「VLAN」編──全てはVLANの混沌から大原雄介の「最新ネットワークキーワード」(1/2 ページ)

この連載は「いきなりIT部門に転属したら用語が全然分からん!」という担当者を救済するネットワーク入門企画だ。まずは、現在のネットワーク環境ではこれを知らないと何も始まらない「SDN」からいってみよう。

2016年02月05日 08時00分 公開
[大原雄介TechTargetジャパン]

連載開始のごあいさつ

 この企画の担当編集N氏と私(大原雄介)は共に五十路のおじさんでその付き合いは20年になろうかという。そのN氏が、某自作PC媒体で“仕事をしているんだか遊んでいるんだか分からない”20年間を経てTechTargetジャパンに異動したら「エンタープライズ系技術用語は略語が多くてなかなか手ごわい。これを整理して“分かりやすく”解説してはどうだろう」と依頼が来た。そういうわけで、TechTargeジャパン読者には「もうそんなの知っている」話が続くこの連載だが、あらためて復習していただければと思う。

 連載最初のキーワードは、今やこれを知らないと何も始まらないという「SDN」(Software Defined Networking)だ。SDNの解説は、TechTargetジャパンに掲載している土居昭夫氏の記事「1回で分かる:『SDN』の基本、主要ベンダーの動向をマップで押さえよう」が分かりやすくまとまっている。この連載は、この記事でも「何が書いてあるのか分からない」というIT担当者が対象だ。


全てはネットワーク地獄絵図から始まった

 SDNを知るには、SDNが登場する前の“ネットワーク地獄絵図”を知る必要がある。そのために、イーサネットを企業内で利用するようになった30年ほど前から振り返ってみよう。ネットワークの普及で大きなきっかけとなった1つに、1990年の「10BASE-T標準化」がある。あっという間に価格が下がったおかげで広く企業に普及するようになった。その後100BASE-TXや1000BASE-Tにどんどん切り替わっていったのもご存じかと思う。

 そのイーサネットで接続する機器が増えていった結果、管理上の困難が発生する。例えば、ある会社には部門A~Cがあって、それぞれ専用のサーバを設置しているとする。管理側は、各部門に設置したクライアントPCは、自部門のサーバだけにアクセスを許したい。これを一番シンプルに行うのは図1の方式だ。

図1:自分の部門サーバだけにアクセスを許したいときに最もシンプルなネットワーク接続。このまま不変なら誰も不幸にならないのだが

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 株式会社ソラコム

IoTデバイス導入ガイド:概念から選定・導入時に押さえておきたいポイントまで

IoTという言葉は知っているものの、ビジネスの場でどのように活用すればよいのか分からないという声も多い。こうした声に応えるべく、IoTの基本的な概念から、IoTデバイスの選定・導入時に押さえておきたいポイントまでを解説する。

市場調査・トレンド 株式会社ソラコム

今さら聞けない「DXとIoT」、基本知識から最初の一歩を踏み出す具体策まで解説

DXやIoTという言葉は知っているものの、それが何を意味し、ビジネスの現場にどのように採り入れられているのか分からないという声は意外と多い。そこで、DXとIoTについて、基本知識から実現方法まで詳しく解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの「パフォーマンス」や「セキュリティ」の課題を解決するための秘策とは?

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

ネットワーク環境の課題を解決し、ネットワークの構築と運用を簡素化する方法

ネットワークに関して、「環境の構築・運用管理に手間やコストがかかる」などの課題を抱える企業は多い。そこで注目されているのが、1つのプラットフォームによる管理で運用負荷低減やトラブル対応効率化を実現するソリューションだ。

事例 東京エレクトロン デバイス株式会社

仮想化技術でマルチテナント型の大規模ネットワークを構築、事例に学ぶ実践術

現代のネットワークには組織ごとに多彩なニーズが求められる。それらに応えるためのネットワーク環境を構築するには大きな手間がかかる。本資料では仮想化技術の採用でマルチテナント型の高速ネットワーク環境を構築した事例を紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...

news062.jpg

「Threads」が広告表示テスト開始 企業アカウント運用のポイントとは?
Metaのテキスト共有アプリ「Threads」で広告表示のテストが開始され、新たな顧客接点とし...