「アクティブラーニング」の場を学校だけにしない
“全教室無線LAN完備”の工学院中高が「セルラー版iPad mini」をあえて選んだ理由(2/3 ページ)
「セルラーモデル」×「学校支給」を選んだ理由
そんな工学院中高が2015年4月に本格的に始めたのが、iPad miniによる1人1台環境の構築だ。同月には新中学1年生96人を対象に、同校が生徒一人一人にセルラーモデルの「iPad mini 3」64GBモデルを貸与。続く同年夏には、中学2年生94人にセルラーモデルの「iPad mini 2」128GBモデルを貸与した。生徒に貸与したiPad miniはいずれも、工学院中高がKDDIからレンタル契約した端末である。
上述の通り、工学院中高は無線LAN環境が充実している。にもかかわらず、セルラーモデルのiPad miniを選択した理由は何か。小野垣氏は、「基本的に、学校にいる間は校内の無線LANを利用する。その上で学校外の学びを広げるために、セルラーモデルを生かしていく」と語る。携帯電話の電波圏内にあれば通信できるセルラーモデルであれば、通学路や校庭、遠征先などで分からないことをすぐに調べたり、ちょっとした課題に取り組んだりしやすい。こうした環境は、生徒の学ぶ機会を広げ、生徒自身が主体的に活動できる場を増やすはずだ。同氏は「21世紀型教育を実現するために、『無線LAN環境がないからiPadが使えない』状況を避け、インターネットへ常時接続できる環境にすることを重要視した」と語る。
個人端末の利用(BYOD)ではなく学校貸与を選んだ理由について小野垣氏は、「義務教育段階にある中学生の場合は、学校側がある程度、端末を管理できる体制が望ましいと考えているからだ」と話す。端末の買い切りではなくレンタル契約を結んだのは「レンタルの場合、故障時のサポートが手厚い」からだと、そのメリットを説明する。中学生のタブレット利用では、多くの教育機関が端末の破損・故障に頭を悩ませており、工学院中高でもそうした状況を考慮した形だ。
工学院中高がKDDIと締結したiPad miniのレンタル契約には、端末補償サービス「安心オプション」も含んでおり、端末が紛失・破損した際も即座に代替端末を手配できる。故意の破損でなければ、画面のヒビ割れが発生した場合でも補償が受けられる。小野垣氏は、「保険や端末管理・運用などを含めて、iPad miniをレンタルする方が学校側の負担も少なく、長い目でみた費用対効果としても納得感がある」と語る。モバイルデバイス管理(MDM)サービスの運用管理や端末のキッティング、破損のトラブル対応など、iPadに関するトータルなサポートが1社で完結することもメリットだという。
変更履歴(2016年2月10日15時45分)
記事掲載当初、端末補償サービスの名称を「安心ケータイサポートプラス」としていましたが、正しくは「安心オプション」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。
「アクティブラーニングでの活用」と「小ささ」でiPad miniを選定
工学院中高では、iPad mini導入に踏み切る前に他のモバイル端末も検討した。その結果、Android端末はセキュリティ面を考慮して選択肢から外したという。Windowsタブレットはデジタル教科書端末としての利用を前提に検討していたものの、デジタル教科書の導入は「時期尚早である」と判断して見送り、それに伴いWindowsタブレットも選択肢から外した。結局、2013年から教員に配備していた実績も考慮してiPadシリーズに決定。iPadシリーズは教育系アプリケーションが比較的充実しており、生徒の主体的な学習を促す「アクティブラーニング」にも活用しやすいと考えた。
画面サイズが9.7インチの「iPad Air」ではなく7.9インチのiPad miniを選んだ理由については、生徒の机が小さくiPad Airでは大き過ぎることを小野垣氏は挙げる。教科書やノート、資料集、筆箱などを机の上に置き、さらにiPadも使うことを考えると、サイズの小さいiPad miniの方が使いやすいと判断した。重さも400グラム以上あるiPad Airと比べて300グラム台と軽くて片手で持ちやすく、生徒の負担も小さくて済む。
アプリは教育機関向けのボリュームライセンス制度「Volume Purchase Program」(VPP)を利用して入手し、MDMサービスでiPad miniに配布している。辞書アプリの「Oxford Picture Dictionary」をはじめとする一部の有料アプリを、1アプリ当たり20ライセンス以上購入すると半額になるので、有料アプリでも導入しやすい。
Webサイトの閲覧制限を掛けるために、教育機関での採用実績が多いデジタルアーツのフィルタリング製品「i-FILTER」を導入し、校内無線LANと携帯電話回線の両方に適用した。工学院中高では、午前6時から午後10時の間のみWebサイト閲覧を許可し、教育上不適切なサイトはi-FILTERで閲覧を制限するなど、中学生の発達段階を考慮した機能制限を設定している。
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