北欧都市がスマートシティーでかなえた「高速無線LAN」以上に重要な変革とはスウェーデンから学ぶ「スマートシティー」構築術【後編】

「スマートシティー」化に取り組んでいるスウェーデンのボロース市。新しいネットワークの構築において同市が追求したのは、通信の高速さだけではない。もう一つの重要な要素とは何か。

2022年06月28日 05時00分 公開
[Joe O'HalloranTechTarget]

 IT活用によって都市機能の効率化を図る「スマートシティー」の構築を進めているスウェーデンのボロース市。同市は活動の一環としてネットワークベンダーのExtreme Networksと手を組み、ネットワークの刷新に取り組んでいる。その背景や狙いを説明した前編「Wi-Fi 6が市内どこでも利用可能に 北欧都市『ネットワーク改革』の衝撃」に続き、後編となる本稿は、同市が高速かつ安定した通信を実現するために導入した、無線LANの管理に焦点を当てる。

高速無線LANで実現したスマートシティー その大きな“副産物”とは

 ネットワーク刷新によって、ボロース市は教育や医療といった分野で市民にさまざまなデジタルサービスを提供できるようになった。今後は企業を誘致し、地域の経済成長につなげることを目指しているという。

 新しいネットワークは、ほぼ全てのネットワーク管理作業を1つのシステムでできるようにして、市のITスタッフの負荷軽減を図っている。ネットワーク管理作業の複雑さが解消されたことにより、3人のエンジニアで無線LANアクセスポイントと接続デバイスの運用管理ができるという。ネットワークの利用状況を把握した上、トラフィック(ネットワークを流れるデータ)を最適化することによって、市民がストレスを感じることなくデジタルサービスを利用できるようにしている。

 ボロース市の最高技術責任者(CTO)アンジェイ・カーダス氏によれば、同市が進めているスマートシティー計画に関してExtreme Networksは重要なパートナーだ。「Extreme Networksの技術を活用することにより、管理作業がしやすいネットワークを構築し、市民にさまざまなデジタルサービスを提供するためのインフラができた」とカーダス氏は述べる。

 Extreme Networks北欧・東欧担当シニアリージョナルディレクターのボリス・ゲルマシェフ氏は「増加する人口に高速で安全な公共無線LANを提供することに苦労し、接続性を維持するためにITスタッフが膨大な時間をかけていた」とボロース市の問題を分析。同市は今回のネットワーク刷新によってネットワーク運用の効率化を追求した。その成果として、同市は市民向けデジタルサービスの本格展開に取り組めるようになったとゲルマシェフ氏はみる。

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