Windows 10の「Continuum」機能を利用
徹底レビュー:ノートPCとして使えるWindowsスマホ「HP Elite X3」、その意欲は買いだ(2/2 ページ)
スマホにもノートPCにもなるElite X3
Elite X3は単体でも手堅い携帯端末である。だが、このデバイスの特徴は、スマートフォンとノートPCの間をシームレスに切り替えられることだろう。この並外れた芸当に取り組むために、Elite X3はContinuumを活用している。ContinuumはWindows 10の機能で、Windows Phoneをディスプレイに接続することで、フルキーボードとマウスの機能を備えたWindows PCのような動作を可能にするものだ。
ファイルやデータをいつでも単一のデバイスに入れて持ち歩けるというアイデアは魅力的だ。ただし、注意点が幾つかある。最も重要なのは、Continuumを使用してもWindows Phoneではデスクトップアプリケーションを実行できないことだ。幸い、HPは解決策を用意しており、アプリケーションをクラウドで実行するためのソフトウェアを組み込んでいる。ただし、残念ながら、この機能はIT部門でインストールしなければならない。そのため、Elite X3はビジネスクラスのデバイスで、平均的な消費者を対象にしたデバイスではないと見なされている。
正直なところ、現時点では、Elite X3はまだPoC(概念実証)の段階にある。HPはこのソフトウェアのストリーミング機能をまだ開発中だ。この機能がElite X3の成功を大きく左右することは間違いない。とはいえ、短時間だがこれまでに見てきた限りでは、Continuumを使用すると、スマートフォンモードとデスクトップモードは非常にシームレスに切り替えられる。
HPは、Elite X3と同じタイミングで、より簡単にスマートフォンとノートPCの切り替えを行える2つのアクセサリーの販売を計画している。HPの「Desk Dock」は、クロムメッキを施したコンパクトなドックで、背面に複数の端子が用意されている。具体的には、USB端子が2つ、USB Type-C端子、DisplayPort、イーサネットコネクタが、それぞれ1つだ。このドックでは、ビジネスクラスのPCに期待される全ての接続が利用できる。米TechTargetは、短時間だがDesk Dockを使用しながらElite X3をテストする機会を得た。開発の初期段階にあるものの、Desk Dockの動作は快適だ。ドックに接続したキーボードとマウスはどちらも問題なく機能する。いずれも応答性が高く、目立った遅延もない。だが何より印象的だったのは、Elite X3と簡単かつ素早く接続できることだ。Desk DockはElite X3を接続してものの数秒で起動して動作する。
Desk Dockに加え、HPは「Mobile Extender」という実質的に空のノートPCもリリースする予定だ。実際のところMobile ExtenderはノートPCではなく、コンピューティングコンポーネントは全く搭載されていない。つまり、このMobile Extenderが動作するのはElite X3につないだ場合に限られる。この仕組みは、「Miracast」と「WiGig」のテクノロジーを使用して実現される。残念ながら、HPは動作するモデルを持ち合わせていなかった。だが、Mobile Extenderは12.5インチの1080pディスプレイ、物理キーボード、操作用トラックパッドを搭載して販売するとされている。
素晴らしいアイデアだが、現実味は
ノートPCの代わりになるスマートフォンを提供しようとしたメーカーはHPが初めてではない。だが、Elite X3は野心的なアイデアで、過去のどの失敗作よりも現実味を帯びている。Continuumと一連の自社の仮想アプリによって、HPはビジネスユーザーがWindows Phoneへの乗り換えを検討する非常に説得力のある1つの根拠を見いだしたのかもしれない。ただし、HPがそれを実現する前に対処すべき問題は少なくない。まず、モバイル市場においてWindowsは開発者から3番手のOSと見なされている。Appleの「iOS」とGoogleの「Android」には水を空けられている。Windowsのアプリ市場もライバル2社と比較すると手薄である。そのためHPには、同社のWindowsデスクトップPCアプリケーション用の仮想アプリによって、その不足の多くを補うという重い負担がのしかかっている。
次に、フルタイムで使用するPCの代わりとなる性能がElite X3に備わっているかどうかだ。恐らく、これが最も重要な問題だろう。Elite X3が非常に高性能なモバイルデバイスであるのは間違いない。とはいえ、Snapdragon 820は、より多くのリソースを必要とするアプリにどう対処するのだろうか。確かにHPが多くのソフトウェアを仮想化することで、ワークロードの一部を補うことはできる。だが、幾つかのベンチマークと実際のパフォーマンスを確認するまで、Elite X3については慎重ながらも楽観的に見守るのが得策だ。
解決しなければならない問題はあるが、控えめに言ってもElite X3は面白い有望機種だ。現時点ではElite X3がどの程度の成功を収めるかを正確に見極めるのは難しい。だが、この製品の開発がどう進むのかは見ものだろう。Elite X3はまだ開発の初期段階であるため、今のところ価格やリリース日は設定していない。だが、HPは2016年夏ごろのリリースを目指している。
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