北欧の企業では、Webサービスのユーザー体験の双方向性を高める取り組みが進んでいる。これには北欧の地域の文化が関係しているという。その文化とは何か。北欧のIT企業3社の事例を基に説明する。
北欧では、Webサービスのインタラクティブ(双方向的)な体験を高める取り組みが進んでいる。どのような分野も例外ではなく、音楽教育からチェスの観戦まで、何世紀も変わっていなかった体験が“再発明”されている。北欧諸国には、こうした挑戦的な発想を支える文化が存在する。
「北欧の企業はイノベーションの先頭を走っている。その理由は、創造性と技術進歩を育む地域エコシステムにある」と語るのは、ノルウェー発の企業Kahoot!でバイスプレジデントを務めるショーン・ダーシー氏だ。2012年に設立した同社は、学習用ゲームサービス「Kahoot!」を教育機関やユーザー企業、家庭向けに提供している。
Kahoot!は、設立当初から学習者のエンゲージメントの向上を使命としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって教育業界全体のオンライン化が進む前から、同社はそうしたビジョンを描いていた。
ダーシー氏は次のように話す。「北欧の人々はITに精通しており、新技術に積極的に関与する意欲がある。政府の支援と問題解決・協力の文化が相まって、北欧の企業は新しいデジタルツールを採用し、活用できるようになった」
北欧の企業のイノベーションを支えるのは、新しいアイデアに挑戦することを厭わない価値観だ。
「Kahoot!の成功は、北欧の人々の価値観を反映している。この地域の人々はデジタルツールを使って課題を改善し、簡素化する方法を模索している」とダーシー氏は語る。「ITベンダーは単なる利便性向上のためだけでなく、より利用しやすく、意義深い体験ができるシステムを開発することが必要だ」と同氏は続ける。
音楽教育のデジタル化に成功した北欧の企業がMoombixだ。同社はアイスランドの起業家、マルグレート・ジュリアナ・シグルダルドッティル氏が設立し、成人向けの音楽教育サービス「Moombix」を手掛けている。
シグルダルドッティル氏は同社を「オンライン音楽レッスンのUber」と位置付けている。同氏は次のように説明する。「Moombixは、世界中の熟練した教師と成人の学習者を結び付けるマーケットプレースだ。ユーザーは、オンラインでリアルタイムの学習が可能だ。自分のペースで自宅にいながら学習できる」
同社はITで音楽教育を民主化し、誰もが利用できるようにすることを目指している。そうして、多くの人々が音楽教育を人生を豊かにするための身近な手段の一つとして捉えられるように促すことが目標だ。
Moombixは、共通の関心や情熱を共有するコミュニティーを築くことが、サービス成功の鍵になったという。シグルダルドッティル氏は次のように語る。「インタラクティブなデジタル体験に対する需要はこれまで以上に高まっている。人々の生活がますますデジタル化する中で、ユーザーはオンラインでのやりとりも対面と同じようにパーソナライズされた体験を求めるようになっている」
ノルウェーの企業Take Take Takeは、同名のチェス観戦アプリケーションを手掛けている。同社のCEO兼共同創業者であるマッツ・アンドレ・クリスチャンセン氏は、北欧最大のオンライン食料品企業「Oda」などを手掛けた実績を持つ。
Take Take Takeは、クリスチャンセン氏がプロチェスプレイヤーのマグヌス・カールセン氏と共同で立ち上げた。世界中の何百万人ものカジュアルなチェス愛好家をターゲットにしている。「われわれの目的は、よりアクセスしやすく、エンターテインメント性がある観戦の形式を提供することで、チェスに親しんでもらうことだ」とクリスチャンセン氏は話す。
同サービスはリアルタイムの試合解説やプレイヤー評価、ユーザーの好みに基づいたパーソナライズされたコンテンツの提供といった機能を備え、オンラインで没入型の観戦体験を提供する
チェスは1500年の歴史を持つゲームだ。クリスチャンセン氏は「『非常に物理的またはアナログ的な概念に革新をもたらす』という北欧の強みから、Take Take Takeが生まれた」と説明する。「北欧の創業者は新たな文化的トレンドや、人々のニーズをいち早く見抜いて生かす能力に優れている。この先見性が、顧客に支持されるサービスの創造を可能にしている」(クリスチャンセン氏)
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