大原雄介の「最新ネットワークキーワード」【第2回】
「OpenFlow」編──その実力以上に期待されてしまった救世主(1/2 ページ)
この連載は「いきなりIT部門に転属したら用語が全然分からん!」という担当者を救済するネットワーク入門企画だ。今回は、VLANの泥沼から抜け出すために登場した「OpenFlow」について復習する。
前回は、VLANでネットワークを仮想化したら泥沼になった歴史的経緯を紹介した。この泥沼から抜け出すために登場した技術が「OpenFlow」だ。そのOpenFlowを前提にSDNという概念が登場するまでの事実関係を振り返ってみよう。
OpenFlowそのものはTechTargetジャパンでも三木 泉氏の連載「OpenFlow/SDN、誤解の構造」や「OpenFlow」ホワイトペーパー一覧をはじめ、多くの記事を掲載している。
ただ、これらの記事ではOpenFlowを知っていることを前提に、そこに関連した誤解を解く構成なので、OpenFlowについて理解が進んでいない場合は少し分かりにくいかもしれない。そこで、この記事では「OpenFlowって何?」というところから復習し、その上で、OpenFlowが登場した目的とその限界を把握し、それから、SDNがなぜ登場したのかを紹介してみたい。
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大原雄介の「最新ネットワークキーワード」
「今は影が薄い」というOpenFlow最新動向
鍵は物理的制御と管理ソフトウェアの分離
OpenFlowという技術は、VMwareに所属し2016年の2月にAndreessen Horowitzへの移籍が発表になったマーチン・カサド氏がスタンフォード大在籍中に行った研究が基になっている。カサド氏の研究は、ネットワーク機器の物理的なデータ制御とその制御を行うソフトウェアを分離することで分散的な管理が可能になる、というものだった。
シンプルなL2スイッチの場合、入ってきたパケットのヘッダに記述してあるMACアドレスに合わせて出力するという簡単なものだ。このとき、スイッチの中におけるパケットの流れは、以下のようになる。
ステップ1:入力ポートにパケットが到来し、バッファにたまっていく
ステップ2:パケットのMACアドレスを持ったヘッダ部のみがバッファからスイッチ経由でコントローラーに移る
ステップ3:コントローラーは設定したルールに則してMACアドレスをキーにLUT(Look Up Table)を参照する。
ステップ4:LUTに同じMACアドレスを持つ機器が存在したら、接続しているポート番号を取得する
ステップ5:取得したポート番号を利用して、スイッチに対してパケットの転送を命令する
ステップ6:スイッチは、パケット全体を入力ポート側バッファから出力ポート側バッファに移動する
ステップ7: 出力ポート側バッファから出力ポートにパケットを送出する
以上はL2スイッチの場合で、L3スイッチならIPアドレスを参照し、VLANスイッチだったらVLAN Tagを参照するが、やっていることは変わらない。もっと言ってしまえば、ロードバランサーやファイアウォールなども、パケットの判断方法が違うだけだ。先に挙げたステップでいうと、ステップ2~4が変わるだけで、その先は共通する。異なるのはコントローラーに設定したルールとLUTの中身だけに過ぎない。ただ、LUTでは、例えばL2スイッチなら電源投入時、あるいは、ポートへのケーブル着脱時に、コントローラーがルールに基づいて自動更新する。こうなると違うのはルールだけでハードウェアはほとんど共通だ。
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