VXLANゲートウェイを使った既存環境と仮想ネットワーク環境の混在運用は、ネットワークの段階的な進化を可能にするものの、これまでには考えることのなかった問題も生み出す。今回はこれを説明する。
前編「物理と仮想のネットワークをつなぐVXLANゲートウェイ」では、各社から発表されつつあるVXLANゲートウェイが、これまでのネットワークの運用を継続しながら、ネットワーク仮想化の恩恵を得るための仲介役を果たすことができることをお伝えした。後半ではさらに各ベンダーの狙いを探り、VXLANが生み出す新たな課題について説明する。
VMworld 2012ではネットワーク製品ベンダー数社が、概念実証段階のVXLANゲートウェイ対応のデモを行った。米Brocade Communications Systemsは、同社のADXラインのアプリケーションデリバリコントローラーのVXLANトンネルエンドポイント機能を披露。米Avayaは、同社によるIEEE 802.1aq Shortest Path Bridging(SPB)の実装と、同社のVirtual Enterprise Network Architecture(VENA)におけるVXLAN対応を紹介した。VENAは、クラウドコンピューティング向けのネットワークを提供する統合ソリューション。米Arista Networksは、同社の7000シリーズスイッチでのVXLAN対応のデモを実施した。
「VXLANを使うことで、あるルーテッドネットワークから別のルーテッドネットワークに、つまり、あるサブネットから別のサブネットに、IPアドレスを保持したままワークロードを移動できる。また、最大1600万までのネットワークセグメント作成を実現して、ネットワークを拡張することも可能だ」と、Aristaのマーケティング担当副社長、ダグ・グーレイ氏は語った。
「これまでは、VXLANを使う際に、物理環境と仮想環境をシームレスに接続する方法はなかった。だが、ハードウェアVXLAN機能が追加されたArista 7000スイッチにより、顧客は物理環境、仮想環境、クラウドにかかわらず、インフラのどこでも、任意のワークロードのシームレスな相互運用性が得られる。仮想化は、全てソフトウェアでプログラミングでき、プロビジョニングされる」(同氏)
VXLANでは、任意のポート、あるいはポートとVLANの組み合わせを、任意のVXLAN Network Identifier(VNI)という識別子にマッピングできると、グーレイ氏は説明した。「どのVNIも、われわれのスイッチを介して接続される任意のネットワークサービスにマッピングできる。例えば、F5の負荷分散装置、RiverbedのWAN最適化装置、Isilonのストレージ、Coraidのストレージなどと接続することが可能だ」
VXLANでは、MAC(Media Access Control)over UDP(User Datagram Protocol)のカプセル化が使用されるため、従来のネットワーク管理ツールはVXLANトラフィックの中身が見えない。具体的には、VXLANフレームに包まれたペイロードがネットワークパフォーマンス管理ツールから見えない。VXLANのカプセル化によってアプリケーションを識別しにくくなるからだ。
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