイスでもビジネスができるようにするという観点でも重要な価値を持っているともいえる。
3.高いセキュリティレベルでビジネスを遂行できる
モバイル化を考える上でのデスクトップ仮想化のもう1つの強みは、エンドポイントデバイスからデータの漏えいが起こらないアーキテクチャであるということだ。
これは、モバイルネイティブアプリケーションと決定的に違うポイントであり、ビジネスでは情報の保護が必須であることから非常に重要かつ基本的な側面である。
確かに、モバイルデバイスやモバイルネイティブアプリケーション、モバイルデバイス上のデータに対してガバナンスを効かせるソリューションは充実してきており、全てが暗号化されリモートから制御可能になってはいる。だが、モバイルデバイス上に全てのデータが存在している以上、デスクトップ仮想化のような高いセキュリティレベルは実現できない。従って、セキュリティ要件が高くなればなるほど、デスクトップ仮想化によるビジネスのモバイル化が検討される。
本稿では、ビジネスのモバイル化とデスクトップ仮想化の関係について3つのポイントで解説した。本連載「デスクトップ仮想化導入のガイドライン」は2013年5月から、デスクトップ仮想化の価値、コスト、産業別の適用例、プロジェクト遂行に理解、準備しなければならないポイントなどを解説してきた。本稿を含む一連のコンテンツを通して、デスクトップ仮想化プロジェクトの実践の参考にしていただきたい。
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デスクトップ仮想化導入のガイドライン
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